第18話:説得 前半
「む、今日はなんだか見慣れない料理が多いな」
コマリさんが部屋から出てきてそう言った。機嫌は多少直っているようだが、まだ黒い怒りのオーラのようなものが俺へと向けて飛ばされているような気がする・・・。が、俺は今から戦わなければならない。オーラに負けて不戦敗なんてことになってはいけないのだ。
「お姉ちゃん、今日の料理はカイリさんが作ってくれたんですよー。全部カイリさんの故郷の料理何ですって!」
ミサさんが嬉しそうな顔で説明している。俺が今から何かをすることはミサさんも知っているのでそれに期待しているようだがあまり期待をされると失敗しそうな気がしてしまうのは俺の気が弱いせいかな?
「何だ、作ったのはミサじゃないのか。黄色い方は卵を使ったもののようだが、その茶色い塊は何なのだ?」
コマリさんが訝しむ目で料理を見やった。むぅ、見慣れない料理だとやっぱりそういう反応になってしまうのか。何とか食べてもらいたいが厳しいか?
そう俺が悩んでいると、
「茶色い方はですねー、お姉ちゃんが大好きなフライドポテトと同じ油を使った鶏肉の料理なんですよ」
とミサさんが言った。するとコマリさんは
「何、フライドポテトと同じだと!?それは何が何でも食ってみなければならん!さあ、早速夕飯を食べようじゃないか!」
とすごい勢いで食いついた。あ、フライドポテトが好きなのはコマリさんの方だったのか。じゃあホットドッグとかもコマリさんが好きなのに合わせてミサさんがいつも作っている可能性が高いな、どんだけコマリさんのこと好きなんだよ。
しかしこれは嬉しい誤算だ。素直に俺の料理を食べてくれるのだから、細かいことを気にしている場合ではないな。
コマリさんがから揚げにフォークを突き刺す。
俺はごくりと唾を飲み込む。まるで美食家に対するシェフのような気分だ。
おいしいと感じてもらえればきっとコマリさんの俺への評価は上がるはずだ。でも、もしおいしくなかったら・・・。
「おおっ、外はフライドポテトのようにカリカリで、中の肉はジューシーで滅茶苦茶うまいじゃないか!」
コマリさんが叫んだ。
やった!コマリさんが俺の料理をおいしいと言ってくれるなんて普通に嬉しいぞ。
「それは良かったです。黄色い方、卵焼きも自信があるので是非食べてみてください」
勢いに乗って俺は卵焼きも勧めた。
「ふむ、これは油で料理をしたのではないんだな?なんとも柔らかいな、どれ・・・。おお、これは甘くてうまいな。パンにも合いそうだ。ううむ、異世界の料理、流石に侮りがたい・・・」
唸りながらも反応は上々だ。コマリさん、食べ物には目がないタイプなのかもしれない。これなら胃袋を掴んで普通に仲良くできそうな気がするぞ。
その方法も悪くないのかもしれないが、今は置いておこう。
俺はコマリさんに伝えておかなければならないことをルティアの記憶から一つ見つけたのだ。
「そこまでおいしいと思ってもらえるなんて思っていませんでした。なにぶん日本では一人暮らしをしていものですから料理はある程度できるんです。でも、それをこんなに早くこっちで再現できたのは、ミサさんが準備してくれたのと、ルティアの記憶があってのことなんですよね」
俺がルティアの記憶と言ったとき、コマリさんが一瞬ピクリと反応した。が、話は続けられそうだ。
読んで下さってありがとうございます。




