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side.L 第24話:姫子にも事情を話すわ

「え・・・、どういうこと?海入君が海入君じゃなくてルティアちゃんっていう異世界人で海入君は異世界でルティアちゃんで・・・」

 そこまで言って姫子は脳が追い付かなくなったのか固まってしまったわ。

 突然校舎裏に呼び出されて異世界とか入れ替わってるだとかの話をされたら無理もないわね。これでもできるだけ簡潔には話したのだけれど。


「ありえないような話をしている自覚はあるけど、これが真実なんだ。だから、たとえ信じてもらえないとしてもこの話は姫子には話しておかなきゃいけないと思ったんだよ。

「そう・・・なんだ。簡単に信じれる話じゃないけど、最近の海入君の変わりようを思い返すと納得はできちゃうかも。でも、異世界かあ。物語だけの話じゃないのもびっくりだし、まして私の身近で異世界の関係者が居るなんて思いもしなかったよ。というか、私なんかに話しちゃって良かったの?」


 あら、今までのこともあってか、すんなり受け入れてくれたみたいね。異世界の物語を見知っていたからというのもあるみたいだけれど。

 信じてもらえたようで私が一安心していると、ずっと様子を見ていた神楽が口を開いた。


「それについては私が説明というか、謝罪しなければいけないわ。私がルティアに、姫子は藤山君のことが好きなのにこれからも騙し続けるの、って言ってしまったのよ。悪い意味じゃないから誤解しないで欲しいのだけれど、姫子は分かりやすいから、姫子の気持ちに藤山君もルティアも気付いていると私は思い込んでいたわ。でも、実際は二人とも姫子の気持ちを知らなくて、私が言ってしまったばかりにその事は5年後に藤山君にも伝わってしまうらしいの。完全に私の失敗なのだけれど、ルティアは私が謝れるようにって全てを姫子に話してくれると約束してくれたのよ。

 本当にごめんなさい、姫子。酷い事を言ってしまったことも、勝手にあなたの気持ちをバラしてしまったことも・・・」

「そんな、神楽は私のことを思って言ってくれたんだし、気にしなくていいよ。多分、私の気持ちなんて高校が終わっても伝えられなかっただろうし・・・。

 それに、今はこうして神楽が私と向き合って話してくれるだけで嬉しいんだから、これ以上のことは望めないよ」


 神楽の謝罪を聞いて、目に涙を浮かべながらそう話す姫子。その涙はまた神楽と仲良くできることへの喜びの涙なのかしら、それとも自分の恋路が予想外の急展開を見せていることへの動揺の現れかしら?後者なのだとしたら、私にも非があるのよね。


「姫子、私も謝るよ。あなたの好きな人の体を5年間も奪うことになってしまってごめんなさい」

「ルティアちゃんまで・・・。そこは本当に気にしないで。確かに私は海入君のことが好きだけど、同じくらい神楽のことも大切なんだ。ルティアちゃんが海入君の体を使うことにならなければ私と神楽はずっと疎遠なままだったと思うから、ルティアちゃんには感謝してるんだ。海入君が異世界で無事なのかが心配ではあるけど」


 姫子は本当に優しい人ね。いつも他人のことを気遣ってるわ。


「海入なら大丈夫だと思うよ。なんせ背後では国が守ってくれるし、首都ネストは魔物対策が万全だから海入が無茶をしない限りは死ぬことはないから。海入の記憶から人柄を分析しても、私の体を大切にしてくれる気がしてるんだ」

「そうだね。私も海入君なら他人の体で無茶をするなんてことは無いと思う。

 ・・・それにしても、ルティアちゃんは海入君の考えてたこととか全部知ってるんだよね?なら、海入君が私のことをどう思ってたか、とかも分かるってこと?」


「まあ一応。海入が完全に忘れちゃってることとか、覚えていてもちょっとした出来事とかだと私が意識して思い出そうとしない限りは知らないままなんだけどね。海入が姫子のことをどう思ってたか、知りたい?」

「うっ、ちょっと気になるけど、それを聞くのは怖いかも・・・。その、本当にザックリと、良い印象か悪い印象かだけ教えて欲しいかな」


 姫子はそう言うと顔を赤らめて俯いてしまった。

 どうやら怖気づいちゃったみたいね。姫子はもっと自信を持っても良いと思うんだけれど。


「そうか。良いか悪いかなら、良い、だね」

「ほんと!?良かったぁー。朝の挨拶だけする変な人だって思われていないか心配だったんだ。でも、そう思われてなくて安心したよ!

 って、話がすごく逸れちゃったね。つまりは、これから神楽とまた中学の時みたいに話したり遊んだりできるってことだよね。本当に嬉しいなぁ」


 姫子はさっき俯いていたのが嘘のような笑顔になった。

 神楽が言っていた分かりやすいっていうのはこういうことなのね。


「そうね。私は人との付き合い方を考えてみないといけないわ。一人で居たって、外からの刺激がなければ何も変われないみたいだし。だから、私の自分勝手な都合で振り回すことになって申し訳ないのだけれど、姫子にはまた私と関わって欲しいの」

「それは全然構わないよ。でも、そんな堅苦しい感じじゃなくて、前みたいにもっと距離の近い話し方をして欲しいな」

「・・・それはちょっと今は厳しいわ。昨日起こったことが大きすぎて、未だに私は自分の中の変化に追いつけていないもの。余裕ができたら努力してみるから、今はこの口調のままでいさせて」


 そう言いつつも、神楽は口元を緩ませている。

 姫子と神楽の仲直りも無事に上手くいったみたいね。これで私も心がスッキリしたわ。


「うん、分かった。私は神楽の心の整理が追い付くまでいくらでも待つよ。

 というか、折角こうして普通に3人で話せるようになったんだから、今度こそちゃんとした勉強会をやらない?ルティアちゃんの歓迎会的なのもできれば兼ねたいんだけど」

「いいわね。前の勉強会は私が駄目にしてしまったから、その償いもしたいわ。明日は土曜日だからちょうどいいし、私の家でやらない?料理と快適な空間を用意するわよ」

「本当!?昨日神楽の家で食べた料理はすごくおいしかったし、また食べられるなんて嬉しいよ!」


 突如決まった神楽の家での勉強会兼私の歓迎会。昨日の料理を思い出したら期待で声が弾んでしまったわ。


「ふふ、ルティアも結構分かりやすい子なのね。料理一つでこんなに簡単にテンションが上がるだなんて」

「笑わないでよ・・・。リノスではただ料理ってだけでご馳走だったんだから。私からすると日本の美食への執着は異常だよ。こっちからするとそれを分かっておいて欲しいな」


 ちょっとからかわれてしまったけれど、細かいことは気にしてたら負けね。

 明日がとても楽しみだわ!


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