夢なら覚めてほしい
私の名前は高見 麗、世間一般で言うところの普通の女子高校生。
ある日私は学校から家に帰ってゲームをしてそのまま眠くなっていつの間にか寝てしまった所までは思い出せる。
だけど現在私は目を覚ましても何故か目の前は真っ暗で周りが何か固い壁のようなものに覆われている。
私まだ寝ぼけてるのかな?
だが誰かの声が薄っすらとだが聴こえてくる。
明らかに家族以外の知らない声だ。
「早く卵から出てきてくれないかしら、アテネ様と同時期に出産したのにアテネ様の御子様は一月程前に卵の殻を破ったというのにうちの子は全然出てきてくれないのよね」
卵?生まれた?一体何を言っているんだ?
とにかくここから早く脱出しないと、夢ならさっさと醒めてよね!
そう思った瞬間不思議と力が湧いてきた。
本能というべきだろうか、私は思いっきり固い天井に頭突きや手を使って攻撃し始めた。
少しずつではあるが天井から亀裂が生じ段々と光が差し込むようになってきた、もう一息だ。
亀裂も大きくなっていきあと頭突き一発分あれば割れるところまできた。
正直もう限界だったが最後の力を振り絞り思い切り天井に頭突きをして暗い壁の中から顔をだした瞬間、思わず声を叫び出してしまった。
「ぐわぁぁぁ〜(やったぁぁぁ〜)」
えっ?今の私の声?、だがそれ以上に理解できない風景が私の目の前に広がっていた。
周りはとてつもなく大きな山に囲まれていて、その間に大きくて綺麗な川が流れていた。
学校の教科書でしか見た事なかったけどこれは渓谷と呼ばれる場所なんだろうと理解できた。
だがそれにしても身体がとてつも無く痛い、全身筋肉痛になったような感覚だ。
あまりの痛さに倒れ込むとさっきの声の主が目の前にいた。
傷一つないと思われるエメラルドグリーンの鱗を身に纏った大きなトカゲ…ドラゴンが…ドラゴン⁉︎。
一体何がどうなっているの?夢なら早く覚めてよ!
心の中で未だ混乱していると、目の前のドラゴンは口を開いた。
「はじめまして、私は名前はレイリ、あなたの母親よ」
「ぐわぁ?」
生まれたばかりで呂律が回らないのか恐怖のせいなのか上手く話せない。
正直身体中痛いが恐る恐る自分の腕を見てみるとあきらかに本来付いているはずの人間の腕が違う生き物のウデに変わっていた。
さらには腕だけじゃなく身体も白い鱗で覆われているて更には尻尾まで生えていた。
怖い怖い怖い、全くわけがわからない、母親?そんな事どうでもいいから私はいつになったら目が覚めるの?
私は未だに現状が理解出来ないでいた。