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2-2

「エスコートしてちょうだい」

 アリスにニッコリ微笑まれ、拒めるわけもない僕はアリスに手を差し出した。

「さあ、行くわよ」

 なんだかちょっと戦闘モードっぽく言われたが、何をしに行くのか僕には見当もつかない。

 戸惑いながら振り返ると、ナイトに、まぁ頑張れ、と送り出された。何を頑張るのだろう。


 アリスと連れ立って歩き、やがて重厚な扉の前で一度立ち止まった。扉の両側に立った2人がゆっくりと扉を開けると、室内の眩い光が漏れてくる。

 半ばアリスに引っ張られるように、僕はその光の中へ歩をすすめた。


 壮大な生演奏に迎えられ、僕はアリスと眩い光の中にいた。盛大な拍手がアリスに向けられる。

「お誕生日おめでとうございます!」

 どこからかそんな祝福の声が上がり、僕はギョッとする。今の言葉はどう考えてもアリスに向けられたものだ。えっ、アリス、今日誕生日なの?何も準備していないけど。これは、大失態だよね…。プレゼントは後で準備しよう、僕はそう固く心に誓った。

 気まずくなりながらアリスを見ると、アリスは満面の笑みを浮かべながら優雅にお辞儀をしていた。


 アリスのバースディパーティーと思われるパーティーは立食形式だった。最近の僕はこんなお誘いは断ってばかりだったから、なんだかそわそわして落ち着かない。とはいえ、久々にこんな場に出てきた僕のことなんて大半の人間にはどうでもいい存在だろう。しばらくしてそっとアリスから離れると、人の塊から脱出することができ、ようやく僕はホッと息を吐いた。


 たまに、僕のことを知っている人にも出くわしたが、当たり障りのない挨拶だけ交わすとそっと離れる、それを繰り返しながら時間が過ぎるのをひたすら待った。中には、アリスをエスコートして現れた僕のことに興味を持って寄ってきた人もいたが、そこは曖昧に笑ってごまかしてさっと離れた。


 部屋の隅々まで華やかな花々が飾られ、中央のテーブルには、お洒落に盛り付けられた前菜から湯気たつパスタや肉料理や魚料理、華やかなデザートまで、実に美味しそうな料理が並ぶ。飲み物も、豊富なアルコール類だけでなく、僕ら未成年にも配慮されたソフトドリンクも数多く並ぶ。僕は時間潰しも兼ねて料理をサーブしてもらうと、部屋の隅の方で料理を楽しむことにした。


 うーん、美味しい。僕は料理を頬張りながら、これを自宅でしてしまうんだから、流石は菅原家、と感心していた。

 そして、ようやく少し心に余裕が出てきた僕は周囲を見渡し、ある人物を目にして固まった。

 母だ。よく考えてみたら、僕の両親がこの場にいても全くおかしくはない。父の姿は確認できないが、この会場のどこかにはいるのかもしれない。

 僕は慌てていつのまにか近くにいたナイトの陰に隠れた。助けてもらえる、とは期待してはいなかったけれども、これはない。

 ナイトは僕の肩をぐいっと掴むと、母の方に押し出した。

 僕は慌てて背を向けようとしたけれど、母はすぐに僕に気付いて近寄ってきた。とはいえ、けっして駆け寄ってきといるわけではないから逃げようと思えばできないわけではない。


「あら、本当に会えたわ」

 母ののんびりとした声を聞きながら、僕は全身の力が抜けるのを感じていた。

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