第31話:未知の魔法 後半
「お待たせいたしました。ワタクシはこの王室専属の鞭使いを務めさせて頂いている、サンと申します」
俺が考え終わる前に、その人物は現れた。そうだよね、俺が関わった人から消去法で考えれば、俺に初めて魔法を使ったあの鞭使いの美女であることは明白だった。
「あ、どうも。あの時はお世話になりました、カイリです。またお会いできるとは嬉しいです、サンさん」
何だか奇妙な挨拶をしてしまった気がする。でも、初対面で魔法を使われた時の衝撃を思い出すと、緊張してしまう。
「別に呼び捨てでも構いませんよ。私は貴族ではない、ただの一般人ですから。この国の重要な客人であるあなたの方が立場は上ですよ」
あ、そうなんだ。王城に居るからって別に偉い人ばかりというわけじゃないんだね。俺が緊張しているのは身分の問題だけというわけではないけど、それを聞いて少し楽になった。
「サンさん、今日は時間を割いてくれてありがとうございます。カイリさんの魔法を知るためにはどうしてもサンさんの協力が必要なんですよ」
ミサさんも敬語を使っちゃってるし。ミサさんはれっきとした貴族なのに。まあこの人の場合はマイペースというか、誰にでも敬語を使っちゃうタイプなんだろうな。
「話はマーク宰相から聞いております。鎌適性の13レベルの魔法なんて、一体どのようなものなのか、ワタクシも是非知りたいです」
「そうですよねー、すごく気になっちゃいます。というわけでカイリさん、今からカイリさんの魔法を解明します。その手順ですが、まずはサンさんがカイリさんに魔法封印魔法を使います。そうするとカイリさんは一時的に魔法をすべて使えなくなりますが、すぐに封印を解除します。その時に魔法を再習得することになるので、カイリさんはその時に心に浮かぶ呪文をしっかり覚えておいてください」
ほう、封印魔法を使った呪文の確認か。それは確かに裏技って感じがしていいな。
「私は自分の心を意識していればいいんですね?その呪文が心に浮かぶっていうのがどういう感じかイメージしにくいですけど」
「それは言葉で説明するのも難しいですし、少なくとも1度目で感覚を掴めれば2度目では上手くいくと思うので、とにかくやってみましょう」
あ、別に1度だけっていう縛りはないのか。なら気楽だな。
そう思って俺が軽くうなずくと、サンさんが鞭を振り上げた。鞭を振り上げられるのも2度目ともなれば馴れたもので、俺は気にせずに自分の心の中に意識を集中できた。
そして、封印魔法が発動され次の瞬間に解除された。そのとき、
(『グロウ』、『リグレッション』、『ポイントアップ』)
という言葉が一瞬心に浮かんだのが分かった。
「どうでした、呪文は分かりましたか?」
ミサさんが俺に聞いてきた。
「えっと、一つ目は『グロウ』でした。これは鎌属性の基本の成長魔法ですよね。後は、『リグレッション』と『ポイントアップ』のふたつですが、これは私にはよく分かりません」
よく分からないので、判明した呪文をそのまま伝えた。
「おお、すごいじゃないですか!二つも未知の魔法が判明したなんて、これはこの国の歴史の教科書に載りますよ!」
と大はしゃぎのミサさん。その反応はちょっと大げさなんじゃないかな?
「すごいですね。前にレベル依存の新たな魔法が判明したのは200年以上も前のはず。それが今になって新たに2つも判明するとは・・・」
サンさんも驚いている。なるほど、200年前以来の出来事ともなればテンションもあがるな。
「それじゃあ、早速どんな魔法なのか試してみましょう!」
ミサさんがワクワクとした様子で俺に言う。
しかし、ここで俺は問題があることに気付いた。俺は今日の学校の模擬戦で確か・・・。
「あの、期待されているところで悪いんですけど、私、今日はもうMPが空っぽなんです・・・」
読んで下さってありがとうございます。
これからは後書きに書いていたようなことを活動報告の方で書くようにしようと思ってます。
興味がある方は活動報告もご覧頂けると私は嬉しいです。




