side.L 第26話:お昼ご飯はカレーだわ
私の数学の苦手克服が済んだ後、授業の復習とか姫子の勉強を見るとかしていたら、あっという間にお昼になったわ。
お昼ご飯は、昨日神楽に何が食べたいか聞かれた時にカレーが良いって言ったの。そしたら、色んな種類のカレーを用意してくれて驚いたわ。
「何でカレーなの?」
って神楽に聞かれて、
「海入の満足度が一番高い料理がカレーだから食べてみたくて」
って答えたら、
「カレーが一番好きって、藤山君も子供みたいな舌してるわね」
って何故か海入が笑われたわ。
そんなに子供向けの料理なのかしら?って思いながら試しに一種類食べてみたけれど、舌が壊れるかと思うくらい辛くて涙まで出てきて大変だったわ。
「ケホッ、ケホッ、何これ辛すぎだよ・・・」
「それは本格インドカレーね。うちの使用人こだわりの一品だから味は確かなはずよ」
神楽が涙目の私を見て笑いを堪えているような顔でそう言うけれど、当の本人はこのカレーに手を付ける様子がないのよ。辛くて食べられないのが分かっていて避けてるわね。
「神楽が言う通り、辛さの奥にコクが隠されていて味わい深いよ、これ。ルティアちゃんは辛いの苦手なのかな?」
姫子は同じカレーをおいしそうに食べていて、何でこれが食べられるのか不思議で仕方なかったわ。辛い物が得意だなんて、大人しそうな姫子の意外な一面が見れたわね。
そんな感じでワチャワチャとしながらも、他のカレーも食べてその味に私は満足できたわ。今度余裕ができたら自分でも作ってみようかしら。
お昼ご飯を食べ終えて、次はジュースとお菓子を囲んでお喋りすることになったわ。
「勉強会もお昼ご飯もそうだったけど、こうして神楽の家で3人でお喋りすることができるなんて夢みたい」
「そうね。ルティアが一昨日私の家に来るとき、音楽に興味が湧いたから演奏を聴かせろ、だなんてふざけたことを言い出した時は本当に頭がおかしい人なのかと思ったけれど、それであなたと手を切らなくて良かったわ」
「ルティアちゃんそんなこと言ったんだ。カラオケを出た時に、何とかなりそう、って言ってたのはそういうことだったんだね」
「まあ、聴かせろ、だなんて強引には言ってないけど、そういうことだね」
そんな感じに、ここ最近の顛末について話し合う。
「一つ気になることがあるのだけれど、ルティアが音楽に興味があると言っていたのは私の気を引くための嘘だったのかしら?」
「そんなことはないよ。何というか神楽に嘘を吐いても見抜かれそうな気がしてたし。まあ、姫子とカラオケに行くまでは音楽なんて何のためにあるのとは思っていたけど。だから音楽の良さに気付いて神楽との接点を作れたのは姫子のお陰だね」
「そんな、私はただルティアちゃんに甘えてただけで、私のお陰だなんて言い過ぎだよ。折角音楽を好きになってくれたのなら、地球の音楽を色々知って欲しいな。この前カラオケで歌った曲の歌手なんかおススメだし、洋楽で歌えはしないけど、最近人気のビリー・スタンレイっていうミュージシャンもメロディーとか好きだなあ」
「話題になってるわよね、あのアメリカのロックミュージシャン。私も曲を聞いたことがあるけれど、彼の曲からは特別な力を感じたわ」
へえ、一人で居たがってた神楽が他人を認めてたなんて意外・・・。って今聞き逃しちゃいけない言葉があったわ!
「ちょっと待って。ビリー・スタンレイ、アメリカ、ミュージシャンって、一度目の転身魔法でリノスに来た人と情報が完全に一致するんだけど!?」
「え、そんなことってあるの!?・・・でも、彼が頭角を現してきたのが5年前って情報があるね。それってその一度目の転身魔法の効果が切れた時とちょうど重なるのかな?」
姫子がスマホで彼のことを調べてくれている。
もしその情報が本当なら、更に同一人物である可能性が高まるわね。
「そうなるね。もし彼が一度目の転身者のビリー・スタンレイその人なら、できれば接触を図りたいところなんだけど。リノス語で話しているところを神楽に見せれば私が異世界人だって信用してもらえるし」
「ルティアのことは別にもうほとんど疑っていないけれどね。でも、彼が異世界のことを知る人物なのだとしたら私も会って話してみたいわ」
あら、もう私が異世界人だって思ってもらえてるのね。まあ、その分を差し引いても彼に会う必要があるわね。帰還した地球人、ビリー・スタンレイの動向を把握することは私の地球での任務の一つでもあるのよ。
そうと決まれば重要なのはどうやって接触するか、よね。何か良い案はないかしら?
読んで下さってありがとうございました。
予定通り更新を止めます。
もう少し力を付けてからこの作品には手を付けようと思います。




