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田村仁の、男の見せ所③

「動物と話が出来ること、本当に今まで誰にも言ったことがないの。今回の件、一応私の担任の先生に『来栖さんが怪しい男に付き纏われてます!』って先生に相談したら、最初は真剣な顔してたのに、事の経緯を詳しく話したら、『何でそんなに事細かく説明出来るんだ?』って聞かれて、何も答えられなかった。私が答えられなかったら『一応、バスでの出来事は学校で共有して注意喚起されるようにしておくから』って言われて終わった。来栖さんに直接伝えた方がいいかとも思ったけど、来栖さんなら直接その男に掴みかかって行きそうな気もするし…。田村くんにしか相談できないかなと思って」


そう言うことだったのか。確かに、先生が訝しむのも分かる。だが、動物が話せるなど言える訳がない。寄木氏が懸念している通り、動物と話せるなどと言ったところで、誰が信じるだろうか。誰も信じないだろう。そう。小生以外は。


「寄木氏の判断は賢明だと思います。おっしゃる通り、動物と話せる説明したところで、先生も信じなかったでしょう。寄木氏が変な方だと思われるだけです。先ほども言いました通り、小生は信じます。鳩のホーちゃん以外には、どなたと会話が出来るのですか?」


「他にはね、家で飼ってるうさぎのミミ。犬のペロ。ハムスターのホッペタ。外で仲良くなって喋れるようになったのはホーちゃんだけ」


ホー殿が頭を寄木氏の頭に寄せる。仲良しの印なのだろう。


「先週バスで絡まれた後、家に無事に帰れてホッとしてテレビを見てたら、たまたまあるニュースが流れてた。被害者は三十代の女性で、ナイフで襲われて軽傷。容疑者は五十代の男性。コンビニのレジを待ってる列に割り込んだらしく、それを注意されて女性を尾行し、犯行におよんだって。それを見て、ふと不安になった。もしかして来栖さん、逆恨みされたりしないかなって。まさかそんなことないと思ったけど…でも、そんなニュースも最近多いから怖くて」


小生もそんなニュースが最近よく増えたような気がする。ただの逆恨みだ。


「だからホーちゃんに来栖さんを一週間ぐらい見守ってて欲しいってお願いしたら、そしたら、まさか本当に跡をつけてるなんて…」


「も、もしや、小生にも友人をつけて頂いていたのですか⁉︎」


寄木氏が苦笑いする。


「いや。田村君には何もつけてないかな…」


いやはやお恥ずかしい。考えてみれば、あの男が小生の後をつけるわけがないではないか。


「へへへ。ごめんね」


美しい表情で寄木氏は笑う。彼女が笑うと、そこに花が咲いたような気持ちになる。美しい方とは、動物と会話が出来る以外にも、不思議な力を持っているらしい。


「いや失敬。余計なことを聞いてしまいました。それはそうと、どうして寄木氏は格好が違うのです?そのお姿だと…目立ちませんか?」


「え?そうかな?万が一あの男に見つかっても、この格好なら、この前バスに乗って奴だってバレないかなと思って」


「そういう事でしたか。でも、目立つという意味では難しいですね…。我々があの男を尾行しているのがバレないか心配です…」


何か思い出したように寄木氏が携帯を見る。


「もうこんな時間。そろそろ来栖さん、駅にいると思うから、私たちも行こう」


「承知しました。来栖さんはお買い物でもしているのですか?」


寄木さんがニッコリと笑った。


「見たら田村くん驚くと思うよ。来栖さんが何をしてるのか見たら」



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