加護
時間が経つにつれ身体の痛みもなくなり徐々にではあるが動けるようになってきた。
「ではこれより我々一族に伝わる伝承の加護をあなたに与えます」
「ぐあぁ〜?」
呂律が回らず上手く喋れない、しかし加護とは一体なんなのだろう?
「この加護は我々龍族の力だけではなくこの世界の知識、言葉を与え、心体の成長を促す力があります」
そう言って母の手から小さな光の球が現れた瞬間その光の球が私の身体の中に入っていった。
「ぐわぁぁぁ⁉︎」
なんだこれは⁉︎
身体が焼けるように熱い。
全身を無理矢理に作り変えられている感覚が身体全体から感じとれた。
さらに頭の中にこの世界の知識、言葉が流れ混んでいく。
しばらくすると身体から焼けるような熱はなくなり、身体も一回りも二回りも大きくなっていた。
「はあ、はあ、はあ、これはいったい...えっ⁉︎」
今自分自身から言葉を発したことに驚いた。
さっきまで呂律が回らず上手く喋れなかったのに...
すごい、これが伝承の加護の力というやつか
「上手くいってよかったわ、生まれたばかりなのに苦しい思いをさせてごめんなさいね」
全くである。
せめて加護を与える前に教えてほしかった。
「ではあなたに名前を与えます。
新たな生命の息吹の意味を込めて[プラナ]と名付けます」