第12話:始まる学園生活 前半
「東ネスト学園へようこそ。私は君が今日から編入するクラスの担任のカバトだ。君のことは校長から色々聞いているよ。これからよろしくね」
「はあ、よろしくお願いします・・・」
日は変わって、俺が学校に編入する日になった。それで俺は今、俺の担任になる教師、カバト先生との顔合わせをしているのだ。
しかし、昨日の適性検査で俺が田舎者認定されてから、完全に気分が落ち込んでしまっている。大失敗だった名古屋の高校への進出。異世界に来てあれをやり直せると思っていただけに、出ばなをくじかれてしまった形になった。果たして俺はこの世界の学校で上手くやっていけるのか・・・?
「緊張しているみたいだね。12歳でこの時期の2年生へ編入するというのはかなり不安だろう。でも大丈夫だ。君は孤児院で類まれなる才能を開花させて、国にも期待をされているほどの才女なのだろう?うちの校長も2年への編入で問題ないと判断したんだ。だから胸を張って堂々と誇っていればいいんだよ」
先生は勘違いして、俺が年齢に合わない学年で学ぶことについて不安になっていると思ったようだ。俺、本当は17歳だからそこは気にするところじゃないんだよ。
この世界は寿命の短さから、日本とは成長のスピードが変わってくる。15歳で成人で、結婚したり冒険者になれたりするようになる。そして普通の場合、12歳で学園に入学し、4年間学び続けて16歳で卒業する。また学園での学習内容は魔物や人との戦い方を学ぶ戦闘科と、街中で商売をしたり製造をしたりして生計を立てる方法を学ぶ生活科に分かれる他、この世界の知識を学ぶ一般教養の授業が戦闘科か生活科に関わらず必修となっている。この一般教養の内容から察するに、12歳で入学した時点で既に中学校卒業レベル、そして4年間で高校と大学レベルの勉強をすべて終わらせるというかなりハードな世界になっているようだ。それに加えて更にそれぞれの科に属する授業もあるとなると、ハードなんて言葉じゃ収まらないくらい大変なんじゃないか?俺は17歳で高2だから2年生への編入というのはあまり大きな食い違いはないはずだとは思うけど。
先生の見当違いな励ましの言葉に対して俺は引きつった笑みを浮かべながらも、これからの学園生活への不安を拭いきれままで、これから学ぶ教室へと向かうこととなった。
「今日からこのクラスに新しい仲間が入るよ。さあ、どうぞ入って自己紹介して」
教室に先に入った先生が俺に入るように促す。
「えっと、今日編入してきた、ルティアと言います、あ、言うわ・・・」
ダメだ、いきなりグダった。同年代の子と接するのに敬語キャラは敬遠されると思って、初めから砕けた口調で行こうと思ったらこのザマだ。本当は男口調の方が良いんだけど、ルティアの記憶を探っただけじゃこの世界の正しい男口調を扱えるとは思えなかった。だから仕方なくルティアの口調を真似しようと思っていたのだが、恥ずかしさで結局敬語が先に出てしまった。
この挙動不審さでは、また日本でのように虐められてしまうのでは・・・。そう思っていたが、クラスの皆の反応はそういったものではなかった。
「うおおおおー!超かわいい子きたー!」
「ひょっとして緊張してる?恥ずかしがる顔もなんて可憐なのかしら!」
「こんな美少女が来るなんて、俺、このクラスに入れて本当に良かったよ!先生ありがとう!」
俺の挨拶を聞いて、クラス中がそんな風に沸き立った。
うわあ、いきなりヒソヒソ陰口を言われるとかじゃなかっただけましだけど、まさかこんな反応が返ってくるとは・・・。
元々陰キャ寄りだった俺からすると、こういう出会った直後からかわいいとか美少女とかで騒ぎ出すウェーイ系の奴らとは仲良くできる気がしない、というかできれば関わり合いたくない。今騒いだ奴らの顔は覚えとこう。あ、目が合った男がウィンクしてる。男のウィンクとか背筋がゾッとするから本当にやめて。
大騒ぎで自己紹介どころじゃなくなった教室を先生が鎮まらせた。
「はいはい、静かに。ルティアさんはまだ12歳で、14歳で少し年上の君たちに囲まれて勉強をするのが不安なんだ。でもちゃんと君たちと同レベルかそれ以上の実力を持っているから、あまり特別視をせずに同学年として接するんだよ」
フォローをしつつハードルを上げる見事な飴と鞭戦法で、俺のことを紹介してくれた。
勘違いが無ければいい先生だ。その勘違いも転身魔法の事情を伝えられないせいだし、仕方ないことだよな・・・。
「さて、紹介も済んだところだし、早速今日からルティアさんには授業を受けてもらうよ。席はそうだな・・・、あ、セバリ君の隣が空いているからそこに座って。まだルティアさんの分の教科書ができていないから、今日はセバリ君に見せてもらうように」
自己紹介タイムを切り上げた先生は、授業を始めるために準備を進める。羞恥タイムを乗り切ってひとまず安心した俺は、先生に指定された席へと向かうことにした。
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