35〜忘れられない一日〜
〇side雪田〇
まさかの中川くんからの告白を受け、その後長いハグをしたりと凄く幸せな時間を過ごした。
口から心臓が出ちゃいそうなくらいドキドキした。
今まであんまり見れなった中川くんの照れた表情が可愛くて好きの気持ちが溢れてきた。
もう我慢しなくていいんだ。恋人になったから好きの気持ちいっぱい伝えられる。
あんなに気持ちを伝えるのは緊張して怖くてたまらなかったのに、過ぎてしまえば意外と呆気なかったと感じる。
まぁそう感じられるのも付き合う事が出来たからだけど。
時間も夜遅くなり始めたので、わがままを言っておんぶして貰った私は家まで送ってもらう。
今両手が塞がってて何も出来ない中川くんにこれでもかと意地悪しまくった。
今までの合計で行くと絶対からかわれた回数の方が多いからその分の仕返しだ。
一々照れる反応が可愛すぎてもっと意地悪したくなっちゃったけどお別れの時間が来た。
「お前マジで覚えとけよ」
「まさかあんなに照れるとは思わなかったんだもん」
「それに、変態な中川くんは嬉しいでしょ?」
「…………」
事実で何も言い返せないのか中川くんは黙っていた。
家に着き、ゆっくりと姿勢を低くして私が降りやすくしてくれるとゆっくりと地面に着く。
密着している時間が終わり、少し名残惜しい感じはするけどもう私と中川くんは付き合っている。だからいつでもこういう事が出来ると思うと嬉しさと恥ずかしさでまた体温が上がっていく。
「送ってくれてありがと!それじゃ……またねおやすみ」
「うん。またね、おやすみ」
お互い照れて少し俯きながら遠慮がちに手を振る。中川くんが見えなくなるくらいまで玄関の前で見送ってから私は家に入った。
さっきまでの楽しい時間の満足感を噛み締めながら、私はるんるんで着替えたりお風呂に入った。
湯船に浸かると今日は色んな事があったなと一日を振り返る。後半は嬉しさと恥ずかしさで顔をお湯につけてぶくぶくしていた。
それにしてもさっきおんぶされて帰ってる時、テンション上がっちゃって滅茶苦茶からかったり変な事言ったけどキモくなったかな……。それに公園でハグしたいとか大胆な事もしちゃったし……。
「んんんっ!」
これ以上思い出したら恥ずかしくてのぼせそうなので、お風呂から上がり何も考えないように髪の毛を速攻で乾かしたりしてベッドにダイブ。
一段落すると、そういえば里英と紗季に連絡してない事を思い出した。
里英と紗季が一緒にいるメッセージグループに付き合った事を報告すると速攻既読がついてお祝いのメッセージが送られてきた。
【わあぁ!!おめでとう瑠奈ち!よくやった!】
【本当におめでとう瑠奈。瑠奈から告白したのか?】
【いや、中川くんの方からしてくれた】
【よし、みんな明日空いてる?】
【私は空いてるが……?】
急に里英が脈絡もない事を言い始めたので紗季も困惑しつつ返事していた。
【私も特に何もないよ】
バイトも入っていない。明日どこか遊びにでも行きたいのかな?
【明日、ご飯行こ!お祝いじゃ~!!】
【お、いいね。行こう】
【え、いやいいよ別にそんなしなくて】
【いいや、瑠奈ちは絶対参加です。根掘り葉掘り聞き出すので絶対来てね】
【逃げるなよ瑠奈】
【えぇぇ……】
どうやら拒否権はないらしく、私抜きでどんどんと話が進んでいく。そして明日昼くらいから近くのファミレスでご飯を食べる事になった。
それにしても私の事なのにこんなにお祝いしてくれるなんて改めていい友達を持ったなと思わされた。
自分の事のように喜んでくれる、そんな友達と出会えて私は幸せ者だ。
明日も昼から遊ぶことになったので早めに寝る事にしたのだが、今日の事が頭に過って中々寝付けない。
中川くんが告白してくれた言葉をまた思い出しその後抱き合った時の事もフラッシュバックしてまたも頬が熱くなる。
枕に顔を埋めて「あぁぁぁぁ!」と恥ずかしさで悶えベッドの上を転げ回る。
暫くの間同じ事を何回も繰り返していたら気付いたらいつの間にか眠りについていた。
〇side中川〇
雪田さんを家まで送って別れた後、俺は今日の事を思い出していた。
それにしても濃い一日だったと思う。
思い出すだけで頬が赤くなる。口元に手を当てると顔が熱くなっていた。
「くっそ、あんなにからかわれるとは思ってなかった……」
恋人という関係になった瞬間雪田さんは水を得た魚の様に大胆な事を言ったりしてくるようになった。
俺はそれに圧倒されていつものようにからかい返したりできず、照れさせられるばかりだった。
上目遣いで遠慮がちに「ハグしたい」と言われた時の光景を思い出し可愛すぎて胸が締め付けられる。
キュン死しそうなレベルで可愛かった。あんな感じで色々おねだりされたら何も断れなさそう……。
誰が相手でもあの表情は断れないと思う。
いやあの表情は他の人に見せたくない。俺だけのものだし。
俺は雪田さんがあの表情を誰かに向けているのを、一人で勝手に想像して嫉妬するという自滅をしていた。
雪田さんをおんぶして帰っている時身体が密着していた感覚がまだ少し残っている。胸の膨らみ、太もものもちもち具合、耳元で聞こえる息遣いが鮮明に思い出そうとすればするだけ邪な気持ちが湧いてきて、自分の頬を叩く。
それにしても、耳元で「好き」と呟かれた時は力が抜けて雪田さんを落としそうになって危なかった。首元を鼻でクンクン臭われるのもくすぐったくてやばかった。
雪田さんって意外とSっ気なのか……? 今まではM寄りなのかと思っていたけど、それもそれでありだな……。
強気な所でからかって逆に照れさせる、分からせるのもまた面白いかもしれない。
あんな積極的だとは思ってなかったので少しびっくりしたが、俺の事が本当に好きなんだと感じれて恥ずかしさもあるが嬉しくもあった。俺ももっと愛情表現しないと不安にさせちゃうかもしれないよな……。
付き合う前はまじで友達って感じだったからからかえたけど、好きって自覚してからは嫌われたくない気持ちの方がデカい。
恥ずかしいけど、ちゃんと言動で好きって表せるように頑張ろうと生温い風を感じながら帰路についた。




