二話
第二話
少し、寒くて目覚めた。
わたしの部屋ではない、大理石造りの白い重厚な部屋の、天蓋付の豪奢なベッドの上だった。そうして、見慣れない白い、明らかにシルクの寝巻き姿だった。
しかし、ベッドの下の絨毯には、天と地が穏やかな寝息を立てている。
この子たちは神経質で、わたし以外から食べ物を貰わない。
のみならず、わたしに近づく者を容赦しない。そう、躾けられていた筈。
少し、頭が痛んだ。
まだ、ぼんやりと微睡むような。
小さなノックがして、ドアが開いた。
わたしは、身構えた。
覗いたのは、小学校一、二年生位の小さな女の子だった。
起き上がっていたわたしを認めると
にこやかにはにかむような表情をするとドアを開けたまま、
「お母様〜」と叫びながら、走り去ったようだった。
それでも、何故か天も地も目覚めない。
わたしは、痛む頭の為か、また、横になる事を選んだ。
横になるとすぐ、走り来る足音が複数した。また、身構えた。
先程の子がベッドの側まで走り寄り、わたしの顔を覗き込んだ。
小さな温かい手で、わたしのおでこを触り
「痛む?」と心配そうに尋ねた。
わたしは、大丈夫、と、小さな声で答えた。
女の子は、銀髪の美しい可愛らしい子だった。
「綺麗」彼女はあどけなく、小さな声で感嘆した。何が?否、何を?
「ビー、驚いておいでよ」彼女に呼ばれやって来た、恐らくビーと呼ばれた少女の母親らしき女性がそう、言った。美しい。