伝説を探して
この世界にはある騎士と王女の伝説が存在する。その伝説とは魔王が世界を征服しようと、その騎士の国を滅ぼし女神の力が備わっている王女を誘拐して、その国の騎士が王女を救うお話だ。よくある伝説だがその話に民衆は大いに湧き立ち、彼の話を讃えるように話をしていた。
それは今から約200年前の話だ。
カツカツとヒールが地面に当たる音が城の廊下に響き渡る。清廉なる音に近くにいたものはすぐに存在を認知して彼女に腰を折り、挨拶をする。
「こんにちは、アリエス様。」
「あぁ、こんにちは。」
私の名前はアリエス。アリエス・ブリトマート。この国の騎士団長をしているものだ。現在私は王からの命で、謁見しに来ている。しかし明日には魔物の群れが王国に侵攻をしようとしている時期だ。私も装備の見直しや、部下への陣形の取り方などのブリーフィングを行いたいのだが、こんな大切な時期になぜ今日私は王に呼ばれたのだろう。
そんなことを考えると王の間の扉の前についていた。扉の前に護衛していた騎士たちに一言挨拶を行い、一息つく。
「ご命令に応じ、来ました。アリエス・ブリトマートです。入ってもよろしいでしょうか」
「よい、入れ」
初老の老人の声が響く、扉越しでも威圧感がする。
毎度王の前に行くのは緊張しちゃうんだよなぁ・・・ってそんなことを考えている場合じゃない。
「入ります。」
意を決し、扉を開けるとそこには王が一人だけ玉座に座っていた。いつもは周囲に近衛兵や大臣たちが居てもおかしくはないが・・・
私は王が一人しかいないことに疑問を抱きつつも、王の前で胸に手を当て膝をつく。
「ここまで御苦労、すまんな明日は魔物の侵攻を抑える大切な戦いの前だというのに。」
「いえ、王の命に従うのは我々イルミナ騎士団の役目ですから。今回はどのようなご用件でしょう。」
「お前にはあることを頼みたくてな。」
「頼みですか?私にできることなら何なりと。」
頼み。なんだろう全然わからない。今まで王の頼みは何度か聞いてきたが、今の時期に頼むようなことは決してなかった。そんなに大切なことなのならば余計に近衛兵に頼むことだろう。ならばこの件はおそらくとても重要なことなのだろうと推測できる。
「あぁ、お前にはある人物を探してもらいたい。」
「人物?ですか?」
人探し、今まで何度か行ったことがあるが、多くの人員を要するし、時間もかかる。そんなことは王ももちろん承知しているだろう。
「そのものはな、これからの国の行く末を決めるほど重要な男なのだ。お前も知っているかもしれんが、その男はこの国の伝説だ。かつて魔王の力で国が崩壊しかけ、さらには世界に破滅をもたらそうとした魔王を討伐したもの」
私はその男を知っている。いや厳密に言えばその男の伝説を知っている。なぜなら私はその伝説が好きでかつて男が属したというこの国の騎士団に入団したのだから。しかし・・・
「王よ、意見をしてもよろしいでしょうか。」
「よい。許す。」
「・・・そのものを探すのは王の命ならば承りましょう。しかし、その者の伝説は200年も昔の話です。エルフならまだしも、かのものは人間であるはずです。ならばすでに没しているのでは?」
そう、この話は矛盾しているのだ。男の年齢を考えればすでに死んでいると考えるのが普通だ、しかし王が命令したということはきっと何か意味があるはずなのだ。
「お前の考えは正しい。私も前王、父から話を聞くまでは昔の人物だと思っていたからな。しかし・・・かの者は生きている。現在はここより東にある村でひっそりと生きている。理由までは私も父から聞くことができなかったがな。お前に頼みたいのはかの男を説得してここに連れてきてほしいということだ。もちろん明日が大切な日だということは知っているが、あの程度の魔物の数なら我々の騎士たちだけでも、なんとか戦い抜くことができるだろう。イルミナの騎士たちにも私から伝えておく。・・・・頼めるか。」
にわかには信じれない話だ、お伽話の人物が生きているなんて王の話を聞いても頭が理解するのを拒んでいる。・・・しかし私の胸は今までにないくらい高まっていることを感じていた。
あの御伽話の人物に会える。会って話してみたい、私の剣技を見てほしい、どんな容姿をしているのだろう。気になって仕方がない。
・・・もう私の心は決まった。
私は剣を腰から引き抜き、目の前にかざす。
「王の命確かに承りました。王の騎士団騎士団長。アリエス・ブリトマート必ず王の命を遂行いたします。」
初めまして初投稿の高崎冬也と申します。
このお話を見てくださった方大変ありがとうございます。
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