12〜偶然の出会い〜
〇side雪田〇
中川くんが帰ると私は食器を洗いながらさっきの事を思い返しては笑みがこぼれていた。
あんなに料理を美味しそうに食べてくれて嬉しかったな。カレーなのにあんなに褒めてくれるとは思ってなかったし、いっぱい食べてくれる姿を見ているとまた作りたい気持ちも湧いてくる。
今度は何作ってあげようかなと考えている内に直ぐに洗い終わってしまった。
中川くんにプールに誘われたので持っている水着を入るか確認してみると……全体的に小さくきつい事に気が付いた。
良かった……事前に確認してなかったらやばかった。
布の面積も小さくこれじゃまるで痴女みたいだった。
「水着買いに行かないとだ」
何気に中学生の頃に行ったのが最後な気がする。学校の授業とかではやったが、流石にスクール水着で行くのは恥ずかしすぎる。
私も久しぶりのプールに今から楽しくなって気付けば鼻歌を歌っていた。
〇side中川〇
家に帰ってから雪田さんのシフト表を貰っているのでそれで確認して4日後にすることにした。その旨をメッセージすると即了承のスタンプが飛んできた。
俺はそれまでになるべく宿題を終わらせようと張り切り夜遅くまでやった結果、夏休み初日は夕方に目を覚ます事になった。
「やらかした……」
まだ眠い瞼を擦りながら起きるが凄い後悔が襲ってくる。夏休み一日目を無駄にしてしまったって後悔。虚無感が襲ってくる。
起きてすぐで何もやる気が出ないので取り敢えず昨日撮った雪田さんの制服エプロンの写真を眺めていた。
うん、やっぱ可愛い。
よし、と気合を入れて宿題はせずに今日はのんびり過ごす事に決めた。残り少ない一日だからいいよね。
明日はちょっと出かけてみようかな。
有言実行、出かける事に成功したものの特にすることが無かったので適当にアニメイトやゲーセンを見て回った。
欲しいものとかは沢山あったのだが、メイドに行きすぎてお金がないので我慢することに。
本当にお金ないからバイトでも始めないといけない。お店の前に貼ってあるバイト募集の張り紙を見ていると視界の端に見覚えのある顔が入り込んだ。
「あれ?雪田さんじゃん」
「やっほ、何してたの?」
「特に何も別に」
「なんかヤバい事した人のセリフみたいだよそれ」
大丈夫そ?と苦笑しながらも心配してくれた。
頭が大丈夫そ?って言ってんのかこいつ。まぁ頭は大丈夫じゃないかもしれないけど。
「雪田さん今日バイトじゃなかったの?」
「今終わって帰りに水着買いに来たの」
「そうだったんだ。もう買ったの?」
「うん」
「着て見せて」
「やだよ!変態!こんなところで着る訳ないでしょ?!プールの時のお楽しみで」
「楽しみに妄想膨らませとくね」
「なんかまじでやだキモい、一緒行くのやめようかな」
「すみませんでした」
速攻頭を下げると「嘘だよ」とケラケラと笑っていたので安心した。なんだかかんだ俺の変態な部分を受け入れてくれている雪田さんは大分変わっていると思う。優しすぎると思う。
その後特に二人とも用事がなかったので途中まで一緒に帰る事になった。
「宿題進んだー?」
「いや、あれから全然やってないや」
「まじか、意外。あの集中力ならもう結構終わらせてるのかと思ってた」
俺を何だと思っているんだ。それに集中力はそんなに長く持たない。宿題という嫌な事を思い出させられて気分が下がる。
「私はあれから一つ終わらせたよ」
勝ち誇ったようにむふふとドヤ顔している。実は俺が三つ程終わらせているとは知らずに。ここで俺の方が終わってるしって言って雪田さんのやる気を削ぐ気にはならなかった。それにバイトしている雪田さんとは違い俺は何もしてないから俺の方が進むに決まってる。
「頑張ってるじゃん、俺もやんないとだな」
「そーだぞー、遊んでばっかりじゃだめだぞーっ!」
にっこにこの笑顔でそう言われると俄然やる気が出てきた。速攻終わらせてびっくりさせてやろうかななんて考えも浮かんできたが、そんな二日三日で終わる程の量じゃないし、プールの日に体調でも崩したら嫌なので少しずつやることにした。
それにまだ夏休みは始まったばかりだ。
「じゃ、俺こっちだから。また明後日」
「うん、またね」
帰ってから俺は少しでも進めようと宿題をやり、息抜きにゲームや動画を見たりと夏休みを満喫した。




