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その日、日曜で夕方帰宅した僕は、リビングでテレビを見ていた。
すると、母が来て、僕の、そばで、洗濯物を畳み始めた。
僕は、気にせずテレビを見ていたが、しばらくするとテレビを消して、母に先日、一人暗い部屋で思い出していた兄との、会話を、そのまま話した。
母は聞き終えてクスクスと笑い出した。
僕は、それを見て怪訝に思った。
それが僕の顔に出ていたのだろう。
母は洗濯物を畳むのを止めて僕を見て言った。
「ごめん、ごめん、いやね、お父さんと、お兄ちゃんの昔の会話を思い出しちゃって♪」
無論、
母の言う、お兄ちゃんとは、僕の兄のこと、
お父さんは、僕の父のことだ。
母は、続けた。
「大分、昔だけど、あなたは、ここにいなくて、
このリビングで、やはり、お父さんと、お兄ちゃんがテレビを見ていて、その側で母さんが今みたいに洗濯物を畳んでいたの。
そしたら、お父さんが、テレビをジーっと見ていた、お兄ちゃんにオモムロに、
『おまえ、ボクシングの試合が今は長くて12ラウンドで、1ラウンドおきに1分間のインターバルがあるのは知っているよな?
では、そのボクシングの試合が途中で終わらずに最後まで続いた場合、双方はトータル、何分間インターバルを取ったことになる?』って尋ねたのよ」
僕は、母の話を黙って聞いていた。
母は、話を続ける。
「お兄ちゃん、少しだけ考えて『12分間』って言ったわ。
お父さんは、それを聞いてニヤッ…ってしてるだけ。
お兄ちゃんは、そんな、お父さんを見て困惑気味になってて、それにタマリかけた私が、
『最終ラウンドは、インターバル取らないでしょ!』って言っちゃった(σ'д`)」
「…つまり、父さんの出した問題の答えは、『11分間』だったわけだよね?…」
「そう♪」
「…母さん、それ、いつの話?」
母は、再び洗濯物を畳み出しながら言った。
「うーん、本当に大分まえだから、まだ、お兄ちゃん成人も、してない時だったじゃないかしらね…
お兄ちゃん、ボクシングの試合が昔は15ラウンドあったみたいなことは知ってる子だったけど、つまるところ、お父さんが出した問題には正解できなかった。
お父さんは、おそらく、その当時の、お兄ちゃんは正解できないだろう、と思う問題を出す人なのを、私は分かっていて、案の定、お兄ちゃんは、すっぽり、それにハマり、画に描いたようにキョドるから、さすがに私もイラッとしたっていう今となっては、懐かしい思い出よね♪♪」




