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ある時、兄が僕に話してきた。


「俺は大学で福祉を全般的に広く学んだ。

その後、老人ホームにケアワーカーとして勤めた。

それから、ケアワーカーから福祉用具の営業マンをしていた。


その営業マン時代、朝、会社にスーツで出社して営業車に乗り、走る走る……

背広を脱いでスタッフジャンパーになることも多々。

口も使うが体も使う営業……。


そんな、ある時、

ある顧客の家族が、俺の目の前でケアマネージャーに嘆く。

『義母は、探し物が見つからないと私が、盗った、盗った、って言うんです…』と。

ケアマネージャーは、それに対して、抱擁感ある様子で、

『私の母も、そうでした。認知症の、はじまりは、そういったモノトラレ被害妄想でした』と述べた。


認知症って、昔、ボケ、って言われてたが、それが良くないってことで、痴呆と呼ばれるようになり、それも良くないって話になり、今に至るんだ」


「なんか、夢も希望もない話だね……。」


「……俺は、そういう業界にケッコウ長く、いた。あの顧客家族とケアマネージャーの話していたことが、

介護という限りなく広いものの中心にあるように俺は今でも思っている。

…でもってだ、

俺が、お前に真に聞いてほしいのは、

これらのことは、俺の人生の1%にも満たないってことだ。

だが、机で学んだことプラス、社会で遭遇した、このようなケースは、ここ最近の俺の、在り方に確かに、大きな影響を及ぼしている」


「それでも、1%にも満たない……と」


「おまえ、やっぱ、俺の、こういう言い草、不快か?」


「いや、それは特にないけど…。」


「なら、良かったよ~♪こういう話、父さんや母さん、恋人とかには出来ないと俺は思っていてな。

いや、恋人は、いないんだけどね……

やっぱ、俺と人生の共有時間が長い、おまえは、違うな♪♪」


「……。」

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