『かめさんののんびり日記帳』
⭐ひだまり童話館「開館10周年記念祭」企画参加作品です。
⭐「のんびりな話」のお題で書かせていただきました。
これは、のんびりなお話。
一匹のかめさんの、のんびり旅した日記帳。
あなたは読んでみますか?
さあ、ページを捲ってみましょう……。
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【一日目・今日の天気 晴れ】
かめである。
名前もかめさんである。
今日は天気が良いのと、とても楽しみにしてた事を始めようと思う。
旅に出ようと思う。
せっかくだから、のんびり、色んな場所に行こうと思う。
荷物を準備していたら、夜になってしまった。
まあ、焦らない。のんびりスタートしようと思う。
明日のために、今日は早く寝よう。
のんびり行き先を考えながら眠りにつこう。
ふああ、眠いなぁ。おやすみなさい。
ああ、のんびり旅を忘れないように日記帳を書こうと思う。
今日は旅の準備をのんびりしたことを書いておく。
では、グッドナイト。おやすみなさい……。
【二日目・今日の天気 ちょっと曇り】
おはよう。
旅の出発にはちょっと曇りだが、まあいい。
のんびりと出発しようかと思う。
旅の荷物は少ない方がいい。まあ、困ったらどうにかなるさ。のんびりのんびり。
家を出て、大きく伸びをした。
ゆっくりのんびりと歩き出す。旅はのんびりの方がいい。
その方が色々見つけられる。見られる。感じられる。
のんびりのんびり歩く。
かめの歩みは確かに遅い。けれど、のんびりでも良い事はあるのだ。
今日は山を越えた所までのんびりやってきた。
途中、くまさんの親子に会ったりもした。洗濯物をたくさん干していてそれが風にはたはたと揺れていた。
お茶に誘われたが、まあやんわりと遠慮しておいた。
何やら男の子のくまくんがとてもそわそわしていたからね。
また今度出会えたら、お茶会に手作りのクッキーでも持っていこうかな。
ああ、そろそろ日も暮れる。
テントで休もうかね。
明日もゆっくりのんびり行こう。
では、グッドナイト。おやすみなさい。
【四日目・今日の天気 雨】
やあ。
日記帳の君に、名前を付けようか。
なあに、昨日と今日と雨だから旅が進むことが出来ないのだよ。
暇つぶしさ。
焦ることはない。のんびりの旅だから。
こうしてテントに当たる、雨音を聞くのも風流だろう。
時に激しくざあざあと。時に優しくぽつぽつと。
雨の音楽祭に居るみたいだ。
のんびり雨音の音楽を聞きながら、コーヒーでも飲んで目をつむってみよう。
では、今日はここまで。また明日。
【七日目・今日の天気 雲一つない晴れ】
やあ。
しばらく日記帳を開かなかったから、寂しかったかい?
あれからゆっくりだが、ずいぶん進んだよ。
小さな町に着いた。小さな、本当に小さいが町だ。
まずは食料を買ったよ。だいぶ少なくなっていたからね。
それと、町の子どもたちに旅の話をせがまれてね。
のんびりと見た景色の事をのんびりと話したよ。
途中「かめさんの話つまらない!」ともぐらの男の子が言ってね、みんなどこかへ遊びに行ってしまったよ。
ぽつん、と残ったのはかたつむりのお嬢さんだけ。
お嬢さんは「もっと聞かせてほしいわ」と目をきらきらさせてくれたよ。
だから、のんびりとあるカラスの話をしたよ。
話を終えると、お嬢さんは花籠から花を一輪取って、わたしにくれたよ。
わたしもとても綺麗な花に心が和んだよ。
今日は、そんなことがあった。
久しぶりにテント以外の場所で寝れる。
グッドナイト。おやすみなさい。
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【八十九日目・今日の天気 雪】
やあ。寒いね。
今夜は冷えるから外を見てみたら、雪の結晶がひらひらと手のひらに落ちてきたよ。
のんびりと旅を続けてきて、思ったことがあるよ。
若い時はわたしもせっかちだった。
うさぎと競争したりもしたね。
だが、のんびりでも前に進んでいれば、景色は変わる。季節だってゆっくりだが変わるのを感じられる。
のんびりをのろまだと思ってしまうかもしれない。
だが、のんびりだってすごいことだ。
のんびりだって、進んでいるのだ。前進してる。止まってはいない。
もし、からかう奴らが居るのなら自慢してみればいい。
雲の流れを一日かけて追いかけたことがあるかい?
花が開いて、閉じる不思議をずっと見てたことはあるかい?
のんびりと旅をしていれば発見だらけだ。
正直、本当に楽しいよ。
まだまだ旅は続くだろう。
では、グッドナイト。おやすみなさい。
また明日も、のんびりと旅を。
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かめさんの日記帳はまだまだ続くけれど、いったんここまで。
あなたものんびりと旅をして、記録してみませんか?
のんびりとした雰囲気が伝われば、いいと思います。
お読みくださり本当におめでとうございました。