14〜アクシデント〜
一応の為に準備運動をしっかりして俺達は水の中に入る。試しに流れるプールに入って遊ぶことにした。
外から見た時はそんなに早く流れている感じはしなかったがいざ入ってみると直ぐに流されていく。
「雪田さんって泳げるの?」
「泳げるわ!」
「そんな怒んなくても」
怒鳴られたので俺は水を雪田さんの顔面目掛けてかけると「ぶへっ」と言って目を瞑っていた。
その表情が面白くて笑っていると鬼の形相をした雪田さんが「おい、ちょっと待てよ」と言って追いかけてきた。
俺はやべと思い流れる水の勢いを利用してさっさと逃げる。後ろを振り返ると追ってきていたので水中に潜り泳ぎながら逃げる事に。
自分で泳ぐよりも早くスイスイと泳げて凄く気持ちいい。楽しく泳いで顔を上げると雪田さんがぽけーと諦めたのかゆっくりと流れに身を任せていた。
もう一周差がついていたらしい。俺は良い事を思い付きバレないように他の人に紛れながら雪田さんに近付く。
人違いだったら中々に気まずいのでもう一回確認して俺は潜水する。
目標、あの素晴らしい太もも。
水の中に潜り雪田さんに近付き、太ももをガシっと捕まえる。そして水の上に顔を出した瞬間頬に痛みが走る。
「雪田さん痛い」
「あっごめん……じゃないわ!びっくりしたもう!」
「ドッキリ大成功~あはは」
「お前、ダルッ!」
そう言いながらも雪田さんも笑っていたのでまんざらでもないのだろう。
するとさっきまで笑っていた雪田さんの表情が一気に強張るのが分かった。
「どうした?」
「いや、その……足つっちゃって……」
「え、」
その言葉を呟いた後直ぐに限界が来たのか雪田さんは水の中に沈んでいった。
150センチくらいあれば普通に床に足が着く深さではあるが、それでも溺れる事はある。
俺はまずいと思い急いで潜り雪田さんの身体を抱き寄せ、脇の下に手を入れて体を持ち上げ浮上する。雪田さんは離れないように首に手を回してくれた。
「ぷはぁっ!」
空気を求めて息を吸う雪田さんを見て俺はホッとする。
「大丈夫?」
「はぁはぁ……なんとか。ごめん落ち着くまでこのままいさせて」
「うん」
首に手を回し、完全に抱き合う形になり俺はドキドキと心臓が早くなり始めた。
抱き合ったままゆっくりと流れていく。周りの喧騒の中、この空間だけが静かで時間の進みが遅く感じる。
完全に脱力して俺に寄りかかり肩に顎を乗せた雪田さんの呼吸の音が耳元で聞こえる。呼吸の音と共に動く胸。
胸を押し当てられ、密着状態で俺の息子は元気になり始めていて焦る。
「ま、まだ?」
「ん、もう大丈夫。ありがと」
くすぐったくて鳥肌が立つ。
「ん?降りろよ」
「やだ、これ楽しいかも」
拒否した雪田さんは水中で俺の後ろに回りガシっとホールドしてきたかと思うと足を巻きつけてきた。
危うく俺の息子に当たる所でびっくりした。
おんぶの形になると「進めー!」と前に指を指し、命令する。
俺は息子がバレるのもまずいと思ったのでゆっくり泳いでみる事に。水着という一枚脱いだら直ぐに肌という状態でこんなに密着されたらやばい。
色々なところが当たって、凄い柔らかい感触を肌に感じながらも無心になれるように泳ぐ。
「っはぁ……はぁ、疲れた」
「楽しかった」
「そりゃよかった」
満足したのかようやく離れてくれて俺も落ち着きを取り戻してきた。
「中川くんってほんと、見かけによらず運動できるし身体もがっしりしてるよね」
「急に褒めてなに、怖い」
「たまには普通に褒めてもいいでしょ!!」
それもそうか、いつも言い合っているから少し変な感じだ。もう色々と麻痺してきた気がする。




