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第37話:忍び寄る霞影

海入サイド(非海入視点)です。

 ネストール王国を南から東にかけて覆うように広がっている、この大陸でも最大の富と武力と支配域を誇る国、『ニコロ王国』。この国はかつての魔女の反祈による魔物の被害を最も受けた地域を支配域に含んでおり、それに起因してケベフを信仰するネストール王国に対して最も敵対的な態度を取る国となっている。

 そのニコロ王国の西部に位置するウーゴ領は、魔女の反祈の時に武器を取り混乱を治めた英雄の末裔が代々治める地である。その過去もあってこの地の領主は全ての代において魔物の出現には一際目を光らせてきた。その方針が安全と多量の魔物の素材をもたらし、ウーゴ領はニコロ王国の中でも最も栄える地となっている。

 今、そのウーゴ領の主要都市であるウーゴの町に人目を憚るようひっそりと建てられた民家に、スキンヘッドで紫色の髭を口周りに生やした大男が入っていった。


「おい、グレート。ブルーの奴から手紙が届いたぜ。久しく連絡が無かったから危険な目にでも遭ってるのかと思ったが、こうして手紙を寄こした以上はきっと良い連絡だろうぜ」

 大男は家に入るなり大声でそう言った。それに対してグレートと呼ばれたさらりとした白髪の美男子が反応を見せる。


「パープル、ここでは小声で話せと言っているだろう。人気が無い場所とは言え、誰が聞いているかも分からんのだからな。まあいい、ブルーからの手紙を見せてくれ」

「フンッ、わーったよ。こいつがその手紙だ。後で俺にも内容を説明してくれよ?」


 パープルと呼ばれた大男は、ぶっきらぼうに手紙を放り投げた。それを受け取った何も言わずにグレートは手紙の中身を読み始める。

 すると、それらのやり取りを眺めていた桃色の短髪の女がニヤニヤとした目つきでパープルへと話しかけた。


「全く、相変わらず粗暴だねえ、パープルは。力だけじゃなくて少しは知能も見せないと、モテないよ?少なくとも、アタシくらいにはグレートの話し相手ができるようにはならないとね」

「そうは言ってもよ、スイート。俺は馬鹿だから、お前らの話に付いて行こうだなんて気概はとっくの昔に消えたしまったさ。俺は体力だけが取り柄だからよ、最低限の作戦の内容を説明してくれりゃそれでいいんだわ」


 スイートと呼ばれた女の挑発的な発言に対して、パープルは怒るでもなく言葉を受け止めている。おそらく同じようなやり取りを今まで何度もやってきているのだろう。

 そうやって二人が他愛もない話をしているうちに、手紙を読み終えたグレートが口を開いた。


「ふむ、やっと見つかったか。聞け、パープル、スイート。ネストール王国の首都ネストに潜伏しているブルーが、アレの居場所を掴んだらしい。カモフラージュのつもりか、今は少し立派な程度の普通の家で暮らしているそうだ。どこかの貴族の屋敷に匿われていると予想していたが、それは間違っていたようだな。お陰で余計な時間を食ってしまったよ」

「へぇ、遂に見つかったんだ。時間を食ったと言っても、貴族の屋敷に匿われてるんじゃないならその分楽だしいいんじゃない?」

「それがそうでもないようだ、スイート。どうもアレの後ろ盾にはあのダイハラ家が居るらしい。『閃光の舞姫』と一緒にいる所も確認されている。彼女が相手ではブルー一人では厳しいだろうな。私かパープルが出るべきか」

「おう、それなら俺が出るぜ。最近暴れ足りてねーし、『閃光の舞姫』なら相手にとって不足なしだぜ」

「まあ待て。折角見つけた標的をみすみす逃す真似はしたくない。ここまで来たならこの件は焦らずにじっくり案を練るべきだろう。ネストールの奴らもアレの真価には気付いていないはずだからな。全ては我ら『ヘロンの会』の悲願の為に」


 グレートを中心に、手紙の内容についての話が進む。彼らの「標的」を確実に手中に収める為に。


 斯くして、世界に波乱をもたらす影が密やかに動き出した。


読んで下さってありがとうございます。

活動報告で後書きしてます。

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