どうやら転生していたようです
皆様の悪役令嬢転生ものが面白くてついつい私も書きたくなってしまったので・・・笑
設定やら詰めやら色々甘くて未熟なところも多いかと思いますが、よろしくお願いします!
柔らかい日差しが世界を照らす昼下がり。澄んだ青い空は雲一つなく、瑞々しい草花が初夏の訪れを感じさせてくれる。そんな美しい風景を切り取る窓辺に腰かけながら、私、シトラス・ルベライトは深くため息をついた。
・・・・・和食、食べたい・・・・・
突然ですが、改めて自己紹介を致します。私はシトラス・ルベライト。このダイアモンド国のルベライト公爵家の娘で、先月七歳の誕生日を迎えたばかり。別段特筆すべきことなど何もないはずだったのですが、先日からそうも言えなくなりました。なぜか。前世の記憶を思い出したからです。
まさか私が流行り(?)に乗っかる日が来るとは・・・
前世の記憶は二十四年分ある。ところどころおぼろげだし、最後の瞬間は突然映像が途切れたようになっているので思い出せないが、それまでは平々凡々な日本人女子として生きていたようだ。特に流行に敏感で見目も麗しい恋多き女子ではなく、どちらかと言えばマイペースで流行より自分の趣味や好みを楽しんでいる女子だったらしい。
でもこんな斬新な転生をすることになるとは・・・
この心境を一言で表すと『マジか』である。
なぜなら私が転生したのは前世で愛読していた小説『悪役令嬢に転生したけれど、わたしはげんきです』の悪役令嬢であるシトラス・ルベライトだとわかったからだ。
ちなみにここで誤解のないよう説明しておくと、私は悪役令嬢だが主人公ではない。
小説『悪役令嬢に転生したけれど、わたしはげんきです』はある日本人女子が乙女ゲーム『ラブ・ジュエリー~この恋は永遠に輝く~』の主人公アミル・プラシオライトをいじめる悪役令嬢クロエ・ガーネットに転生し、破滅を回避すべく奮闘する様を描いたラブコメディである。コミカライズもアニメ化もした。
私は小説『悪役令嬢に転生したけれど、わたしはげんきです』の中で本当に救いようのない悪役令嬢シトラス・ルベライトに転生したのだ。攻略対象である義兄に対する恋心からアミルにもクロエにも悪亊を働き、最後は『ざまぁ』な展開で破滅する。前世の私自身『ざまぁ』と思って読んでいた。
それが私の転生先・・・マジか・・・・・
私は窓ガラスにうっすらと映る自分の顔を見た。赤みを帯びた茶色の髪は少し硬めのストレートで、可愛いゆるふわでも思わず触りたくなるさらつやでもない。髪と同じ色をした瞳は小さくはないがパッチリと大きくもない。お世辞にも華やかとは言えない素朴な顔立ちがそこにはあった。
今まで読んできた悪役令嬢転生ものは全員美人だったように思うけれど、私は『ざまぁ』な、しかもモブ寄りの悪役令嬢なだけあってなんとも地味だ。前世の記憶を思い出すまでは『立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花のように美しい令嬢』だと思って生きてきたお頭のおめでたい私。重ね重ね『マジか』だ。
だがしかし。
いつまでも呆然としているわけにはいかない。
このままでは私はアミルやクロエへの嫌がらせによって破滅する定め。そんなの絶対嫌だ。
読み込んできた悪役令嬢転生ものの主人公達みたいにうまくやれるかわからないけど、破滅回避のためできることをしていかなければならない。そのためには一度きちんと状況情報を整理して対策を練らなければ。
そんな私の目下の悩みは
「和食、食べたい」
である。
『え、何言ってんの?この人』という自覚はあります・・・・・けど!
だって私は日本人(心が)!魂レベルで欲してしまうんですよ、ぬか漬け味噌汁白いごはん!!
公爵家だけあって、この家で出される食事は実に美味。非の打ち所がない。もちろん、ありがたく毎食美味しく頂戴しているし、文句もない。そしてこの世界にも米はある。けれどそれはリゾットなどに使われるジャバニカ米であり、あのもっちりとしてつやつやな姿が愛しいジャポニカ米ではない。それにやはり圧倒的にパンやパスタが多いのだ。
でも―――――
伊達に悪役令嬢転生や異世界転移ものを読みふけっていたわけじゃない。私も彼女達のように前向きに色々試行錯誤していこうじゃないか!和食と破滅回避、がんばります!