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悪役令嬢は和食をご所望です  作者: 朝日奈 侑
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和食への希望を見出しました

ブックマークしてくださっている方、評価してくださった方、誤字脱字報告をしてくださった方、皆様本当にありがとうございます!褒められるとやる気が出るタイプなので、とっても嬉しいです!がんばりますので引き続きよろしくお願いします!!

 「ヒスイ国の何を知りたいとか、具体的にある?」

 「えっと、食文化について・・・できれば私でも読める簡単なものがあれば、嬉しいです」

 「ヒスイ国の本はもともとそんなに数がないんだけど・・・うん、これとか、どうかな」


 そう言ってリムが一冊の本を棚から出して渡してくれる。受け取って試しにパラパラと捲ってみると、たしかに私でもちょっとがんばれば読めそうだ。


 「ありがとうございます!さっそく読んでみます」

 「シトラス」


 お礼を言って自分の部屋へ戻ろうとした私をリムが呼び止めた。


 「もしよければ一緒にここで読まない?もし何かわからない言葉があっても、僕でわかることなら教えるし、わからないことでも一緒に調べたりできると思うんだ」


 なるほど、たしかに。

 転生者にはよくある話だが、前世の記憶を思い出す前から勉強嫌いながらもきちんと教育を受けているシトラスの記憶もあって私は中身がアラサー日本人であるにもかかわらずこの世界の言葉を聞いたり話したりは普通にできるし、読み書きもよほど難しいものでなければあんまり問題ない。

 でもこの世界の地形や歴史などについては七歳分の知識しかないので、もし途中何か不明な点があった時すぐ聞ける人が傍にいるのはありがたい。

 それにしてもリムは本当にデキた子だな。誘い方に嫌味がない。「わからないことがあったら教えてあげるよ」とかだったら若干上から目線を感じちゃうけど、今の言い方だと「役に立てたら嬉しいな」という奉仕の心を感じる。すごい。


 「ありがとうございます。それでは、お言葉に甘えてもよろしいですか?」

 「もちろん」


 リムと私は大人が三人くらいゆったりと座れそうなソファに並んで腰かけ、それぞれ本を開いた。

 家庭教師に地理も習っているもののダイアモンド国内のことが主なので知らなかったが、ダイアモンド国は南北を海、東西を他国に囲まれた土地で、西にはルビー国、東にはエメラルド国とサファイア国が隣接している。さらにエメラルド国とサファイア国の東側にあるのがヒスイ国のようだ。わかりやすく言うとダイアモンド国が兵庫県でエメラルド国が大阪府、サファイア国が京都府でヒスイ国が奈良県という位置関係。奈良県と違ってヒスイ国は海に面しているけどね。


 本によるとヒスイ国はダイアモンド国やエメラルド国、サファイア国とは気候などが違うためか独自の文化を形成しており、小麦より米が主食のようだ。また、内陸部と沿岸部とで食材をやりとりするにあたって干物などの乾物にしたり、発酵させて長期保存する技術が発達しているらしい。そして宗教上の理由なのか、『基本的に食材は余すところなく工夫して食す』という精神で他国に驚かれるようなものまで食材として使っているとのことで、その代表的なものは米のぬかで漬けた野菜、豆の搾り汁を固める料理と、それを作る際に出る搾りかすを煮たものなど・・・。


 私は思わず震えた。これって・・・これってもしかしなくてもぬか漬けに豆腐におからよね?和食よね?この世界にも和食が存在するのね!?じゃあこの国に行けば味噌や醤油が手に入るかもしれないってこと・・・!?


 「シトラス、何か面白い記述でもあった?」


 和食への希望を見出せた高揚を隠しきれずよほど変な顔をしていたのだろうか、リムがそう尋ねてきた。


 「はい!ヒスイ国の食文化がとっても独特ですっごく興味深いです!」

 「あーたしかにそうだったかも。だいぶ前に読んだから忘れていることもあるかもしれないけど、小麦じゃなくて米が主食の国だよね?」

 「そうなんです!他にもダイアモンド国では見られないような食べ方があったりして・・・ぜひ行って食べてみたいです!」


 そして味噌や醤油、納豆に梅干しなどあったらたらふく持って帰りたい。輸入レベルで買って帰りたい。

 はっ・・・!もしかしてヒスイ国の誰かに嫁げばこの国に永住できて安定の和食ライフが・・・!?


 この時私はめくるめく和食妄想の世界へと旅立っていて微塵も気づかなかった。リムがとても優しく愛おしそうな眼差しで私を見ていることに。

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