13〜恥ずかしくて水着を隠す為に上から着るパーカーも良い〜
時は少し飛び、今日はウォーターパークに雪田さんと遊びに行く日だ。
「準備よし、忘れ物もなし」
最終確認を終えて、集合時間よりも少し早めにつける様にそろそろ家を出る事にした。
玄関を開けると蒸し暑い空気がむわっと身体を包み込み一瞬にして汗ばんでくる。セミの声も倍増して頭がどうにかなりそうだ。
でも晴れてよかったと安堵しつつ、雪田さんはどんな水着なのかなと想像をするだけでまた身体の熱が上がってくる。
俺、プールで痴漢とかしないよな?大丈夫だよな!俺!?と自問自答するがもしもの時は雪田さんが殴って止めてくれるだろう。
暑くて思ったよりも時間がかかり、5分前に着いた。
「あ、中川くーん!」
「おはよ、今日も可愛いねぇ」
「おはよう。今日も暑いねぇみたいな感じで言わないでくれる?でもありがとう」
青いショートパンツに白色のシャツを入れて上から通気性が良さそうな淡い水色の腰辺りまであるカーディガンを羽織っていた。
頭には黒のキャップを被っていて遠目に見たら元気っ子の様な服装。けれどよく見たら凄くオシャレで可愛らしいし、少し透けている水色のカーディガンが大人の雰囲気を出している。
でもリュックを背負っているのでやっぱり少し子供っぽさが残っていて面白い。
この前バイト終わりに会った時はショートパンツにパーカーっとゆるっとした感じでそれもまたよかった。
「服、オシャレでめっちゃ似合ってるよ。可愛い」
「え!ほんと!よしっ」
褒められたのがそんなに嬉しかったのかガッツポーズまでして喜んでいる。そして俺の服装も褒めようとしたのか、こっちを見て顎に手を当ててむむむと考えていた。
「中川くんは……普通だね」
「普通で悪かったな」
「い、いや悪いとは言ってないからね?! 変な文字とか絵書かれたTシャツとかそんなのじゃなくてよかったよ」
「アニメのなら持ってます」
「外着ていくのそれ……」
「いや、流石にそんな勇気ないから部屋着だよ」
「中川くんがまともなの珍しい……」と呟いていたがそれ聞こえてるんだよな。俺だってちょっと普通の人より変態の普通の男子高校生だ。
至って普通だろ。うん、普通だ。
お互いの服装であーだこーだ言っていると、バスが来たので乗る。涼しい空間に入りふぅと自然とため息が出た。
やはり夏休みだからかバスの中はそこそこ混んでいた。
俺達は丁度開いている席を見つけてそこに座る事に。バスって意外と狭くて肩が触れ合う距離だ。
息を吸うたびに雪田さんのいい匂いがする。
「早く降りたくなってきた」
「なんでだよ」
「近いから汗臭くないかなって……」
「寧ろいい匂い過ぎてやばい」
「そういうのまじでやめて、恥ずかしい」
汗の匂いを気にしていたから褒めたのに外を向いてしまった。
それにしても狭いけど、何故か落ち着く。バスが動き出し、揺れると雪田さんは態勢を崩し寄りかかってきた。
「ご、ごめん」
「大丈夫、気にしないでご褒美だから」
「……」
キモい事を言っているがそれが俺なりの気遣いとでも思ったのか言い返してこなかった。
ただでさえ肩は常に触れ合っているのに、揺れたり曲がったりする度にお互いの距離がより近くなりドキッとする。
俺はこの時間を堪能する事にした。
目的地に着きお金などを払い、集合場所を決めて各々着替えに行く。
着替え終わり集合場所で待っている間暇だったので周囲を見渡すと出店などご飯を食べる所もあった。
焼きそばやたこ焼き等のソースのいい匂いが漂ってきてよだれが出る。
雪田さんの水着はどんなのだろうと気になり、周囲の女性の水着姿を見てみることに。
スクール水着を着ている幼い子を発見する。可愛い。でも雪田さんはスク水では絶対ないだろう。この年になってあれを学校以外で着るのは恥ずかしいと思うし。
昨今色々な水着の種類があってびっくりする。まるで服の様な水着もあるしワンピース、フリルのスカートや定番のビキニなんかもあるし、でもビキニにも色々な種類があるしで全く分からん。
でもこれだけは言える。どんな水着を着ていようが雪田さんは絶対に似合うと。
「ちょっと、何で他の女の子ばっかり見てるの」
「すんませんした」
後ろからいつの間にかにょろっと現れて声を掛けられ反射的に謝ってしまった。
雪田さんの方に視線を向けるとパーカーのラッシュガードを着ていた。
「…………」
「な、なに。ちょっと恥ずかしくなっただけだし」
ラッシュガードのファスナーもしっかり閉めていて何も見えない。けれどそのせいで股下から少しはみ出した水着がクッソエロくなっているのに気付いていないのだろうか。
太ももにも目が行って眼福。
もじもじと視線を泳がせて恥ずかしがる雪田さんに俺は正直に言う事にした。
「その方がエロいんですけど?」
「なんで?!」
「その見えるか見えないかとかいうシチュエーションが一番萌えるんだよ。見えない部分を想像してしまう」
「スカートとかの絶対領域と同じなのね……」
「そういう事だ」
てかそれが伝わるのかよ。少し前から思っていたのだが……
「雪田さんって意外とムッツリだよね」
「そんな事ないわ!!」
全力で否定してきたせいで逆効果になってしまった。うん、雪田さんも意外と変態なんだな。俺に散々変態とか言ってたけど。
そういうプレイが好きなのか……?!
「いい加減にしろ」と考えている事を読むかのようなタイミングでお腹を叩かれた。
「余計に恥ずかしくなってきた。はぁ」
そう言ってファスナーを下す所作がまた色っぽいなと思いながらも目が離せない。双方の山が現れそれを覆う黒い水着。
首の後ろで紐を結ぶタイプのビキニだった。
「ど、どう?」
「え、やっぱそっちもエロ可愛い」
「変わんないじゃんけ!!」
どうと聞かれたから至って真剣な感想を述べただけなのに腹を殴られた。
「てか、中川くんって意外と筋肉あるよね」
「そう?」
「うん、もっとヒョロヒョロのガリガリかと勝手に思ってた」
「まぁ暇な時とかたまに筋トレしてるから」
ムラムラした時は運動とか筋トレすれば収まるからやってたりもする。してたら自然と筋肉がついただけなのだが。
「わぁ、堅いね」
「っその……くすぐったい」
急に腹筋を指で突かれたり触ってくる行動に俺はたじろぎ顔を背けるとそれを逃さなかった雪田さんは煽ってきた。
「ふーん?触られるの恥ずかしい?ほら、えいえーい!」
突かれる度に反応してしまい、流石にうざくなったので指を掴んで辞めさせる。
「反応可愛かったのに……残念」
「うるさい」
「ひゃぁっ?!」
可愛いと言われて恥ずかしかった俺はそれを隠すように脇腹をくすぐってお返しすると雪田さんは飛び跳ねて逃げようとするので捕まえて継続する。
「可愛いね」
「あっははは、ちょ、やめっ!あはは」
必死に抵抗しながらも笑って力が入らずに中々抜け出せないでいた雪田さんはその場に座り込んでしまった。
脇腹を抑えつつ俺を睨みつけてくるその目には微かに涙が浮かんでいた。上から見下ろすその姿は中々にそそるものがあった。
え?これ犯罪者の思考ですか?大分やばい思考してるよね。
嫌がる子に無理やりしようとしているような図が出来上がってしまった。
「ごめんごめん」と謝りつつ、手を差し伸べると雪田さんはフンっと少し怒り気味に起き上がった。
「乙女の脇腹を触るなんて重罪だぞ」
「凄く柔らかかったです」
「感想は聞いてないしいらない!」
いつものように叩かれたが昼ご飯を奢ると言ったら許してもらえた。優しい。




