第14話:ミサの胸中 その1
さて、素晴らしい成果を上げた学校初日の放課後、俺は家へと帰った。
「ただいまーねえ聞いて!私、初日から学校で友達ができたのよ!」
と、玄関を開けてすぐにミサさんに報告したのだった。
「あらあら、一瞬ルティアちゃんかと思いましたが、随分とかわいらしい言葉を使うようになったんですね、カイリさん。なかなか様になってると思いますよ!」
あ・・・、しまった。喜びのあまり学校での気分が抜けないまま話してしまった。は、恥ずかしすぎる・・・。
「今のは忘れてください・・・。あくまでさっきの喋りは学校の同級生相手に使うだけに留めようと思ってたので・・・」
と、弁明をしていると、家の奥から「ドドドドドドッ」というものすごい音がこちらに近づいてきているのに気が付いた。この家にいるもう一人ってまさか・・・、
「ルティア!?今ルティアが喋っていたが、もしかしてもう元の体に戻れたのか!お帰りルティアあああああ!」
やっぱりコマリさんだ。コマリさんも喋り方のせいで俺をルティアと勘違いしたのか。これは早急に間違いだと言わないと、後で大変なことになる。
「いえ、あの、ルティアは戻ってなくて、まだカイリのままなんです。さっきは学校の名残で言葉を間違えただけで・・・」
そこまで聞いたコマリさんは、狂喜の表情から一瞬真顔になり、そして以前のしかめっ面へと変貌した。
「おい、私をからかっているのか?貴様ごときがルティアの真似をして私を道化に仕立て上げるとは、絶対に許さんぞ!」
ああ~やっぱり怖い!このルティア好きの変態さん、俺の話を聞いてくれない!
「もー、お姉ちゃんったら。カイリさんはわざとお姉ちゃんが聞いているところでルティアちゃんの真似をしたんじゃないんですから、そんなに責めないであげてください。あんまり怖くすると、カイリさんがルティアちゃんの体のままどこかに逃げちゃうかもしれませんよ?」
おお、ミサさんナイスフォロー!やっぱりミサさんは優しくて頼りになる。
「くっ・・・、ミサにそこまで言われては、引き下がるしかないな。私も少し冷静になるべきだった。すまなかったな、カイリ」
なんと、あのコマリさんが俺に謝ってくれた。ミサさんパワーおそるべし。
「いえ、そこまで気にしてないので大丈夫です。それより、もしもコマリさんがルティアに会いたくて仕方が無くなったら、私が頑張って真似してみますから、遠慮なく言ってくださいね」
「な・・・、そんな紛い物で代用できるほど私のルティアへの愛は生半可なものじゃない!余計なお世話だ!」
あ、余計なことを言ってしまった。コマリさんは再び怒ってしまい、ドスドスと足音を鳴らしながら自身の部屋に戻ってしまった。これは失敗したなあ。俺が心の中でそう反省していると、俺の横に立っていたミサさんが心苦しそうな顔をして呟いた。
「ごめんなさい、お姉ちゃん・・・」
読んで下さってありがとうございます。




