出会い
そして僕プラナがこの世に生まれて2年が経った。
伝承の加護で得た知識によると、今自分がいるこの場所は龍族のみが生息する地【アーク】と言うらしい。
大きな川があり大きな山に挟まれた渓谷のような場所で僕達龍族が暮らしている。
【アーク】には土地全体に特殊な結界が貼られていて龍族以外はこの地には訪れることはできないらしい.…そう、"龍族以外“は。
どうやらこの世界は龍族以外にもいろんな種族がいるらしい、人間という種族、魔族、精霊、それ以外にも色々いてそれらが暮らす国がこの世界にはいくつもあるらしい。
いずれは僕も外の世界に行ってみたいな…ちょっと怖そうだけど…。
あとこの世界には魔力と言う不思議な力が存在する。
魔力には火、水、風、地、光、闇と言う6つの属性に分かれている。
龍族は産まれる瞬間その内の属性の中から1つ力を授かることができるらしいが稀に親同志の属性をそのまま遺伝で複数の属性を授かったりすることがあるらしい。
話を少し戻すと僕の身体は右半身が白金色、左半身が黒で色が別れている。
母親のアテネは光属性、会った事のない父親は闇属性の力があるそうでその力を遺伝したんじゃないのかと母さんに推測された。
ただ複数の属性を持って生まれた龍はここ数百年出てきていないらしく僕が産まれた当初は他の龍族達からも不思議な物を見るような目で見られた。
心の何処かでもう慣れた部分もあるのだが…確かに珍しいかも知れないがあまり良い気はしない。
そんな事を思いながら渓谷の山の中間付近に位置する平らな岩場で身体を丸くしてウトウトしながら寝ていると、
「プラナ、危ないからこちらにいらっしゃい。」
突然の声に驚きビクッと身体を起き上がらせると目の前に僕より倍以上は身体が大きく綺麗な白金色の鱗を纏った母・アテネが翼を広げ宙に浮いていた。
「ごめんなさい母さん、だけど丁度いい岩場を見つけて横になったら岩の冷たさについウトウトしちゃって…つい…」
「空を飛ぶ練習をしてる最中急にいなくなったと思ったらに何をやっているんですか全く、とりあえず今日はここまでにしてうちに帰りましょう」
「ごめんなさい母さん」
「反省しているならいいわ、でもやっぱりそのマイペースな感じはどう考えても父親似のようね。」
会った事のない父親と似てると言われても困る。
その思いつつ母さんのように翼を広げ宙を舞いながら自分達の住処へと帰る事にした。
住処に帰ってきて近くの川で水分を補給していると、川の向こう岸に自分と同じくらいの大きさの白い鱗の龍が同じ川の水を飲んでいた。
自分と同じくらいの年齢だろうか、一体何処から来たのだろうか?
そんな事を思いながらも向こう岸まで飛んで思いきって声をかけてみた。
「はじめまして、僕は名前はプラナ。君の名前は?」
そう言うと白い龍の子は一瞬驚いたがちゃんと返事を返してくれた。
「・・・ゼロ・・・私の名前・・・」
これが僕の生涯の相棒となるゼロとの出会いだった。
次回から4話程ゼロの視点でゼロが生まれたばかりの話を書きます。