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ミカゲと美影

作者: たかなり

手記形式小説になります、漠然とした悩み、不安、何をすればいいのかわからない、これらを一緒に少年とおじさんと考えてみませんか?

いつからだろう。

生きているのがつまらないと感じるようになったのは。何の気なしに、持っていた空のペットボトルを投げ捨てる。


別に、死にたいとか、引きこもりたいとか言ったのはない。学校で友達とバカやってる時間は楽しい。でも、常に漠然とした不安が心にある。

自分が何をしたいのか、なんのために生きているのか、無性に問うようになった。

あぁ、また今日が終わる。



今日は何故か目覚めがいい。

時計を見ると、針が5:30分を指していた。目覚ましが6:30になる設定なため、いつもより1時間も早い目覚めだ。

だからといって何があるでもない...けど、起きていても暇だから、今日は早めに家を出よう。

家にいても、学校にいても、することは同じ。ただぼーっと、不安が心を蝕んで行くのを待つだけ。

歩いていると、散歩中なのか、パタパタと歩くおじさんと目があった。にこりと笑いかけてきたので、軽く会釈を返す。


ドガサッ...


音のした方を見ると、先程歩いて行ったおじさんが倒れていた。足元には、見覚えのあるペットボトルがある。


「昨日俺が投げた.........おじさん、大丈夫か?」


おじさんは差し伸べた手を制し、大丈夫と言う。


「この頃足元がオボついてな.........すまない」

「いや、こちらこそ.........」

「ん?こちらこそ?」

「.........なんでもない」

「まぁいい、すまないが、さっきので足をくじいてしまったようだ。倒れないように、少しの間見といてくれないか?」


断れるわけなかった。


しばらくついていくと、おじさんの家らしい場所へ着いた。とてもボロく、家中ツタが伸びまくっている。とても人が住めるような場所じゃないと不思議に思ったほどだ。


「ありがとう。君はこれから学校かい?」

「あぁ、そうだった、学校に行く途中だよ」

「学校は楽しいかい?」

「いや、全く。楽しくも、なんともない。面白くない」

「はは。君は正直でいい。学校終わりは暇かい?私の話し相手になってくれないか?」

「ん...まぁ、いいよ」


放課後またこの家に来ることを約束し、学校に向かった。


話のつまみに果物を少し買った。おじさんの家の包丁は使いたくないので、すでにカットされているものだ。

街の景観をギリギリ壊さない程度にボロい家は特徴的で忘れるはずもない。迷うことなく無事に着いた。

ドアホンが壊れているらしいので、扉を2回ほど叩いてくれればいいと言っていた。


「お、きたかね。入りなさい」


中から声が聞こえたので、ドアを開け中に入った。カビ菌などが舞ってそうで嫌な気分だが、マスクを持ってきてよかったと安心する。


「おじさん、りんごとパイナップル買ってきた。食べながら話そう」

「おやおや、気を使わせたね。だがすまない、私は医者から余分な食事を禁じられていてね」

「あ、そうなのか。ごめん」

「それは君一人で食べなさい。ところで、今日も学校はつまらなかったかい?」

「あぁ、それはもう。もはや作業だよ」

「作業、か。君はクラスにお友達がいないのかい?」

「そうだね。なりたいと思う人もいない」

「強がりじゃなく、本心から言ってるみたいだ」

「分かるの?」

「あぁ、なんとなくね。でも、それなのに学校に毎日通うのはなぜだい?」

「何故って...学校通わなきゃいけないからだよ」

「確かに、日本で暮らして行くには義務教育と呼ばれる、小中学校卒業が義務付けられているね。だが君が今通っているのは高校、進んで入った学び舎じゃないか?」

「理屈で言えばそうだよ。だけど、ここは卓上じゃない。高校出てなきゃなんとなく不安だし、就職だってできない」

「ふむ、じゃあ、君が高校に通うのは、通わないとなんとなく不安だし、就職できるようにするためって事かい?」

「細かいこと除けば、そんなもんじゃないかな」

「.........ところで君は、将来どんな職業に就きたいんだい?」

「んー、決めてないかな。大学進んで、興味のあるもの見つけたら、それに進む」

「今君が興味を持ってる事はないのかい?」

「んー、ゲームとか小説を時々読む程度.........かな。趣味という趣味はない」

「じゃあ、現状趣味もやりたいこともないのに、大学に進んで学べば、いづれポンっと、モグラのように興味のあるものが出て来ると?」

「.........おじさんは何が言いたいの?」

「今できないことが、いずれできるようになると思うのは間違いだって伝えたくてね」

「............」

「なんとなく進学し、なんとなく就職し、なんとなく退職し、なんとなく死ぬ。それも間違いじゃない。だけど、正解でもない」

「.........じゃあ正解ってなんだよ?進学せず好きなことばっかやれば正解なのか?」

「正解は無数に存在するのさ、私にとっての正解と、君にとっての正解は違う。君の生き方は、君が決めなきゃいけない」

「だから進学して就職しようって思ってるんじゃないか!」

「それは君が決めた将来とは言わないさ。公的機関に、選択を委ねているだけ」

「は...?どこが委ねているっていうんだよ!」

「君には行きたい大学があるのかね?」

「っ.......」

「なんとなく近場で、今ある学力で行ける場所を探そうと思っているんじゃないか?」

「それは......!」

「仮に行きたい大学があったとして、その大学のどこに惚れ、そこに行かなきゃいけない理由なんて言えただろうか?君の今いる高校に進学した理由、果たしてそこじゃなきゃダメだったのだろうか?

はっきり言おう、君は、何も考えていない」

「黙って聞いてれば人の人生をバカにして...!!茶化すのもいい加減にしろ!!お前に何が分かるってんだ!!」

「落ち着いて話をしよう...。私には、君のことなんて分からない。それは私以外もそう、君の母や父、兄弟、恋人だって、君の事は誰も分からないし、理解できない。だからこそ、君が考え、選択し、行動しなきゃならないのだよ」

「うるせぇうるせぇ!!」


感情を抑えきれず、椅子を蹴り飛ばし、食べかけのフルーツも床に落としてしまった。

だけど、今そんな事はどうでもよかった。

全てをわかった風に言われ、どれも的を射た発言で、何も言い返せず、バカにされているように思えた。


「焦らなくていい。少し私も言い過ぎてしまったようだ。また明日、ここで会おう。来るもこないも君の自由だよ、自分で選択して行動するんだ」

「来てたまるか!!」


勢いよくドアを開け、そそくさと出て言った。最後までおじさんは、我が子を慈しむような、不適とも思える笑顔を浮かべていた。


寝る準備が済み、人生で一番至福の時間に入る。少し肌寒い夜に、暖かい布団に入る心地よさは、なんとも言えない心地よさがある。

本来なら床に着けばすぐ寝れるのだが、今日はなかなか寝付けない。おじさんに言われた言葉がずっと、頭の中から離れなかった。


『はっきり言おう、君は、何も考えていない』


端的で、それでいて的を射た言葉。

自分で納得したからこそ、それが恥ずかしく、悔しくもあり、怒りに任せて叫んでしまった。一種の逃げとも言えただろう。


「考えるって、どうするんだよ...いきなり考えろって言われたって、分かるわけない」


気づくと、日が昇っていた。

寝ていたのかどうかも曖昧で、ただうるさい目覚ましに殺意が湧く。

また今日もつまらない学校に向かわなければならない。

.........なんで俺、高校なんか通ってるんだっけ。


「おや、来てくれたのかい」

「昨日は.........突然怒ったりしてごめん」

「何を謝る、君は悪くないさ。私の話をしっかり聞いていてくれた証拠なんだから、むしろ嬉しかったよ」


昨日蹴飛ばした椅子は元の位置に立てられていた。また、同じ体勢で話が始まる。


「今日、学校行くときに考えたんだ。なんで俺、学校通ってるんだろうって」

「うん」

「そしたら、わからなかったんだ。浮かぶ理由は、全部それらしいだけで、突き詰めると、別に高校じゃなきゃダメな理由がない。そうしたら...すごく怖くなった」

「............」

「自分が今何をしているのか分からなくなった。何で生きているのか.........何を目標として歩んでるのか、あやふやで、はっきりしないモヤモヤに気づいた。でも、それがどういうものなのかが、言葉にできなかった」

「......君は、芥川龍之介を知っているかね?」

「芥川龍之介?国語の授業で聞いたよ、羅生門書いた人でしょ?」

「あぁそうだ。文豪夏目漱石に認められるほどの、才気あふれる文豪だ。しかし彼は、服毒による自殺で他界に行ってしまった。その時彼は、死ぬ理由として『僕の将来に対する、ただぼんやりとした不安』と書き残し死んだそうだ」

「............?」

「天才小説家でも、その漠然とした不安に言葉を合わせることはできなかった。慰めにもならないだろうが、君がその不安を言い表せれないのは君が愚かだからではない。いやむしろ、言葉で表せれるようなものでないからこそ、胸に常にこびりつく、重く暗い不安として存在しているんだろうね」

「へぇ...自殺してたんだ。でも、じゃあどうすればいいの?考えろったって、今まで何も考えてなかったんだから、無理じゃない?」

「そんな事はない。今からでも、どうとでもなるさ」

「好きなものもないし、興味があるものもないよ?」

「あぁ。僕は今沢山の事に感興しているけど、昔は君と同じで、何にも無気力で、感情を失った機械のようだったんだよ」

「......軽くディスるのやめてよ」


ふふふ、と一笑し立ち上がったおじさんは、ボロく、今にも壊れそうな机の上に置かれてあったメモ用紙をちぎり、ペンとともに持ってきた。


「そこに、今君が抱えている問題を全部書き込んでみなさい。私は、それを見ることはないから、どんなに些細なこともでも、そしてどんなにプライバシーなことでも、全て描き落とすんだ。例えば、最近見る夢が面白くないとか、鼻の穴が乾燥してヒリヒリするとか、そんな事でもいい、とにかく描きまくるんだ」

「ん......分かった」


最初はそんなに抱える問題は多くないと思っていた。だけど、いざやって見ると、書いている途中に色々と浮かび上がる。

ペンの持ち方が汚いだとか、足が臭いだとか、目が悪くなってきたとか、本を読むにも集中できないだとか.........。

裏面にまでびっしり描き納め、満足するほどにあらゆる悩みを書き落とした。


「最初は悩みなんてそうあるものじゃないと思っただろうが、いざ書いて見ると、なかなか出るもんだろう?」

「うん!なんか楽しかった、自分の小さな悩みだったり、問題点を目に見える形に残すと、頭がスッキリした感じになった」

「ははは、それは良かった。次はそれをどうやって改善するか考えよう。この場で解決策が分からなければ、それを調べてみよう。やることは、山積みだよ」

「うん、わかった。ありがとう、帰って早速やってみる!」

「あぁ、もう日暮れだね、気をつけて帰るんだよ」

「うん!また明日来てもいいかな?」

「あぁ、すまないね、明日明後日はやる事があって...三日後、またここで会おう」

「ん、わかった、それじゃね!」


いつぶりだろう、こんなにも胸が高鳴るのは。


『気張るんだ、ミカゲ』

「えっ?」


ドアが閉まる瞬間に、おじさんの声が聞こえた。そしてその中にあった名前は、僕の名前だった。ただの一度も、名乗ったことは無いのに。


・・・・・・・・


グゥングゥングゥゥングゥゥゥ......。

大きなモーター音が止まる。小型に改良した方がいいんじゃないか?これだと.........バレてしまうじゃないか。

目を開けると、目の前には無数の銃口が月明かりで黒く湿っていた。一体、幾つの”機械人形[ドール]”が配備されているんだ。


「.........この施設が此処に設置されるのに、どれだけ国同士が競ったと思っている?」


相変わらず、技術の進歩には日々驚かされる。機械から発せられる声が、人間の声にしか聞こえない。


「研究所に無断で立ち入り、さらに”テスト段階にあるタイムマシン”をも無断使用......。世界の禁忌とされているのを知らないのか?」

「論理的に考えて理解できる行為じゃないんだろうな。私も感情論は好かんが」

「はぐらかすな、貴様の命はもう無いものに等しい。死に際まで誰にも理解されない事をするのか?」

「はぐらかす?あぁ、すまない。わかりやすく言った方が良かった。擬似感情しかないドールに、本物の感情で動く人間の事なんか分かるかって言っているんだよ」

「くっ......!!」


銃口が突き出される。今にも弾丸が頭を貫きそうだ。すると、それを制する機械人形がいた。図体が一回り大きく、この中でリーダー的存在なのだろうとすぐに悟れる。


「お前の行為は我々に理解できないし、理解できなくて当然とも言える。我々は此処のセキュリティを任された国の所有物。.........天津美影、お前をどうするかは俺たちによる判断でどうにかなるものではない。抵抗せず私についてこい」


そのリーダーマシンは銃口を下げるよう命じ、原始的な手錠と足枷をはめさせられる。

ついて行った先にあったのは堅牢な倉庫で、機械人形のチャージャーとして機能している部屋だった。


「充電式なのね」

「2時間で3日動ける。中々悪くないだろう」

「はっ、機械様様だな」


このマシンは冗談が通じる。話し相手になってくれそうだ。


「だが、我々は明日にはもういないだろうな」

「私は謝る気も詫びる気もないぞ?」

「あぁ、君は悪い事をしたが、セキュリティの穴をつかれたのは我々だ。処分され新たな機械が配備されるのは、君のせいじゃない」


てっきり怒られたり脅されたりするのかと思ったが、声音にそんな感じはしない。むしろ、弾んでいるようにも聞こえる。


「最期に聞きたいことがあってな、君を此処に呼び出したのさ」

「なんだ」

「何故君は、タイムマシンを使ったんだ?これまでここで数々の人間を見てきたが、利用時点で死の可能性、世界の消失、そして、存在の抹消。さまざまなリスクがあったはずだ、大抵それを恐れ自ら実験台になろうというものは現れなかった」

「世界の消失は、並行世界理が間違っていたらの話だろう?そんなもの、やって見なきゃわからない」

「じゃあ存在の抹消についてはどうなんだ?生きてきたことが罪とされるのは、人間にとって最も悲しい事だと思うが」

「存在の抹消ってあれかい?“存在の幻[ザインイリュージョン]”の事?全人類の記憶に干渉し俺の存在を消し、なかった事にするとかいう暴挙」

「そうだ。嫌じゃないのか?」

「嫌じゃないさ、元々私の生きた世界なんてつまらなかったんだ。だけど、この人生で唯一導き出せた答えがある、それを前世の私に伝える事で、今の人生に意味を持たせたかった」

「ふむ............」

「私が戻ってこれた時点で並行世界の存在はより一層濃くなったし、私の目的も果たせそうだ」

「目的というのは、昔の君に、今の君が伝えたい事を伝えるということか?」

「あぁそうさ。全世界から俺の存在が消えても、俺の中に、俺が生きた理由が存在するなら、俺が生きた結果になる」

「私には到底理解できない事だ。だが、強く硬い熱意だけは感じ取れた。もっと詳しく聞いていたいが...どうやら時間のようだ」

「あぁ、そうだね」


ドアが乱暴に開かれる。見かけとは正反対の乱暴さに少し戸惑いを覚えた。


「全く...とんでもない事をしてくれたね。君を直接この手で引き裂いてやりたいよ」

「見かけによらず猟奇的なのですね、ケミー所長」


整った顔立ちにスーツ姿の男が、ここ国際時間観測研究所[ITL]の所長であり、世界で最も偉大な研究者と名高い人間。


「まぁ君の事なんてどうでもいい。君のおかげというか、君のせいというか、やる事が山積みだ。とにかく君は今から護送車に乗って裁判にかけられる。無能な警備マシンたちよ、最後くらい役に立て」

「...かしこまりました」



あれから、色々あった。

がしかし、概ね予想通りに話が進み、現在帰還後二日目の晩である。起動直前のタイムマシンに乗車していた。


「約束を忘れるな」

「あぁ、私も困るからな」


目の前のケミーに話しかけ、スイッチを入れる。意識が遠くなり、わずかな吐き気と共に心地よさも感じる、なんとも不思議な感覚......。

眼を覚ますと、ボロい家の中にいた。廃屋で、昔の私と語る場所として使っている家屋だ。ここで、のんびりと彼を待とう。期待と好奇心に満ちた、見たことのない私を。


・・・・・・・・・・・・・



あれから2日経った。

ついに今日はおじさんと会える日だ。

おじさんとの会話はこれまでにない新たな気づきがある。それが楽しく、面白い。

学校は相変わらずつまらないが、自分の問題点や改善したい点を挙げた中に「視力を回復させたい」と書いたので、いつもかけるメガネを外して黒板を眺めている。

そんなこんなで終業のチャイムが鳴り響く。高校3年の秋、この音もあと半年で聞けなくなると思うと、少し寂しさを感じるくらいには心の余裕ができたみたい。


「おじさん、いるー?」

「やぁ、2日ぶりだね」

「だね!待ちわびてたんだ」

「ははは、それは嬉しい。表情も少し豊かになったようだ」


いつも通りの椅子に、いつも通りの形で、何気ない話が始まる。


「おじさん、教えてもらった方法で、ここ数日はやる事ができて良かったけど、もうそれも尽きそうだし、何より飽きたよ」

「だろうね、無理やりやりたいことを出したようなものだし、飽きたり、めんどくさくなるのも当然だ」

「え、あれって、やることを無理やり出すための方法だったの?」

「そうだよ、本当に無気力で考えることが億劫になっている人には、あれくらい強引じゃないとダメなんだ。つまり君は、まだつまらない日常と、やりたい事が溢れる日常の垣根にすら立てていないんだよ」

「なんかショック...じゃあどうすればいいの?あれから色々考えたんだけど、やっぱりやりたい事が見つからないんだ」

「......君は、好きな女の子はいるかい?」

「え、なに、急に恋バナ?...んまぁ、いるっちゃいる。気になるってくらいだけど」

「その子と話して見たくないかい?」

「そりゃ話せるなら話して見たいよ?でも...一回も話したこともないし、ましてやその子は別のクラスだし。怖がられちゃうよ」

「そこだよ」

「え?」

「君は、物事を『できる・できない』で考えてしまっている。だから、やりたい事がないんだよ」

「.........ど、どういう事?」

「君には、やりたい事が実は沢山あるんだ。だけど、それを感情が邪魔しちゃっている。めんどくさいだとか、緊張するだとか、何かと理由をつけて、まるで『やりたくてもできない』かのように、自分に錯覚させる」


おじさんは一呼吸の間を置いて、続く言葉をゆっくり、丁寧に言った。


「できるかできないかじゃなく、やるかやらないかで動く。これが最も大事な事なんだよ」


「やるかやらないかで動く...?」

「あぁ。そうだよ」

「んー...おじさんが伝えたいことはわかるけどさ、でも、やっぱり緊張だったり、嫌われるかもしれないって不安が出てくるんだ。それを無視しようとしても、どうしても足がすくんでしまうのが俺なんだよ」

「こんな話がある。ある心理学者はね、赤面症を治したいと相談しにきた女の子に、それを治すことは出来ないと告げたんだ。何故なら、その赤面症は君が望んで手に入れた身体症状なのだから、と」

「え?つまり自分が望んで赤面症になったから治さないって言ってるの?」

「そういうことだね。心理学者曰く、彼女は、『赤面症があるから好きな人に話しかけれられない』と言った言い訳が欲しいから赤面症を作り出しているそうだ」

「なんだそれ、突拍子も無い」

「ははは、たしかに何の論理性も無いけど、私は随分と的を射た意見だと思うよ。だって、人に話し掛けるのは、誰にだってできることだ。それを躊躇したり恥ずかしがるのは、その間に感情があるからで、感情は自分が作り出すものだもの。話しかけられない理由を作り出すために、赤面症を作り出したんだという意見は間違いじゃ無いように思う」

「うーん...言われてみると、たしかに」

「これと同じで、君が好きな人に話し掛けられない理由に、『クラスが違う』だとか、『一回も話したことない』だとかを挙げたけど、それは話しかけられない理由になっているようで、なっていない。『嫌われるかもしれない』、『怖がられる』とかいう理由も、君が勝手に思ってるだけで、話しかけることを不可能にする要因ではない」

「ふむ............」

「そうするとほら、簡単に出てきたよ、君がやりたいこと。クラスが違う、一度も話したことのない、気になっている女の子に話し掛けること」

「ほんとだ」

「こんなものなのさ。私たちは小さい頃から、遠く未来のことばかり考えさせられて生きてきた。いい会社に就職するため、将来困らないため、何か起きた時のため。そんな不確定な未来の為に、今を見ることを辞めてしまっている。すると、どこにたどり着くかわからない不安が慢性的に襲い、蓄積され、肥大化し、潰れる」

「潰れる......自殺とかってこと?」

「あぁ、そうだよ。年々自殺者が多くなっているらしいけど、そのほとんどが学生だ。この時代は、大きく世界が変わる時代でもある。不安は体に炎症を起こし、原因不明のだるさや疲れも出てくるのさ」

「大変だねぇ」

「何を他人ずらしている、君もその被害者の一員だよ」

「うぅ.........」

「ははは、心配しなくてもいい。不安に押し潰れない生き方を教えるよ。明日また会おう、今日はもう暗いからね。家まで送るよ」

「大丈夫だよ、近いし。一人で帰るよ」


気づくとあたりは真っ暗で、どれだけ話に没頭していたかがわかる。おじさんのいうことはどれも新鮮で、聞いたことのない考え方ばかりだからだろう。

『できる・できない』じゃなく、『やる・やらない』。

『不確定な未来』じゃなく、『今』を見る。

メモしなくっちゃ。


・・・・・・・・・・・・・・


「やっほ、おじさん」

「おお、君か。今日は学校じゃないのかい?」

「うん、日曜日が文化祭で、今日は振替の休みになってるんだ」

「おぉ、文化祭があるのかい。なんとも青らしい響きだねぇ、懐かしいよ」

「おじさんってよりもうおっさんだね。はは」

「はは、まだまだ40代さ、現役だよ。さぁ中へお入り。君はハーブティー飲めるかい?」

「うん、好きだよ!」


家の景観に似合わない、綺麗な紋様のグラスにハーブティーが注がれる。この家の庭で育てたそう。いい香りだ、心が安らぐ。


「今日は、昨日伝えた通り、不安に押し潰れない生き方を教えよう。と言っても、名前に反して大したことじゃないんだけれども」

「そうなの?まぁなんだっていいよ、おじさんの話は面白いからね」

「それは良かった。ところで、君は好きな子に話しかけられたのかい?」

「実はまだ...。目が合うと、緊張しちゃって何もできなかったんだよ。近づくだけでもドキドキしちゃって。って、なんか恥ずかしいな」

「ふふふ、いいじゃないか。では、なぜ君はそんなに緊張するのだと思う?」

「それは昨日おじさんが言ってたじゃん、話せない言い訳にする為、でしょ?分かってるけど...」

「それはそうだけど、その前提の理由さ。なぜ君は話しかけれない言い訳を作ろうとするのか?」

「え?うーん...嫌われたくないから?」

「今日の論点はそこ、嫌われたくないの呪縛について話そう」

「お、始まった」


スッとハーブティーで喉を潤し、集中して、一言も聞き逃さないようにする。


「君の、『誰かに嫌われないように生きる』精神は、日本人としてはとてもありふれたことで、美徳とされている心持ちだよね」

「うん、母さんからも、『人に迷惑をかけるような人になるな』って言われて育ってきたから」

「でもね、それだと、君は村人Aになっているんだ」

「村人A...?」

「うん、ロールプレイングゲームなどに出てくるNPC、ノンプレイヤーキャラクターの事だね。主人公の冒険を華やかにする役だ」

「ん、それは分かるけど、俺が村人Aってのがよくわからない」

「君は、自分の人生を歩んでないんだ、他人の人生を満たすために生きていることになる」

「自分の人生を歩んでいない?」

「君が人に嫌われないように振る舞うのは、相手の期待を満たすためだろう?相手に迷惑をかけないように、より快適にいてもらうように」

「うん」

「それは、常に相手に自分の主導権を握られているようなものなんだよ。君は周りに操られ、いいように使われているだけとも言える」

「え、じゃあ、周りに嫌われろってこと?」

「いや、違うね。自分の人生を歩んだ中で嫌われるのは、仕方がないと言いたいんだ」

「んー........?」

「例えば、アルバイト先で先輩が理不尽に、明日のバイト変われって言ってきたとするね。君はきっと、先輩だし、反発すると後が面倒くさいから、明日友達と遊ぶ予定だったのを蹴ってでも出ようとするだろう。これじゃダメなんだ。君は、ここで断らなければならない」

「あぁ、そういう事か。んー、でも後で陰口とか、イジメとか起きないかな」

「それは相手によるだろうけど、それにビビっていては自由な生き方はできない。嫌われることを、恐れちゃいけないんだよ」

「自由に生きるためには、嫌われることを恐れちゃいけないんだね......」

「例えば、今君の気になっている子が引っ越すことになったらどうしようか。不慮の事故にあったらどうしようか。ましてや、彼氏ができてしまったらどうだろうか」

「それは嫌だなぁ」

「だろう?伝えられる内に伝えるのが一番さ、例えフラれても、嫌われるわけじゃない。というか、告白されただけで人を嫌いになるような人はなかなかいないし、そんな人間好きになっちゃダメだよ」

「ははは、確かにその通りだ。今度、挨拶だけでもしてみるね」

「うん、それがいい」



それから、しばらくおじさんと談笑が続いた。

普通の高校生なら、こんな休みの日は誰かと遊びに行ったり、旅行に行ったりするのだろうけど、俺にとっておじさんと話すことは、休日を使ってまでしたい事だった。とても、楽しいんだ。

今まで、誰にも理解されてこなかった。

アニメが好きってだけでバカにされたし、運動ができないからって笑われた。

本当に辛かった。理由もなく泣いたこともあった。友達探しの掲示板を検索して、余計に寂しく感じたこともあった。

だけど、おじさんに出会ってから、それが少しずつ変わりつつある。

世界は広く、俺のような『変わり者』でも相手にしてくれる人がいた。

それが、とても嬉しかった。


「おじさん、ありがとうね」

「ん?なにがだい?」

「俺のような偏屈な人間に、ちゃんと目を見て、理解してくれようとしてくれて。俺、嬉しいよ」

「ふふふ、私も君と会えて嬉しいよ」

「おじさん、名前を教えてもらってもいい?こんなこと言うのなんだけど...友達になって欲しいんだ」

「ははは、私みたいなおじさんでもいいのかい?」

「んーん、おじさんじゃないとダメなんだ」

「ははは、そうか...。私の名前は...明日伝えるとするよ」

「えぇ〜?なんだよそれ」


・・・・・・・・・・・・・


カチッ...チッ...チッ...チッ...

日付が変わってしまった。


「..................今日で最後か」


・・・・・・・・・・・・・


「おじさん、いるー?」

「やぁ、今日は昨日と比べて随分遅かったね」

「午前中病院があってさ、今更だけど、腕を怪我しているんだ」

「そうなのかい?」

「うん、ほら」


腕をまくり、包帯を見せる。


「階段で転んじゃってさ。ヒビが入ってたみたい」

「あぁ...安静にね」

「うん、まぁ、ほとんど治ってるけどね」

「それは良かった」

「......おじさん、何かあった?」

「え?」

「今日...なんか暗い」


笑顔が作られているようで、本心から笑っていないのは丸分かりだ。


「なんでもないよ、心配かけてすまない。ところで、今日はとても重要なことについて語ろうと思っていたんだ」

「ん...気になる」

「ふふ、さぁ席について話そう。ハーブティーもいれなきゃだね」


そう言って、庭にあるハーブを取りに行った。


「とても重要なことって?」

「人生についてだ」

「壮大だね」

「君は、なんのために生きているのか考えた事あるかい?」

「結構ある。だけど、考えても答えはいつも出ない。憂鬱な気持ちになるからあまり考えないようにはしてる」

「憂鬱な気持ちになる、ね。今の悩める子達がよく呟く中に、『生きている意味がわからない』ってあるだろう?あれは、そもそも悩むことが間違ってるんだ。だって、生きる意味がそこに『ある』のじゃなく、みずから『つくる』ものなのだから」

「つくるもの?」

「あぁ。生きる理由に、それっぽい理由を並べることは簡単さ。繁栄のためだとか、発展のためだとか。でも、答えになってないよね。なんで繁栄するの?なんで発展するの?無限ループに陥る」

「うん」

「人全員に当てはまる、「生きる意味」なんてものは存在しないんだ。そして生きる意味は決まっているんじゃなく、自らの手で選び決めることができる」

「自らの手で選び、決める.........」

「人生はもっとシンプルでいいんだ、生を複雑怪奇にしているのは、実は自分自身なんだよ」


おじさんの考えはいつも俺を新しい世界に連れ出してくれる。

生を複雑怪奇にしているのは自分自身。その通りだ。

そして生きる意味は自分で選び取るもの。

どんな生きる意味を付けようか?なんだかワクワクしてきたな。


「そしてすまない、君に伝えなければならないことがある」

「ん?なに?」

「私はこの街を出ることになったんだ」

「............え?」

「突然のことで申し訳ないと思っている」

「じゃあもうおじさんと、こうやってお話しできなくなるの...?」

「...そうだ」

「......嫌だよ。なんでだよ。なんですぐどっか行っちゃうんだよ」

「私も残れるなら残りたいのだけど...私自身が決めた事でもあるからね」

「訳がわからないよ...おじさんに出会えて変わり始めたんだ、楽しくなってきたんだよ、どうすればいいの?おじさんがいなきゃ俺......」

「君はもう大丈夫だ」

「え.........?」

「君の中には、私が託した思いや考え方がある。あとはそれを自分で考え、結論を出し、行動するのみだ。君の中に種はまいたよ」

「無理だよ......どうしても不安だよ、すぐに変わることなんて無理だよ......」

「少しずつでいい、一歩ずつ進むんだ。君のスピードでいい」


おじさんは立ち上がり、明るく、でも眩しくはなく。そんな、朝日にきらめく水滴のような笑顔で言う。


「私はもう行かなければならない」

「......頑張るよ。言われたこと噛み締めて、自分なりに生きてみる」

「あぁ、頑張りたまえ」

「二度と会えない訳じゃないんだよね?」

「あぁ、必ず会えるさ。今度はもっと、明るい私と会おう」

「明るいおじさん......?って、おじさん、足......!!」


砂のように、おじさんの足がゆっくりと消えていっている。なにが起きているのか、全く分からない。おじさんはどうなっちゃうの?


「昨日約束したよね、名前を教えると。私の名前は、天津ミカゲ。楽しく生きなよ」


それを最後に、おじさんは消えてしまった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


独房301室、あるのは扉とむき出しの洋式便所、そして畳。

世界の禁忌とも揶揄される大罪を犯した私が、このようなごくありふれた収監所に入れられているのは、抵抗が全くないからだろう。無駄にセキュリティを引かなくて、経済的に助かるだろうしな。

私は、生きた。

私自身が決め、行動し、その役割を終えたと自負している。

後は死をもって生を華々しくするのみだ。


「やぁ、また会ったね」


頭上から声がかかる。


「どうしたんだ、私のことなんかどうでも良かったのでは?」

「あの時は多少イライラしていたからさ。少し君が気になってきて見たんだ」

「ここはそんなに気楽に入れるような場所でしたっけ...ケミー所長」


にやけ気味に話しかけてきた。だが、話し相手が欲しかったので、私自身もにやけてしまっているのかもしれない。口角が上がっているのに気づいた。

きっと、元々話すことが好きなんだろうな、私は。


「マシンドールに、電子データとして君の発言が残っていてね。どうも、引っかかりというか、話しておきたいというか」

「......あのマシンドールは壊されたのかい?」

「ソフトウェアに問題があっただけだから、身体は溶かされて再利用されるさ。そんな事よりだよ、僕は君について知りたいんだ」

「と言われましても...私としては何もいいたくないのでね」

「それは君の哲学的思想についてだろう?まぁ、それが聞きたいんだけれども、君がいいたくないのなら仕方ない。だが、過去についてはどうだ?君が生きて来た世界を、君の言葉で彩って教えてほしいんだよ」

「過去についても語るのは嫌なんですが...まぁ、暇なのでこの際どうでもいいですね」

「あぁ、心して聞こう」

「私が辿った世界線、それは、30年前の、何か漠然とした不安を抱えたまま成長した世界。親に、教師に言われるままなんとなしに大学へ進み、就職。しかし、加速度的に進化するIT技術により、仕事のオートメーション化、結果、激しい競争に負け倒産、廃業。

コンビニの店員やファミレスの従業員といったバイトはなくなり、気づくと、人間よりも機械の方が動いている世界に。私は、そんな世界と自分に嫌気がさしてしまってね。自殺を図ったんだ。...だけどね、死ねなかった。首に触れる刃が、物質的な冷たさじゃない、もっと冷酷ななにかを伝えてきて、怯えてしまう。国の失業者手当を得ながら、死のうとしては死ねない、不甲斐ない時をすごしていた。すると、死ねない弱さを補うように、慰める様に、死について考える様になった。

なぜ死ぬのが怖いのか?死とは何か?死の先に何かあるのか?

無我夢中で調べ、考えた。結果、何も分からなかった」

「何も分からなかった?」

「えぇ、何もです。失望しましたよ、自分の無能さに。しかし、私は諦めなかった。生の最終地に死があるのなら、生を学べば、死も学べるのでは?と考えた。生きる意味を探し始めた。だけど...それすらも分からなかった。それっぽい理由はいくつも浮かびました、繁栄のためだとか、発展のためだとか。でも、突き詰めるとそれは、なんの答えにもなっていない。なんで繁栄するのか、なんで発展するのかという疑問が新たに生まれるだけ」

「ふむ......」

「しかし、私はここであることに気づきました。なぜ前提として、生きる意味が前にあると考えているのか?という疑問にです。つまり、生きる意味が予め決められているのではなく、生きた意味について考えることが、人として正しいことなのでは?ということです。じゃあ、死についてはどうなのか?これは、生きた意味を作るために、生のピリオドとして存在するものなのでは?と考えたんです」

「生のピリオドとしての死?」

「えぇ。死はただ単に、生という旋律に終わりを告げるピリオドなのでは、と」

「............」

「私は、これがすべての人間が納得する考え方だとは思っていません。ですが...これは、私が生きた中で考え、悩み、そして導き出した、唯一のフィクション。このフィクションこそ、私の生きた意味なのです。

よって、過去の私の中にこのフィクションがあり続けるのなら、私と言うノンフィクションはどうなろうと構わない。と思いまして」

「.........君の考え方はひどく独創的で、おいそれと理解できるようなものではない。私もその一人だ。死がそのように質素なものだとは思わないし、人間には、何かしら大きな、ヒトという種族としての生きる意味が存在していると思う。だが...君の考え方も、面白いと思った。

投げやりでない、とても丁寧に、そして大事に君が考え、導き出したことは、しっかりと伝わったよ」

「エジソンの隠し子と謳われるケミー所長にそこまで言ってもらえるとは、恐れ多い」

「心にもないことを」

「否定はしない」


ケミー所長と、こんな風に微笑み合うような関係になれるとは思っていなかった。

死ぬ前に、ずっと望んでいた理解者ができた。なんて幸せなんだろうか。


「......君はこれから、国のトップ達が直接君の”存在の幻”ーザインイリュージョンーを見届けるため、巨大な液晶パネルに囲まれた場所に連れていかれる。君は世界の禁忌を犯した、それについては変わりないことだ。罪を逃れることはできない、いくら私が喚こうとね」

「そんなことは頼みませんよ、存在が消されることを覚悟して動いたんです。それに言ったでしょう?私というノンフィクションは、もうどうなっても良いのだと」

「とっくに消える覚悟はできていたみたいだ。野暮なことを言った」


ケミー所長は立ち上がり、知的好奇心が満たされた満足げな笑顔を向ける。


「それでは、ここでお別れだ。君と話せてよかったよ、来た甲斐があった。来世は、明るい未来を歩みなよ」

「言われなくても」

「......君は、私が人生の中でもっと早くあっていたかった2人目の人間だよ」


そういって、ケミー所長は手をひらひらとさせ歩いていった。


私は、私の思う、最高の終わりを迎えた。

私は、立派に生きたのである。

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