side.L 第6話:ラインが何か分からないわ
朝のドタバタもホームルームが始まったことで収まり、その後は体育館に集まっての全校集会。
わざわざ校内の人間を全員集めて何をするのかと思ったら、部活動の功績の表彰だとか、校長の長々とした話だとか、校歌斉唱だとか・・・。全く、平和なことこの上ないわね。歌なんて歌って何がどうなるっていうのかしら。記憶から歌詞を引っ張り出すのも面倒くさいし、適当に口だけ動かしてやり過ごしたわ。
そして、また教室に戻って宿題の提出とかの雑事が終わるとその日の学校はもう終わりだった。夏休み明けの初日は授業をしないのね。
昼になる前に放課後になってしまい、この後どうやって時間を使おうかしらと悩んでいると、
「海入君、その、これから色々連絡し合うこともあるだろうし、海入君のラインのIDを教えてほしいの」
姫子が少し照れたような顔で私にそう言った。
そうね、連絡を取り合うのは大事、でも・・・
「ラインのIDって何?」
いきなり出てきた未知の単語に私は戸惑ってしまったわ。海入の記憶にそんな言葉が出てきた気は・・・。
「え、海入君、ラインを知らないの?スマホのアプリのラインだよ?」
姫子が驚いた顔をしている。そんなに意外なことなのかしら。
えっと、スマホのアプリね。それなら分かるわ。でも、スマホって漫画や小説を読んだりゲームをしたりするための物なんじゃないの?海入がそういう使い方しかしていないからよく分からないわ・・・。
あ、でもよく思い出してみたら記憶の片隅にあったわ、ライン。スマホを使ってメッセージを送り合えるって、飛んでもないことね。
でも、高校に入ってからスマホを持った海入には、メッセージを送り合うような相手が居なかったのね・・・。
というかそもそも海入がラインをやっていたとしても、まだ私がスマホを扱える気がしないからどの道ラインはまだ無理ね。
「あ、大丈夫、ちょっとド忘れしてただけ・・・。でも、ラインは使ってないから今は無理なんだ。ごめんね」
そういってごまかしてみたけど、
「あ、私の方こそごめんね。ライン、やってない人もいるよね・・・」
と、少しだけ憐れみのような顔で姫子に言われたわ。この感じだと、この世界ではスマホもラインも使えて当たり前なのね・・・。使えないと不審に思われてしまうし、早く慣れないといけないわね。
私と姫子の間に暫し訪れる沈黙。この気まずい空気、早く何とかしないといけないわね。
あ、そうだわ!
「姫子、そんなことより、この後は時間ある?良かったら一緒に帰ろうよ。俺、姫子の事ほとんど何も知らないから色々聞いてみたいし」
「そ、そうね。私も海入君と一緒に帰りたいと思っていたの。これからお昼ご飯の時間だし、どこかで食べながらお話しよっか」
良かった、何とか話の流れを変えることができたわ。
でも、お昼ご飯なんて不思議な感じね。リノスでは朝と夕方の2食だけしか食べなかったから。海入は大して運動していないのに朝昼夕方で1日に3食も食べてるし、私もこの体だとお腹が空くのが早いわ。
読んで下さってありがとうございます。




