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3-3

『久しぶりの実家はどう?楽しくやっている?』

 なんともいえない気持ちで部屋に戻ったら携帯電話にそんなメッセージが来ていた。

 アリスからだ。

 何故だか、フフフッと何もかも見透かしたかのようなアリスの笑い声が聞こえた気がして思わず振り返ったが、ただの壁があるだけである。


 楽しい、わけはない。

 以前と大きく変わることもない我が家。

 にこやかだけど絶対的権力者の母に、僕に興味なんてなさそうな父。

 そんな家に帰ってきたところでね。

 僕はソファーに寝転びながら、なんと返そうか考えた。


 しばらく考えたものの、よいアイデアが浮かぶことなく、僕は『普通です』と返した。

 いつか、アリスにあの水晶玉について聞いてみたいな、と思った。なんだかニッコリとした笑みだけが返って来そうだけど。

 そして、僕は気がついたら寝ていた。



 翌朝、ソファーの上で目が覚め、アリスからの『頑張ってね』のメッセージに思わず肩を竦めた。

 実家に帰ってきているだけなのに、一体何を頑張るんだろう、ね。


 とりあえず、お風呂に入ろう、いや、シャワーだけで十分かな、と部屋を出ると、千代に会った。

「おはよう」

 僕がそう言うと、千代は少し驚いた顔で僕を見て微笑んだ。

「おはようございます。お早いお目覚めですね」


 そういえばそうだったなぁ、と思う。

 僕がいつも起きるのは遅刻ギリギリ、それも千代が起こしに来てから。たとえ早く目が覚めても、その時は必ずと言っていいほど、二度寝をしていた。


 その僕が、朝の6時に部屋から出てきている。

「シャワー浴びようと思って…」

 なんだか照れ臭くなって、僕がそう告げると、千代は軽く首を横に振った。

「お湯をはってきますから、しっかり湯船に浸かってください」

「わかった」

 僕は千代が呼びにくるまで、のんびり自室で過ごした。ソファーにゆったり座っていても、不思議と以前のように二度寝に繋がることはなかった。


 やがて千代が呼びに来て、僕は自宅のお風呂で薔薇の香りに包まれながら手足を伸ばした。

 懐かしい香りにふんわりと包まれて、気持ちがほんの少し上向きになった、そんな気がした。

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