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メイド喫茶で働いていたクラスの可愛い雪田さん  作者: 絶対人生負け組


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39/40

39〜お願い〜

「お待たせしましたー」



 そう言って店員さんがパフェやパンケーキを持ってきた。



「わぁぁ!!」



 それにいち早く反応したのは意外な人物で俺はそれに目を見開く。


 いつもクールな感じで男女共にモテている王子様系の山川紗季。そんな人がこんなに女の子らしい仕草をしているのを初めてみて思わず固まってしまう。



 普段見る事の出来ないしっかりと女の子を感じさせるワントーン高い声にキラキラと子供の様に目を輝かせてワクワクと擬音が目に見えるかのような様子に皆微笑ましそうな笑みを向けていた。



 普段とのギャップの破壊力やばすぎだろ……。雪田さん好きになってなかったら絶対今ので落ちてた気がする。



 男の店員さんはもうメロメロなのか凄くニコニコしてご機嫌そうだった。


 そして去り際に俺と目が合うとギロリと鋭い目で睨まれた。なんでこんな可愛い三人組の中に対してイケメンでもない奴が紛れ込んでんだよとでも言いたげな目をしていた。



 うん、それは俺が一番思ってる。まじでこんな所誰かに見られたらやばいので俺は常に心臓がバクバクだ。


 隣に好きな人がいるからっていうのも勿論あるが。この時間で俺の寿命はどれだけ削られるのだろうか。



「はい、半分食べていいよ」


「ありがとう瑠奈!」


「さっきも言ったけど私のは上げないからねー?」


「わ、分かってるよ」



 理解している旨を言葉にする山川さんだったが、表情は橋本さんのパフェも食べたそうにしていた。




「あ、中川くんも何か食べる?」


「あぁうん……」



 気遣ってくれた雪田さんからメニューを受け取るとそんなにお腹も空いていなかったのでパスタを頼むことにした。



 注文を待っている間三人は美味しそうにデザートに舌鼓を打っていた。



「た、食べる?」



 山川さんから返ってきた半分のパンケーキをモグモグと小さな口で咀嚼を終えると首を傾げて聞いてくる。



「い、いや大丈夫」



 まさかここでのあーんルート!? でも流石にこの二人の前でこれ以上は無理だ。これが二人っきりの時なら迷わず食べると答えていたのに。




「んー!美味しかった。ありがと瑠奈」


「どういたしまして」


「食べるの相変わらず早いねーもっと味わいなよ~」


「ん?ちゃんと味わって食べたぞ!」



 確かに見ていて凄く美味しそうに幸せそうに味わって食べていたが一口が雪田さんや橋本さんに比べて大きいので多分それが理由だろう。



 一足先に食べ終わった山川さんは橋本さんのパフェを羨ましそうに見ていた。



 どんだけ食べたいんだこの人は。こんなに分かりやすいのに学校では甘いものが好きという話を一度も聞いたことないのが少し不思議だ。



 まぁ俺は誰かに言うほど友達がいないから言わないけど。



「んー美味しかった」


「ごちそうさまでした」



 山川さんが食べ終わって少ししてから雪田さんと橋本さんも食べ終わった。



 ……あれ?俺が頼んだパスタが来ない。気まずい。あの店員さんもしかして妬みから遅くしてるとかある?意地悪されてない?




 食べ終わって口を拭いて飲み物で喉を潤すと橋本さんが俺の方に向き直って思い出したかのように言葉を発する。



「そえばね、瑠奈ちが下の名前で呼んで欲しいってー!」


「ちょっちょっと里英?!」



 いきなりの暴露に雪田さんは飲んでいたジュースを吹き出しそうになり、むせながらも反応していた。


 その反応からして恐らく本当の事なんだろう。



 そんなことを思っていてくれてたのかと少し嬉しい気持ちが湧いてくる。




 確かに知り合ってからずっと俺達は苗字で呼び合っている。付き合っても苗字呼びなのはなんか少し距離を感じるし俺も下の名前で呼び合いたい。


 雪田さんもそう思ってくれていると知ったならするしかない。呼び方を変えるのって中々機会が難しいし恥ずかしい。けどその機会をくれた橋本さんに心の中で感謝の気持ちを述べる。


 俺は雪田さんの方に身体を向け、ゴクリと喉を鳴らし緊張で乾いた口を開く。




「る、瑠奈……さん」



「春樹くん……」



 頬を赤くして上目遣いで遠慮がちに名前を呼ばれ可愛すぎてため息が出る。


 見つめ合ってお互いの名前を初めて呼び合う。恥ずかしいけど目は逸れるどころか惹き付けられる。



「えー呼び捨てじゃないの?」


「うるさい、分かったよ」



 いい雰囲気でお互いが満足していたのに橋本さんが水を差してくるが、確かに言ってる事は間違いではない。


 俺は日和ってさんづけしてしまったのだが、橋本さんはそれに気付いてもう一度やり直すチャンスをくれたのかもしれない。


 普通ならたまたまだろうと思うかもしれないが橋本さんは考えてないようで色々と考えている事をこの前メッセージをやり取りして知っている。



 気を取り直して俺はもう一度雪田さんの名前呼ぶ。



「る、瑠奈」


「春樹……」



 それに呼応するように雪田さん、瑠奈も俺の名前を君づけじゃなくて呼び捨てしてくれた。



 暫く見つめ合い静かな時間が訪れる。



 だって前の席に座ってる二人にどんな顔して向けばいいか分からないから。俺達はお互いにずっと見つめ合うのも気まずくなり顔を伏せゆっくりゆっくり身体を前に向ける。



「……かぁぁ!初々しいねぇ!!」


「見てるこっちが恥ずかしいぞ」



「「うるさい」」



「息ぴったりだ~?!」





 声が重なっただけなのに妙に嬉しくて、思わずニヤケそうになる。我慢できない、そんなキモい顔を見せないように口元を手で隠す。



「この空間が甘すぎて胸焼けしそうなので私達はここらでお暇しまーす、あとは二人でごゆっくり~?」


「二人とも可愛いな。楽しんでね」



 二人は席を立ち、荷物を持つと「それじゃ」と言って帰っていった。



 橋本さんが原因でこんな甘々空間になっちゃったんだけどな……。わざとだろ、策士め。


 それで山川さんはえげつない程のイケメンな微笑みを残していくな。思わずキュンとしたわ。


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