第26話:模擬戦 その1
連携の打ち合わせも終了し、午後の模擬戦の時間を迎えた。
この模擬戦のルールは3vs3での戦いで、全員が腕に紙を巻く。この紙を落とされたら戦闘不能扱いとなる。また、できるだけ実戦に近い戦いができるように、本気で相手の命を奪う攻撃をすることも許されている。
かなり滅茶苦茶なルールだが、戦いはデバフ魔法を使える鞭使いの先生と、治癒魔法を使えるナックル使いの先生に見守られながら行われる。もし本当に命に係わる攻撃が行われそうなら、即座に鞭適性の先生が呪怨魔法や封印魔法で防ぐことになっていて、万が一の場合にもナックル適性の先生が治癒魔法を使うので、安全性は保たれているのだ。だから武器も練習用のものではなく、各自が実戦で使うであろう武器を持ち込む形になっている。
そんなこんなで、相手全員を行動不能にするか仕留めたことができれば勝ちというわけだ。
そして、くじ引きの結果で決まった俺たちの相手はと言うと・・・。
「ふっ、ルティアちゃん、やはり俺と君は運命の赤い糸で結ばれているようだな」
「ルティアちゃん、君って結構強いみたいだし、手加減はなしで行くからね!」
「もし怪我をしちゃったら、俺が治してあげるから心配するなよ!」
授業の開始直後に俺に詰め寄ってきた奴らだ。うーむ、なんともいらない運命だ。
この三人はそれぞれバフ魔法の槌、風魔法の弓、治療魔法のナックルを装備している。ジュイに強制的に組まされたからだけど、補助寄りになっちゃってる気がするね。
「あ、うん。こっちも本気で行くから、どっちが勝っても恨みっこなしね」
軽く挨拶を返しておいた。
そしてお互いに位置に付き、先生が開始の合図をする。
「それでは、始め!」
それと同時に、セバリと相手の槌使いが呪文を唱える。
『バリア!』
『ブレス!』
俺のチームの周りにはセバリによって結界が張られて、相手チームは槌使いによって祝福魔法で全員のステータスがアップした。お互いの準備が終わり、いよいよ本格的に戦いが始まる。
先に動いたのは相手の弓使いだ。速攻で矢をつがえる。
「まずは挨拶だ。食らえ、ラピッドアロー!」
相手が矢を放つ。それと同時に、ジュイが動いた。
「クレイウォール!」
そう叫ぶと、俺たちの目の前には土の壁が形成された。これで相手の矢を防いで結界へのダメージを防ぐ、そのはずだったのだが・・・。
相手の矢は土の壁をいともたやすく貫き、そのまま結界にまで届いてしまった。
「甘いよ、ジュイ。攻撃力が上がって、風で速度が上がった俺の矢はそんな薄っぺらな土の壁程度じゃ防げない」
と、得意げに相手の弓使いが言い放った。
少々うざったらしいが、確かにこの弓の威力は想定外だ。ジュイも驚きの表情を浮かべている。
「矢はまだまだあるんだ。どんどん行くよ!」
そう言って弓使いは強力な矢を連続で放ってくる。ジュイも負けじと土の壁を作って対応するが、すぐに破壊されてしまい、結界へのダメージが蓄積されていく。
思ったよりも祝福魔法と弓適性の組み合わせは厄介だ。相手のナックル使いがまだ何も仕掛けてくる気配が無いのが幸いだが、このままではジリ貧になってしまう。
「くぅ、まさかあいつらがここまでやれるなんて、想定外だわ」
ジュイが悔しそうにしている。
ジュイの地属性魔法は、あまり効果範囲が広くないらしい。だから得意の土の槍で攻撃に転じるためには、相手に近づく必要がある。しかしそれは相手も分かっていることで、近づくことなく距離を取って弓のみで攻撃をしてくるのだ。
ここは遠距離から攻撃ができる俺が何とかしないと。
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