表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/74

第33話:『ポイントアップ』

 気を取り直して、今度は『ポイントアップ』の魔法を試してみよう。しかし、試すにしても効果の予想が全くつかない。


「名前の響き的には、味方の能力を上昇させる効果のような気がするが、それだとバフ魔法の『ブレス』と同じになってしまうな」

「でも、それくらいしか予想が付かないのなら試してみるしかないですよねー」


 コマリさんもミサさんもどのような効果か見当を付けることができずにいるようだ。


「いや、でも効果が分からないのにいきなり人体実験するのは危険ですよね?」

「まあ、私に使えば大丈夫だろう。私は高レベルだからもし良からぬ効果だった時は抵抗力が働いて無効化できるしな」


 お、おう。コマリさんがすごく男前だ。普通謎の魔法の実験台になんてなりたくないはずなのに。万が一コマリさんが暴走でもしたら誰も止められなくなるが、この世界の仕組みをよく理解しているコマリさんが大丈夫だと言うのなら大丈夫なのかな?


「そういうものなんですか?じゃあコマリさんに使ってみます。『ポイントアップ』」

 多少の不安を覚えながらも、コマリさんを対象に使ってみた。さて、どうなったのかな?


「・・・何も変わった気はしないな」

 コマリさんが呟いた。やっぱり能力上昇系ではなかったのか?


「そもそも魔法の効果は出たんでしょうか?カイリさん、MPが減っているかどうか確認してみてください」

 ミサさんにそう言われたので、自分のMPを確認する。


「あれ、武器の光の色も強さも変わってませんね。これは効果が出なかったってことですかね。魔法の消費MPが極端に少ない可能性もありますが」

「うーむ、私が立てた予想が間違っていた可能性の方が高いな。やはり能力上昇というのはバフ魔法の領域だからな。しかし、他にどういった効果があるだろうか・・・」


 なるほど、ということはこれが成長魔法であるということが重要そうだな。それを念頭に置いてもう一度考え直してみようか。

 『ポイントアップ』、現代語で点上昇。点といえば地点、点数、得点・・・。そこまで考えた時、成長魔法というキーワードと結びついた。正しく点と点が繋がったのだ。


「これって、もしかして経験値上昇が効果なんじゃないですか?」

 そう、オンラインゲームのイベントでよくあるあれだ。一定時間、獲得経験値が増加して自分のキャラクターを育てやすくするやつが頭によぎったのだ。


「なるほど、経験値というのは盲点だったな。しかし、そうだとすると対象者の経験値を直接増加させるにしろ、しばらくの間得られる経験値が増加するにしろ、カイリのMPが減りそうなものだが」

「もしかしたら魔法の対象は人間じゃなくて、経験値を生み出す側の魔物なんじゃないでしょうか」


 俺の意見がしっくり来たのか、二人も考えを進めることができたようだ。確かに、対象が魔物でなければいけない可能性は充分にある。


「そうだな、次は魔物相手に試してみることにしよう。カイリ、あそこにいるスライムに『ポイントアップ』を使ってみてくれ」

 そう言ってコマリさんが目を向けた先には一匹のスライムがいた。おおお、あれが最弱の魔物として名高いスライムか!何でできているか分からないプニプニとした体での移動はとても遅く、俺が近づいても敵対心を持たれているのかすら不明だった。

 俺は鎌でスライムをつついた状態で『ポイントアップ』と唱えた。別に明確な対象が居れば触れる必要はないのだが、このきれいな饅頭型のプニプニボディーには一度は触れてみたくなるような魅力が備わっていたのだから仕方がない。さすがに素手で触れる勇気は無かったが。

 ともかく魔法は使った。そしてちゃんと効果が現れたのかを確認するために残りMPを確認してみたのだが・・・。


「え!?MPが全部無くなってる!?」

 適性呪文を唱えても鎌が無反応なのを見て、俺は驚いてしまった。ちゃんと効果は発動したようだが、MPが全部持っていかれるとは思っていなかった。


「どうやら『ポイントアップ』というのは意識して制限を掛けなければ際限なくMPを消費してしまうタイプの魔法のようだな。経験値上昇の効果だという予想があっているならば、このスライムは今その効果で莫大な経験値を持っているかもしれん。カイリ、倒してみろ」

 コマリさんは驚く様子もなくそう言い放つ。なるほど、魔法にはそういうタイプの物もあるのか・・・。

 というか、俺が倒すのか。一応13レベルの俺が最弱の魔物を攻撃するのは何となく気が引けるが、思えば俺は一度も魔物と戦ったことが無い初心者だ。初心者には最弱の魔物がお似合いだろうと思うと行ける気がしてきた。

 持ってきていた槍でスライムをグサリと一刺し。すると、スライムは一撃で弾け飛んでしまった。そりゃあ、このレベル差ならオーバーキルだよね。

 そうやって俺が初の魔物討伐を終えてホッとしている時、俺の持っている槍と鎌が虹色に輝いた。俺のレベルが上がった印だ。


「レベルが上がるなんてすごいじゃないですか!カイリさん、おめでとうございます」

「元々ルティアのレベルが上がる直前だったというのもあるだろうが、スライムを一匹倒しただけでレベルが上がるとは。やはり魔物が持つ経験値を増加させる魔法ということで間違いなさそうだな」


 二人は俺のレベルが上がったことに驚いているようだ。普通13レベルにもなるとスライムを倒した程度ではレベルは上がらないのだから驚かれるのも無理ないか。

 コマリさんが言うように、ルティアは前にレベルが上がってからしばらく経っていて次にレベルが上がるまでに必要な経験値は後少しになっていたから、この魔法がどれほどの効果があるのかはまだ分からない。それでも、効果は経験値上昇で間違いないと分かったのなら今日の成果としては充分だ。

 その後はMPもなくなりこれ以上の実験は無理なので、今日は家に帰って休もうという話になったのだった。

 『リグレッション』は微妙だったけど『ポイントアップ』は使えそうだし、これが今のところ俺だけが使える魔法だと思うとワクワクするな。


読んで下さってありがとうございます。

活動報告で後書きしてます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ