表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/21

第五話



その眼は、静かにひらかれ、わたしを見つめた。わたしは、見つめられるままに

「では、中臣の家から、百年毎に娘が消えていたのは、その為、だったのですね。」

「?」

「我が家では、百年毎に16になった娘が神隠しに遭うのだと言われていました。故に、その年周りの娘は特に厳しい警護の対象となりました。

不思議なのは、、、」

わたしは、言葉を切り、大きく息を吸いました。ーその時、

公爵さまは、わたしの言葉をなぞり、わたしの顔を瞬きせず見つめ、次の言葉を待っています。

「何故か、ずっと生まれなかった女の子が、その年周りには生まれてくるのです。わたしも、、、

わたしの父は男ばかり三人の兄弟の長男です。祖父も、曽祖父もです。」

「、、、」

「その前の代には、娘が一人。しかし、16で行方不明になっています。

ずっと、遡る度、同じような繰り返しです。

故に、中臣から嫁を迎えるのは、皇家でも難しいと、揶揄されています。

皆、役目の後は、こちらに嫁いでいるのですか?」

「いいえ、初代瑠璃姫さまだけです。後の13人の姫様方は、王家や、王族、或いは他国の王家に嫁がれています。

しかし、黒髪黒眼が現れるのは、我が家のみなのです。

故に、我が家の隠し名は、[光の道標]です。それは、恐らく、否確実に光の神子さまが、必ず我が家に降り立つ故、でしょう。」

わたしは息を再び深く吸い、

「それでは、今は、この世界は、どの様な災厄に見舞われているのでしょう?

貴方は何故、わたしの世界の言語や風俗習慣を理解なさり、わたしも、然り、なのでしょう?

わたしは、役目を終えました後、帰る事が出来るのでしょうか?

わたしの世界に、香陵には、多くの、わたしと同じ歳周りの娘がいます。それは、今までも同じだろうと思われますが、何故、中臣の娘なのでしょう?」

わたしは、常にはないような、少し興奮した、と、自認する程の勢いで矢継ぎ早に疑問を投げかけました。

公爵さまは身動ぎもなさらず、わたしを見つめたままでした。

「いま、この世界は嘗てない氷河期を迎えつつあります。常であれば、今は盛夏です。

そう、この国は貴女の故郷と同じような四季があります。

しかし、この5年、年を追う毎に気温が下がり続けています。

その結果作物の収穫は激減し、人々は、飢え始めています。

月日、時間の概念も貴女の国と同じです。

次の質問の答えともなり得ますが、瑠璃姫が降臨された折、宇宙が、と言うべきなのでしょうが、貴女の星と、国と、この星と国は光のランデブーと我々は呼んでいますが、超高速の互換機能を光の神子さまをお迎えした瞬間、体内にインプットされる、もしくは、眠っていた遺伝子が目覚める如く、当たり前の様に互いを受け入れられるようです。

これについては、もう1500年前から数あまたの学者が諸説たててはいますが、真実はまだ、解明されてはいませんが、先にお話した二説が有力とされています。」そこまで一気にお話されると一息つかれ、わたしの顔を見つめながら、

「これまで、地球にお帰りになられた方はなく、希望されていたか否かも不明です。故に、なのか、その方法が記された書は、私の識る限りまだ、見つかっていません。

貴女が、希望されるなら、その道を共に探ります。

そして、何故中臣の姫君なのか、それも光のランデブーと同じに、私にも判らない、又解明もされていませんが、我が家に伝わる代々の先祖の書き残した日記に因ると、故に極めて主観的になりますが、

今の貴女の在り様が、全てかと思います。」

その、言葉に、恐らく怪訝な顔をしているであろうわたしに、

「冷静で洞察力に優れ、頭脳明晰。礼儀作法はもとより、完璧な容姿、圧倒的な美貌。そして、何より、おっとりした育ちの良さ。」

一気に言い終えると、

「まるで、仲人の釣書の様だが」と静かに自嘲気味に笑む顔に出会った。

だのに、わたしの頬を涙が伝った。

公爵さまは驚き、言葉なく、わたしを見つめた。

「わたしの、価値は何処でも、同じ。それだけなのですね。」

彼は怪訝な顔をして、

「それ程の評価をされる貴女は、どれ程貴いか、。」と、言葉を、わたしの為に継いで下さった。

にも、拘らず、

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ