第28話:模擬戦 その3
「私だって、このまま負けるわけにはいかないわ。だから、最後の手段よ!」
俺はそう言って、イメージを整えた。初めて使った魔法、あれをもう一度使うのだ。
「ファイヤブラスト!」
俺は槍から極太の炎を打ち出した。
「うおっ!?そんな無茶苦茶な・・・。でも、こっちも風速全快で対応するよ!」
弓使いはそういうと、俺のファイヤブラストを弾き飛ばせるだけの風を生み出したのだった。炎は身を寄せ合った相手3人を覆うように逸らされてしまった。
これだけの出力で打ち出しても押し負けるとか、本当に相性が悪いな・・・。
だが、それでいい。俺は最後の最後までMPを使い果たすように炎を出し続け、限界を迎えた。
俺のMPが切れたことに相手も気づき、全員が勝ちを確信した表情になった。
「いやあ、すごい炎だったけど、一歩届かなかったね。まあ、ここは俺たちの相性勝ちってことで、あんまり気を落とさないように・・・」
勝ちを宣言しようとする弓使い。しかし、槌使いが弓使いの発言を遮って顔を青ざめさせた。
「おい、待て。ジュイはどこに・・・?」
今頃気付いたようだが、もう遅い。
敵の背後でジュイが叫んだ。
「グラウンドエッジ!!」
俺たちが思いついた作戦はこうだった。
最も遠くから攻撃できるのは俺の炎魔法だが、それは何らかの形でかき消されてしまう可能性が高く、決定力に欠ける。だから、攻撃を仕掛けるならばジュイの土の槍攻撃が良いのだが、そのためには相手に接近する必要がある。
そこで、俺の炎を目くらましに使うことにしたのだ。おれのファイヤブラストで相手の視界を奪い、その間にセバリの『テレポート』でジュイが相手の近くに移動し、土の槍で一網打尽にする。
この作戦を上手くいかせるためには、相手が最も油断しているときを狙う必要があったが、分かりやすくこちらが不利になるタイミングが来てよかった。
そういうわけで、見事に相手チームはこちらの作戦に引っかかりジュイの土の槍によって貫かれる運命にあったのだが、そうはならなかった。鞭使いの先生によってジュイの魔法が封印されたのだ。
「そこまで!」
カバト先生がそう言い放ち、模擬戦は終了となった。
俺たちの勝利だ!
「やったー!僕、模擬戦で勝てたの初めてだよ」
「私が居るんだから当然よ。でもルティアは対人戦の経験が少ないって言ってた割に、しっかりやれてたじゃない」
「まあ、私はずっと炎を出してただけだし。これはみんなで考えた作戦の勝利ね!」
俺たちは皆で勝利の喜びを分かち合う。
にしても俺、ほんとに初めての戦いでよくやったよ。これなら戦えるか分からないなんて変にごまかす必要もなかったかな?いや、魔法がどれくらいイメージ通りに発動できるか分からなかったから仕方ないか。
「いつの間にか背後に回られるなんて・・・」
「くそー、後一歩だったのに油断した!」
「満面の笑みのルティアちゃん、かわいいなあ」
対戦相手の男子たちはそんなことを言っている。馬鹿な奴らだと思っていたけど、実際のところ中々の強敵だった。ちょっとした要因の違いで俺たちが負けていたなんてこともあるだろう。
とまあ、俺の初めての戦いは、なかなかの充実感を俺に与えてくれた。
自信もついたし、これからもっと色んな戦い方を試してみようと心に決めたのだった。
今更ですが、魔法を発動する時の言葉について少し補足です。『バリア』などの『』で囲われているものは補助魔法の呪文で発動のためには必須、ファイヤブラストなどの『』で囲われていないものは属性魔法を操作するためのイメージ作り、もしくはただの格好つけです。
表記揺れではないです。




