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メイド喫茶で働いていたクラスの可愛い雪田さん  作者: 絶対人生負け組


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31/40

31〜同級生の母性〜

 〇side中川〇



 一口求めてきた時の雪田さんは目を閉じていて首筋を落ちる汗にいつもと違う浴衣が相まって凄く色っぽく見えてドキッとした。


 俺はそれを紛らわすように雪田さんの口に多めのかき氷をぶち込んだ。



 好きな人に意地悪しちゃう小学生みたいなことをしてしまった。



 それで雪田さんは間接キスとか全く気にしないかのように俺にイチゴを食べさせてきた。



 照れてるのがバレないか不安で雪田さんの顔が見れない。間接キスで照れるとか、俺はまじで小学生かと自分でも突っ込みたくなる具合だった。


 浴衣かっこいいと褒められた時も内心凄い嬉しくて思わずニヤケそうになってしまうレベル。


 照れてるのがバレたらからかわれそうだから我慢我慢。逆に照れてるの見つけたらいじってやるぞくらいの気持ちでいる。




 いきなりかき氷を物凄い速さで食べ始めた雪田さんに困惑していると食べ終わった雪田さんはしかめっ面で頭を抑えていた。



「頭いたい……」


「そんなに急いで食べるからでしょ馬鹿なの?」


「う、うっさい分かってるわ!罰として焼きそばを奢りなさい!」


「はいはい、かしこまりましたお嬢様」



 さっきはわがままメイドだったのに今度はお嬢様になった。



「ふんふんふん」



 随分と機嫌がいいのか移動する時も鼻歌を歌って屋台をキョロキョロ見渡していて見ていて飽きない。


 本当に楽しんでいるのが伝わってきて誘ってよかったと思わせてくれる。



 その後焼きそばを食べたり、りんご飴を食べたりチョコバナナを食べたり、唐揚げ、フライドポテト、たこ焼き、ベビーカステラを食べた。飲み物はお祭りと言えばのラムネ。流石に全部奢りはしなった。だって金なくなるんだもん……。



「太んない?」


「うるさい、今日くらいはいいの!」



 俺は一口だけ貰ったり半分食べたりしてたが殆ど雪田さんが食べていた。結構食べれるのは少し意外だった。



 プールや海で見た時はモデル並みに痩せていてスタイルも良かったからそんなに食べないのかと思っていたがこの食べっぷりをみるに普段は我慢しているんだろうことが分かった。



 雪田さんが幸せそうに食べている所を見ていると不思議とこっちまで嬉しくなる。



 無邪気に食べる姿可愛すぎる……。




 ご飯に満足したのか次は遊べる出店に向かって行く。俺はそれについて行く。



「ねぇ射的しよ!」


「やるか」


「負けた方は次の屋台奢りで!」


「うわまじか絶対負けない」




 二人それぞれお金を払っていざ勝負。







「むっず!!」


「はは、俺の勝ちね」


「いや中川くんも一個だけしか取れてないし、簡単に取れそうなお菓子しか狙ってなかったじゃん!ずるいんですけど?」


「戦略勝ちです。さぁ奢って貰おうか!」




「お兄ちゃんだっさ」



「……」



 ボソッと近くの子が呟いたのが耳に入りショックを受けると雪田さんも苦笑いしていた。



「さ、さぁ気を取り直して次行こ次!」



 励ますように次は金魚すくいへ。



「生き物すくうの無理ゲーだろ……」


「金魚の気持ちを考えれば取れるぞー?!」



 今度は俺は一匹も取れず負けた。雪田さんは三匹も取っていて誇らしげに胸を張っていた。



「うー、取れないよー……」



 俺達よりも先にやっていた子は何回も何回もチャレンジしているようだったがそれでもまだ取れていなかった。



「よし、俺に任せとけ」



 今にも泣きそうな少年にそう声をかけて、雪田さんからのアドバイスを参考にチャレンジ。


 少年は期待の眼差しで俺を見ていた。




 少し緊張しながら金魚の気持ちを考えて、ゆっくりとポイを水につける。



 このポイも同じ金魚だぞ~。


 心の中で金魚に向かって話しかけると動きが遅くなった金魚を狙って一気にすくい上げる。



「「あ……」」



 もう少しで取れそうだった瞬間、金魚が元気よく跳ね上がり、ポイを破いて水に帰っていった。



 残念そうな声を揃えて出した少年と俺は、目を合わせて数秒固まる。



「ごめん少年、俺には無理だ」



 少年は期待していただけにがっくりと酷く肩を落としていた。



 申し訳ない事をしたな……俺がもっと金魚すくい上手ければこの子を喜ばせる事が出来たのに。




「ねぇねぇ、これいる?」



 一部始終を見守っていた雪田さんはしゃがんで子供の目線に合わせるとさっき取った金魚を掲げて見せる。



「え、いいの……?」


「うん、お姉ちゃん育てれる気がしないからさ。貰ってくれたら嬉しいなー?」



 優しく微笑みながら逆にお願いする雪田さんの様子はまるで保育士やお母さんのようだった。



 母性やば……これはいいお母さんになるな。



 うんうん、腕を組みながら俺は胸中でそんなキモい事を考えていた。



「分かった。僕大切に育てるね!!」


「ありがと!」



 少年は差し出された金魚を受け取り満面の笑みでそう宣言する。



「お姉ちゃんお兄ちゃんありがと!」



 さっきまでの曇り顔は見る影もなく、少年は俺達にお礼を言うと手を振りながら走り去っていった。



 姿が見えなくなるまで手を振り返し見守ると、ゆっくりと立ち上がり尋ねる。



「雪田さん、良かったの?」


「ん?実際金魚育てれる自信ないし、そんなに欲しくもなかったから大丈夫。それにいやいや育てられるよりも、欲しくて大切にしてくれる人が育てた方が金魚も幸せでしょ?」



 それが普通でしょ?と何ともないように言うが、そんな考えを一瞬でして直ぐに行動に移せる人がどれほどいるだろう。多分そんなにいないと思う。



「やっぱ雪田さんって凄いな」


「そうかな、ありがと。でもあの子の為にいち早く行動した中川くんも凄いと思うよ」


「取れなかったけどな」


「そうだね」



 あははと笑い合いながら俺達は次はどこ行こうかと話していた。

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