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「うーん、暇だ…」
すっかり自分の部屋と化した『アリスの館』の一室で僕は机に突っ伏した。
とりあえず、夏休みに入って、僕はすることがない。たまに飯田が遊びに誘ってくれるけれど、それ以外は特に用事がない。『アリスの館』も、たまに来客はあるみたいだけど、僕にはお呼びがかからない。
そうこうしているうちに、お盆も近くなってきたし、家を出てからもう1ヶ月はゆうにすぎているし。うーん、そろそろ家に帰るかなぁ、という気分になってきた。だけど、自分から帰るのはなんだか悔しい。両親は僕がいなくて平気なんだろうか。
「ふふふふふっ」
いつものように夕食を食べていると、アリスが意味ありげに笑った。
「ラビット、帰りたくなってきたでしょ」
「そ、そんなことない!」
僕の心を見透かしたかのようなアリスの言葉に、僕は思わず反論した。そんな僕を見てアリスだけでなくナイトまでニヤニヤ笑って嫌な感じだ。
「そう。じゃあ、ラビットも行く?」
ニッコリ笑って、尋ねているけどイエス以外の答えを求めていないアリスの言葉に、せめてどこにかくらいは言って欲しいと僕は切に願った。
ナイトに目をやると、ふっと笑うだけで、教えてくれる気は全くなさそうだった。
「じゃあ、30分後に玄関集合!」
アリスの言葉で僕は部屋に戻ったが、どこに行くのかも分からないのに、準備のしようもない。万が一に備えて、いつものリュックに着替えめ詰め込んだ。
そして玄関に向かうと、華麗なワンピースを見に纏ったご令嬢とまだ未成年のはずなのにビシッとスーツできめたご令息が佇んでいた。
なんという居心地の悪さ。家のクローゼットを覗けばいくつかスーツが並んでいるけれど、取りに行けるわけもない。
「あの…僕は留守番をして…」
「行くわよ!」
います、という言葉を言わせてもらえず、僕はアリスに腕を引っ張られて玄関を出た。




