side.L 第4話:高校に行ったらいきなり絡まれたわ
ルティアサイドです。
「ふぅ・・・ここが高校ね」
私は目の前の大きな白い壁の建物を見て息を吐く。
日本での二日目の生活が始まって、私は海入の記憶を頼りに準備をしてこの高校を目指したわ。
海入が暮らしていた、アパートという一人用の小部屋がいくつも集まった大きな建物から徒歩で10分。そういう場所のはずだったんだけれど・・・。
記憶を辿って道を歩くのって、すごく大変だったわ。何度か道を間違えちゃったし、そのせいで無駄に体力を使って疲れたわ。この体、元の世界の私よりも体力がないわね。いくら魔物が居ないからって、よくこんな体力で生活できるわね・・・。
時間も予定よりかなり遅れちゃったわ。元々早めに出たから時間は大丈夫だけれど、記憶が戻っても尚苦労するなんて、思っていたよりも異世界での生活は難しいわね。
そんなこんなで何とか学校に辿り着けた私は、海入が学んでいる教室へと向かったわ。そして自分の席へと座ろうとすると・・・
「あ、海入君、おはよう。久しぶり。」
後ろの席の女の人から声をかけられたわ。私、誰かに話しかけられるなんて思ってなくて、
「え!?あ、お、おはよう」
なんて、上ずった返事をしてしまったわ。勢いでリノス語で喋らなかっただけマシだけれど、不審に思われるかもしれないわね。
でも、その人からはそれ以上何も言われることはなかったわ。不審には思われていないようで、ひとまずは良かったのだけれど、一体この人は誰なのかしら?気になった私は教室での記憶をよく思い起こしてみたわ。
それで分かったのは、この人の名前は天告姫子。海入とは1年生の時から同じクラスで海入にはいつも朝の挨拶だけをしてるけれど、それ以外は特に話をしてないし控えめな人みたいね。茶黒色の髪を左右2箇所で結んでいて、体格はリノスでの私より少し背が高そうなくらいで、5歳上の海入の同級生にしては小柄ね。
どうして朝の挨拶だけしてくるのかは分からないけれど、別段海入と親しいというわけではないようだわ。
この人のことは今は置いておきましょう。始業までもう少し時間があるし、お手洗いに行っておこうかしら。そう思って私は廊下に出たのだけれど、そこでまた私は声をかけられたわ。
「海入じゃねーか。久しぶりだなあ、おい」
そういって私の頭に腕を乗せてきたのは、かなり図体の大きい男の生徒。
私、こいつのこと知っているわ。海入のことを虐めていたのはまさにこいつよ。取り巻きの二人もちゃんと居るし、分かりやすい事この上ないわね。
「鬱陶しい」
私は頭にのせられた腕を払い除けながら、その男を睨んでやったわ。
「は?海入の癖に何をなまいきに・・・。痛い目に遭いたいみたいだな!」
すぐに逆上し、掴みかかってくる男。でも、全然動きがなってないわね。体だけ大きくても使いこなせないなら、コマリ先生に直々に戦闘術を仕込まれた私の敵ではないわ。
私は男の掴む手をしゃがんで躱し、逆に男の胸倉を掴んでそのまま床へと投げ飛ばした。
怪我はしてないと思うけれど、強い衝撃が走って体中が痺れているはずよ。
「は、何が・・・。動けねえ・・・。クソッ、お前ら動け!やっちまえ!」
そういって取り巻きの二人に私を攻撃させる男。
でもこの二人はもっと取るに足らない相手。二人とも顔を狙っているのがバレバレな動きで襲い掛かってきたから、軽く足を引っかけるだけでどちらも床に転がせたわ。
それを見て唖然とするリーダー格の男。
「な、なんだよ海入・・・。いつもナヨナヨして雑魚な雰囲気をしてたからちょっくらイジってやろうって目を付けたのに・・・。お前、本当は強かったのかよ・・・」
いい感じにビビらせることができたみたいね。後はちょっと叱って終わりにしましょうか。
「これに懲りたら、もう二度と私に手を出さないことね。海入はいつもあなたたちのせいで辛い思いをしてたんだから。分かったかしら?」
「おい、何か意味不明に強えし口調は女みたいできめえし、こいつやべえぞ!?さっさとずらかろうぜ!」
あら、思ったよりも効果があったみたいね。でも口調がどうのってどういうことかしら?私はちゃんと海入の記憶から読み取って喋って・・・。って、私、参考にするものを間違えていたみたいね。
直近の海入の記憶では海入があまり人と喋らなくて、漫画、小説、アニメとかいう創作の物語にばかり没頭してるから、それに出てくる人物の口調を参考にしたんだけど・・・。それ、女の人が喋ってるものだったわ。
・・・ちょっと他の人の海入に対するイメージに悪影響を与えちゃったかもしれないわね。でも、いつまでもあの3人に絡まれるよりはマシよね?
私、やらかしちゃってないわよね?
ルティアは結構行動が大胆なタイプっぽいです。




