第23話:3人のスペック
「さあ、まずは簡単な自己紹介から始めましょう。私はジュイ、適性武器は斧よ。レベルは11で、こう見えて力には結構自信があるから前衛役は任せてちょうだい」
ジュイは斧が適性、ってことは地属性の魔法が使えるのか。地属性ってあんまり強そうなイメージがないけど、斧で前衛を務めてくれるのは心強い。
「えっと、僕はセバリ、適性武器は棒だよ。レベルは10しかないんだ。僕の実家は農家で、ずっと家の手伝いをしていたんだけど、ある時父さんに『農家に鎌適性じゃない奴はいらねえから、お前はどっかで勉強してこい』って言われて追い出されちゃった。魔物を狩る機会もそんなに多くはなかったんだよね。それでも戦闘科に入りたくて、頑張って何とか条件の8レベルまでは上げたんだ」
セバリの棒適性は空間魔法。戦闘中のテレポートでの緊急離脱や結界での防御といった優れたサポート魔法を扱える。
しかし、鎌適性がないだけで農家から追い出されるのか。農業に適した成長魔法が扱える鎌適性があるこの世界では効率的な作物の育成ができるため、重要な生産手段として中世的な世界にしては珍しく農民が保護される傾向にあるらしい。昔は常に魔物に狙われる危険な土地で農業が行われていたけど、鎌が武器扱いになってからは比較的安全な土地での農業ができるようになったみたいだ。
俺の鎌適性をセバリに分けてやれたら・・・、なんて思ったけど、セバリ自身は冒険に憧れてるみたいで、別に家のことを気にしてるわけじゃないようだ。
後、ジュイとセバリはあまり面識がなかったみたいだ。まあ、クラスの女王様と大人しい男子じゃ接点なんてある方が不思議だよな。
そして、自己紹介は最後の俺の番だ。
「私はルティア、適性は槍よ。レベルは13なんだけど、その、上手く戦えるかは分からなくて・・・。足は引っ張らないようには頑張るけど、失敗したらごめんね」
鎌適性のことはもちろん言わない。適性武器が二つあるなんて言っても信じてもらえないだろうし。
上手くいかなかった場合の保険はバッチリかけることができた。そう思っていたのだが・・・。
「え、ちょっと、あなたまだ12歳なのにレベルが13もあるの!?なのにうまく戦えるか分からないって、一体どういう生活をしてきたらそうなるのよ!」
「確かにそれはちょっと変だね。一番足を引っ張りそうなのはレベル10の僕のはずなのに」
うわあ、そりゃ怪しまれるよな。どういう生活と言われても、日本で適当に生きていたら突然この世界で13レベルの体を使うことになったって、そんなの説明できるわけがない。
「えっと、上手くできないっていうのは、対人戦の経験がほとんどないって意味で・・・。魔物の相手はしてたからレベルだけは上がってるんだけど、今日は対人戦だからあまり自信がないっていうことなの」
慌てて言い訳を考えた。魔物相手の授業はまだ先だから、とりあえず今はこれでごまかすしかない。
「ふうん、そうだったのね。そんなにレベルが上がるほど魔物の相手をする生活がどういう風なのかは気になるけど、今は時間がないしまた今度聞かせてもらおうかしら」
よし、何とかごまかせた。しかし、今までの生活について後で聞かれたらどう答えよう。ミサさんからは、この国では優秀な子が飛び級なんてそんなに珍しいことじゃないから気にしなくていい、と言われていたけど、このままだとボロが出そうだし辻褄の合う話を用意しておいた方がいいな。それならやっぱり王立孤児院の話をするのがいいか。今度ミサさんに王立孤児院のことを他人に話しても大丈夫か聞いてみよう。
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