表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メイド喫茶で働いていたクラスの可愛い雪田さん  作者: 絶対人生負け組


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/40

18〜自分の感情〜

 〇side中川〇



「中川くん起きて」



 身体をゆすられ目が覚めるともうすぐ降りるバス停に近付いていた。



「おはよ」


「あれ、俺達結婚したんだっけ?」


 まるで子供に向けるかのような柔らかい笑顔を向けられた俺はまだ夢の中にいるようだった。



「なんでだよ、してないわ!」


「いはいです(痛いです)」



 ほっぺをつねられ痛みを実感し夢じゃなかったと認識する。



「起こしてくれてありがとう」


「うん」




 それにしても今日は楽しかったな。色々な事があったけど良い思い出になった。唯一心残りがあるとするならばそれは雪田さんの水着の上にパーカーのラッシュガードを着たエッチな姿とビキニ姿の写真を撮り忘れた事だ。



 また機会があったら、次こそは忘れないようにしよう。今は記憶の中での姿を拝もう。



 そうこう考えている内にバス停について別れの時が来た。バスを降り、背伸びをして空気を吸う。


 空が赤くなり始めているがまだ蒸し暑さの残る空気を肺いっぱいに取り込む。



「中川くん、今日は誘ってくれてありがと」


「こちらこそ、ありがとう。楽しかった?」


「楽しかったよ、今日は色々迷惑かけてごめんね。助けてくれてありがと。それじゃ、またね」



 バイバイと遠慮気味に手を振る雪田さんに俺も手を振り返す。




 今日は本当に色んな事が起こった。長いようで短い一日だった。


 家でのんびりとしていると雪田さんが働くメイド喫茶のSNSの通知が来た。何だろうと思い通知を見るとグッズ販売のお知らせだった。



 元々あそこで働いている人のアクスタや缶バッチ、クリアファイル、タペストリーなどのグッズはあったのだが雪田さんのはなかったので買っていなかった。


 雪田さんはバイトの身だからグッズは出ないだろうと思っていたのだが、今回バイトの子だけに絞ったアクスタと缶バッチ、クリアファイルが出るらしい。その中には勿論雪田さんもいた。



「手に入れるしかないだろこれ」



 俺はそのサンプル画像をみて全部コンプすることを決めた。


 アクスタは普段のメイド服に笑顔でウィンクしてハートを作っている最高に可愛い。缶バッチはその写真の上半身だけだ。けど缶バッチは持ち歩けるから欲しい。クリアファイルも日常的に使えるし、欲しい。


 三つ買えるセットというのもあるらしい。セットで買えばおまけでチェキ風クリアカードも貰えるらしい。複製の直筆コメント入りだ。


 同じ写真なのはまぁコスト的な問題もあると思う。



 バイトの子のグッズは期間限定的な物で、数量も限定と書いてあった。恐らく、バイトの子だから売れ残ったら勿体ないという事だろう。それにいつ辞めるかもわからないからだと思う。


 俺は発売日をスマホのカレンダーに入力して忘れないようにした。





 発売日当日。俺は朝から準備をしてメイド喫茶に向かっていた。この調子なら開店と同じくらいの時間に着く。


 昨日はこの為に早く寝たというものだ。それに宿題も少し終わらせてご褒美として雪田さんのグッズを買うのだ。



『おかえりなさいませ、ご主人様』



 お店に着くとまだ開店したばかりだというのにいつもより人が多かった。やはり皆バイトの子の限定グッズを求めてきたのだろう。


 バイトの子の期間限定。しかも数量も限定。限定に次ぐ限定だ、これを逃せば次はないと思った方がいいのだろう。


 それにしても商売が上手いと思う。オタクなんかは限定と言う言葉に弱い。しかもそれを二重の限定にしているのだから。




 今日は朝ごはんを食べている暇がなかったのでここで食べる事に。いつも通り注文するがもうかなりお金もなくなってきているので今回はチェキはなしで行く。



「お待たせしました……げ、来たのか中川……」


「勿論、雪田さんのグッズを買いに」


「ちゃんと把握してるのすご、キモ。ごゆっくり~」



 え、褒められたかと思った次の瞬間には罵倒?!なにこの二段階ご褒美。



 朝から可愛い美人でセクシーなメイドさん達を眺めながら食べるご飯は最高だった。



 長居するのも人が多くて悪いのでさっさと雪田さんのセットのグッズを買うことにした。初日と言うこともあるのかバイトの子がセットを買ってくれた人にチェキ風クリアカードを手渡しで上げていた。


 俺もセットを買ったので貰える。



「買ってくれてありがと、大事にしてよね」



 雪田さんは少し照れながらお礼を言い手渡ししてくれた。



「ありがと、頑張ってね」


「うん」



 バイト中の雪田さんは何故かツンデレ味があって更に可愛い。



 朝から凄く癒されて気持ちよくなった俺は帰る途中、普段はしないおばあさんの荷物を持つ手伝いをした。


 それでまたおばあさんにお礼を言われジュースまで貰って嬉しくなった。



 今日は良い事尽くめだ。なので宿題をやろうという気持ちも湧いてきた。


 アクリルスタンドを机に飾って雪田さんに見守られながらする宿題は捗った。疲れたらこれを見て癒される。たまにこの前撮った制服エプロンの写真を見たりもした。



 もう雪田さんがいないと生きていけない身体になってしまったので今度責任を問いてみようと思う。




 〇side雪田〇



 今日からバイトの人達のグッズが期間限定で数量限定で販売されることになった。親からこれも社会勉強と言われ許可は貰っている。



 でも自分がグッズになるなんて少し、いや結構恥ずかしい。これを先輩たちやアイドルのみんなやってるってなると凄いなって思う。


 慣れたら恥ずかしいとか思わないのかな……? 私は滅茶苦茶自分の容姿に自信があるわけじゃないから不安でもある。


 今日からのグッズも他の子は売り切れて私だけ売れ残るなんてことにならないか不安で仕方がなかった。



 でもそれは一人の男の子の存在によって吹き飛んだ。


「お待たせしました……げ、来たのか中川……」



 料理を持っていくと中川くんが来ていた。思わずゲッと言ってしまったが緊張がほぐれた。



「勿論、雪田さんのグッズを買いに」


「ちゃんと把握してるのすご、キモ。ごゆっくり~」



 私はいつもの調子を取り戻す事ができ、ぎこちない笑顔じゃなくなる。




 中川くんはご飯を食べた後、私のグッズを一つだけじゃなくセットで買って行ってくれた。


 お店が開いてから直ぐなのに来てくれたし、どんだけ私のグッズ欲しいんだよと呆れたが嬉しかった。



「買ってくれてありがと、大事にしてよね」



 中川くんの家に私のグッズがあるのを想像すると恥ずかしくなってツンとした言い方になってしまった。



「ありがと、頑張ってね」


「うん」



 お店が忙しいのをしっかり見ているのか中川くんはさっさと帰っていった。



 こちらこそ、ありがとうだよ……。





 休憩時間になり、私は裏で昼ご飯を食べていると美佳(みか)さんが声を掛けてきた。



「瑠奈ちゃん瑠奈ちゃん、最近あの子良く来るよね」


「あの子って……?」


「さっき瑠奈ちゃんのグッズセットで買って行ってた子だよー」


「あぁ中川くんですか?」


「え!なになに、名前知ってるって事はそういう関係?!」



 中川くんの名前を出した途端に目をキラキラと輝かせて聞いてくる美佳さんに私は笑顔を引きつらせる。



「学校の友達ですよ」


「えーそうなんだー」



 事実を言ったら何故か残念そうな表情をされた。



「学校の子にここで働いてる事言ってないんじゃなかったっけ?」


「まぁそうなんですけど、運悪くバレました最悪ですよ」


「あははは!そうなんだ。でも付き合ってないのかー……なら、お姉さんが狙っちゃおっかなぁー」



「え……?」



 こちらを横目でチラッと見て舌で唇を舐め、目を細めて小悪魔の様な笑みを見せる。



 一瞬びっくりしたが、冗談だと思い私は「あはは」と愛想笑いをする。



「結構可愛い顔してるよね」


「でもめっちゃ変態ですよ」


「ふーん、いいじゃん。瑠奈がちゃんがいらないなら私が貰っちゃうよ?いい?」



 冗談だと思っていたのだがチャンスがあったら本当に狙いそうな感じがして私は想像してしまう。


 美佳さんは私よりも胸もお尻も大きくてスタイルがいい。それに美人で面白い。私なんか怒ってばっかりだ。




『春樹くん……』


『美佳さん……』



 お互いに名前を呼び合いながら距離が近付いていき、キスをする手前まで想像してしまい、モヤっとした気持ちが心に広がり「ダメです」と反射的に答えてしまった。


「えー、なんで?」


「な、なんで……?」



 なんで私は美佳さんと中川くんが付き合うのが嫌なんだろう。ダメなんだろう。分からない。でも二人がイチャイチャしている姿を想像するだけで息が苦しくなる。想像したくない。



 言葉に詰まった私はしょうがなく、そのまま正直に答える事にした。



「分かりません……でも嫌です」


「そっかそっか、でもいつまでもそのままの関係でいられるとは限らないからね。私が狙わなくても他の人が狙うこともある。だから、嫌なら早くしないとだよ」



 美佳さんは優しく微笑みながらアドバイスをくれると仕事に戻っていった。



 私はやっぱり中川くんの事が……――好き……?



 今の関係がずっと続けばいいなと思っていたが、美佳さんに言われた通り中川くんも彼女が出来ればそうはいかなくなる。


 このままの関係はいつまでも続くわけじゃない。それは理解している。中川くんにだって恋愛する権利はあるし、誰と付き合おうが自由だ。


 私は今の関係を変えたくない。変わってしまうのが怖い。



 好きと認めるのが怖い、これが恋なのか自分でも分からない。



 私はこれからどうすればいいのか、もうちょっと自分の感情と向き合ってみようと思った。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ