愛をください
寂しげな色が大っぴらに見えてきました。ようやく私も、疑いようのない孤独に堕ちたのです。愛というものを知ったあの日からは、もう半年は過ぎてしまいました。私は孤独と仲が良いのだとばかり盲信していましたが、それは単なる悪魔の囁きでありました。強さというのは、最初からなかったのでした。零落の日々には、阿鼻叫喚にも替え難いほどのただならぬ静寂が流れております。その均衡を破ろうという者は一向に現れないのです。
しかし、そんな小生も可愛らしい猫を一匹飼っているのです。そいつは黒目がちで、悪戯好きな小さなメス猫でありました。しかし近頃は仕事に専念してしまった為に、狭い一室の隅にちょこんと座っているのをよく見かけるようになりました。静かな部屋に、可憐な猫が一匹、絶望にひれ伏した娼婦の如くひっそりと佇む姿はなんとも美しく、また見るに堪えない程に不幸なのでした。
私もまた一つ、孤独になりました。哀れな自らを省みては、その中に僅かなる美しさが閃いていました。自己陶酔とは、なんと傲慢なことでしょうか。しかし、お許しください。その度に思わず零れてしまうのは、貧賤な苦笑だけなのであります。ああ。どうか。誰か。人間の私に、愛という明るみをもう一度、連れてきてやくれませんか、ねえ……