表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

小説

愛をください

作者: 永井晴


寂しげな色が大っぴらに見えてきました。ようやく私も、疑いようのない孤独に堕ちたのです。愛というものを知ったあの日からは、もう半年は過ぎてしまいました。私は孤独と仲が良いのだとばかり盲信していましたが、それは単なる悪魔の囁きでありました。強さというのは、最初からなかったのでした。零落の日々には、阿鼻叫喚にも替え難いほどのただならぬ静寂が流れております。その均衡を破ろうという者は一向に現れないのです。

しかし、そんな小生も可愛らしい猫を一匹飼っているのです。そいつは黒目がちで、悪戯好きな小さなメス猫でありました。しかし近頃は仕事に専念してしまった為に、狭い一室の隅にちょこんと座っているのをよく見かけるようになりました。静かな部屋に、可憐な猫が一匹、絶望にひれ伏した娼婦の如くひっそりと佇む姿はなんとも美しく、また見るに堪えない程に不幸なのでした。

私もまた一つ、孤独になりました。哀れな自らを省みては、その中に僅かなる美しさが閃いていました。自己陶酔とは、なんと傲慢なことでしょうか。しかし、お許しください。その度に思わず零れてしまうのは、貧賤な苦笑だけなのであります。ああ。どうか。誰か。人間の私に、愛という明るみをもう一度、連れてきてやくれませんか、ねえ……


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ