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第44話:青髪の男 前半

 研究所に長居した結果、かなり遅い時間になってしまった。早く帰らないとミサさんを心配させてしまう。そういうわけで俺は研究所を後にして帰宅した。

 風呂についてだが、木製で運搬が楽なタイプのものを現在製作中で、完成し次第俺の家に設置してもらえるそうだ。シンプルに薪を燃やしてお湯を沸かせる機構だそうで、炎魔法を使える俺なら簡単に扱える。本当にありがたい話だ。

 更なる生活水準の発展を迎えられそうで、今日も気持ちよく寝られる。・・・と思って布団の中に潜り込んだのだが、全然眠れる気がしない。風呂でのぼせた時に、中途半端に寝たのがいけなかったな。

 こういう時には無理に寝よう寝ようと思うと余計に眠れなくなる。こういうときは一度気分をリセットした方がいい。そう考え、俺は気分転換に夜風にでも当たろうとベッドから抜け出て玄関から家の外へと出た。


「ん~気持ちいい!」

 俺は外の空気を浴びながら一つ伸びをして声を漏らした。都会の名古屋の空気とは違って、なんと空気の美味しい事か。いや、そんなに違うのかな?夜の静けさと暗さで嗅覚が敏感になっているだけかも?何と言っても外灯とかが設置されていなくて明かりになるものは月明かりだけだもんな。まあこういうのは俺の気分の問題だし空気が綺麗ってことにしておこう。

 後、気温がちょうど良いのも気持ち良く感じる理由かな。日本の9月は秋とはいえ、まだまだ暑い日が続く。でも、ネストールの気温は年中安定していて、熱中症になるほど暑くなることも雪が降るほど寒くなることもない。俺が無事日本に帰れたとしたら、優秀な避暑地あるいは避寒地としてネストールを他に人に薦めたいくらいだ。・・・薦めても行く手段がないからどうしようもないんだけどね。

 そんなしょうもないことを考えながら一人で家の周りをブラブラしていた俺だが、急に何か嫌な予感がした。というか、視線?

 俺、高校では悪い意味で周りに見られがちだったから、人の視線には敏感なんだよね。この世界に来てからもやたらと人に見られる気はしてたけど、多分それはルティアの見た目が美少女過ぎるからだと思う。俺も美少女が居たら見てしまうし、見られるのは恥ずかしいけど別に嫌ではなかった。

 でも、今感じる視線はそういうのではないような・・・。


「そこに居るのは誰なの!?」

 俺は路地裏が周囲で最も怪しいと踏んで、そこへ向けて大声を上げた。気のせいだったら恥ずかしいけどどうか気のせいであってほしい・・・。

 しかし、気のせいなんかではなかったようで、俺の声に反応したのか俺が目を向けている路地裏から人影が現れた。


「はぁー、気配を消すのには結構自信があったんすけどねえ。ガキの癖にかなりやるみたいっすね」

 そう吐き捨てながら俺の前へと現れた人物は、暗くてよく見えないが声からして若い男のようだ。

 って、俺って今なにも武器とか持ってないし、暴漢だったらかなりヤバいぞ!?声なんか上げずにさっさと家に逃げ込めばよかった・・・。こうなったら仕方がない、なんとか会話で隙を作らないと。


「あなたは一体何者なの?こんな時間に女の子をこそこそ見てるなんて、良い人とは思えないけれど」

「良い人、っすか。俺っちが良い人がどうかはお嬢ちゃんの考え方次第っすね。ま、俺っちの存在がバレちまった以上はもう裏でこそこそ動くのは無理っすから、ここは一つ勧誘するっすかね」


 男は律義に答えてくれた。どうやら今すぐに俺を害するとかそういう気はないらしい。しかし、勧誘って何だ?一人暮らしをしてると新聞とか宗教とかの勧誘はよく来てたけど。


「勧誘?一体何に勧誘するのかは知らないけれど、それがあなたの目的なのかしら?」

「そうっすね。俺っちはニコロ王国に拠点を置くある団体の一員なんすよ。俺っち達の最終目標を達成するためにはお嬢ちゃんの力がどうしても必要なんす。どうしてかっていうと・・・」


 男はそこまで言って、話すのを止めた。いや、男に向けて雷撃が放たれたので話せなくなったのだ。男は今の雷撃で死んだかと思ったが、とても人間の動きとは思えないような素早い動きで雷撃を交わしていた。雷撃に照らされた時、その男の髪色が青なのだと初めて気が付いた。


「大丈夫かカイリ!?」

 この声はコマリさん!雷撃の時点でもしやとは思ってたけど、俺の声に気付いて助けに来てくれたのか。

 コマリさんは俺の前に立ち守ってくれている。


「暴漢かと思ったが、今の身のこなしを見るに只者ではないな、貴様」

「チィ、『閃光の舞姫』のお出ましっすね。これじゃ俺っちの身がいくつあっても足りねえっす。今回は引かせてもらうっす。『ブラインドフォグ』!」


 コマリさんの不意打ちを躱し、いつの間にやらナイフを手に握っていた青髪の男は戦闘態勢に入るかと思ったが、引くと言って辺り一面に何も見えなくなるほどの濃い霧を発生させた。


「目晦ましとは小癪な・・・。チッ、もう近くには居ないか。なんて馬鹿げた素早さをしているんだ」

 コマリさんは視界を奪われてすぐに武器魔法で周囲を警戒したようだが、既に男は逃げてしまったらしい。


読んで下さってありがとうございます。


明日から投稿時間を19時に変えてみます。

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