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9〜メイド×猫は最強〜

「おかえりなさいませにゃ、ご主人様!」



 メイド喫茶に入るといつものようにメイドさんが出迎えてくれた。しかし、いつもとは少し違い語尾に「にゃ」が付いていた。



「にゃ……?」



 突然の事に困惑して俺は思わず聞き返してしまった。すると優しいメイドさんはその意図を理解し説明してくれた。



「毎月2日と22日は猫さんの日なので私達も猫になってご主人様を癒すのだにゃん!」



「なるほど、最高ですね」



 メイドさんは猫耳をつけてしっぽまでつけて猫になっていた。そして皆語尾ににゃんをつけている。


 なにこの幸せ空間。ただでさえメイドという最高に可愛い存在の人達が猫という最強に可愛い生き物の可愛い所を取り入れてしまったらもう敵うものはないだろ。


 メイド×猫=この世で一番可愛いものと言っても過言じゃないと思う。



 猫の日限定の猫のカレーライスを頼み待つこと数分。



「お、お待たせしましたにゃん。猫のカレーライスですにゃん」



 声を震わせて恥ずかしそうに持ってきてくれたのは雪田さんだった。



 いつものメイド姿にプラスしての猫耳、しっぽ……破壊力やばい!!!!!





「な、なによ」


 あまりの可愛さに目を奪われているとその視線に気付いた雪田さんは頬を赤くしながらジト目で聞いてきた。



「いや、滅茶苦茶可愛いなって思って」



「な、そんなナチュラルに褒められても……」


 言葉ではそうでもないが目が泳いでいて恥ずかしがっているのが可愛い、天使。



「おまじないは?」


「わ、わかったにゃん。美味しくなーれ萌え萌えきゅんにゃん!!」



 もうどうにでもなれって感じでハートビームを撃って投げやりのにゃん。そこがまた可愛い。恥ずかしがってるのが可愛い。



 まぁ確かにこんな姿同級生に見られるなんて恥ずかしいよな。逆の立場だったらって考えるとゾッとする。


 逆の立場ってなんだ……?


『お、おかえりなさいませお嬢様……お嬢様の為に作りましたにゃん……』と自分が執事喫茶で働いているところを想像すると気持ち悪すぎて吐きそうになった。



 それにしてもメイドさん全員とチェキ撮りたいな。でもそんな金ないし……。一番撮りたい人とだけ撮ろう。



「雪田さん、後でチェキお願いします」


「う、嘘でしょ!?」


「ガチです」


「わ、わかったよ」


「にゃんがついてない、やり直し」


「わ……わかったにゃん!ごゆっくりどうぞにゃん!」


「いでっ」



 去り際に俺の足を思いっきり踏んでいきやがった。



 まぁ猫に踏まれたと思えば痛くもかゆくもないさ。



 モグモグと猫の絵が描かれたカレーを惜しみ店内の猫メイドさん達を眺めながら食べる。なにこの空間本当にいい匂いするし最高。


 ずっといたいと思うほどに心地いい。メイド喫茶の沼にはまり始めている。



 定期的にだが、小さいステージの様な所でメイドさんが歌ったり踊ったりしている時もある。もうほぼ距離の近いアイドルだ。


 実際地下アイドルとか売れていないアイドルが生活費を稼ぐためにメイド喫茶で働くとかそういう話も聞いたことがあるがそう言う事なのだろうか。


 やっぱり大変なんだな。


 そう考えると、雪田さんは何でバイトしているんだろう。もしかしてアイドルとかになりたい夢があったりするんだろうか。


 そうだったら絶対応援するしファン第一号になる。今度それとなく聞いてみようかな。





「ほら、食べ終わったならチェキ撮ろ?そしてさっさと帰れにゃん」


「そんな冷たい対応するのににゃんは付けるんだね」



 変なのって笑うと「うるさい」と肘で突かれた。


「裏でちゃんとにゃんつけなさいって注意されたんだもん」


「そういう事ね。大変だね」



 注意されてる雪田さんを想像すると少し面白いし可愛らしくもあった。



 猫ポーズをしてチェキを取り、猫のイラストの落書き付きのチェキを受け取った俺は支払いを済ませて帰る事に。



「ご主人様、行ってらっしゃいませにゃん。お帰りをお待ちしてますにゃん!」



 雪田さんに見送られて録音したかったなぁと心惜しくなりながら帰路についた。


 雪田さんとのチェキがこれで3枚になった。全部同じように見えて違う。一枚目よりも三枚目の方が雪田さんの笑顔が自然に見える気がする。


 これは俺達が少しは仲良くなった証拠なのかもしれないと思い嬉しくなった。






「おい、中川くんよくもあの日に来てくれたな?」



 ゴゴゴゴゴという効果音が聞こえてきそうな重低音で恨めしく睨んできた。



「いや、知らなかったし」


「そ、そうだけど!恥ずかしくて死にそうだったわ!」


「滅茶苦茶可愛かったよ」


「改めて感想言わなくていいから!そしてあの日の記憶を今すぐ消して!」


「それは永遠に無理だ。あの日のあの空間は幸せ過ぎて天国かと思うくらいだったからな」


「頭打ったら記憶飛ぶかな……?」


 真剣に顎に手をあて考え始める雪田さんに俺は少し恐怖を覚え離れる。



「別にいいじゃん、毎月あるんでしょ?慣れないと」


「うっさいな、あんたが来なければ解決なんだよ!」


「俺の前では恥ずかしいんだ?それって俺が特別ってこと……?!」


「そんな訳ないだろ、勘違いすんなボケ。誰だって同級生の前だったら恥ずかしいに決まってるじゃん!逆に中川くんは恥ずかしくなんないの?」


「いや、なるよ」


「ほら、なるじゃん!」


「共感性羞恥」


「お前殺すぞ」



 目が本気だった為、俺は速攻謝って逃げた。暫くはあんまり刺激しないでおこう……。





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