10-35. Heretical Carnival 12. 彷徨える魔法少女たち
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
――…………ボクは、どうなったんだっけ……?
リスポーンから復帰したクロエラは、地面の上に『大』の字で寝転んだ姿勢のまま今までのことを振り返る。
……が、全く思い出せない。
「う、くっ……一体、何が起きたんだ……!?」
リスポーンによってダメージ自体は回復している。
とにかくその場から起き上がって周囲を見渡すが――リスポーン待ちの間に見ていた通り、既にそこには何もない。
クロエラを倒した『何か』の存在も、共に行動していたはずのアルストロメリアの姿もない。
『白い洞窟』を中心部へと向かってひたすらに進み、ようやく到達できたことは覚えている。
そして、そこからリスポーンするまでの間の記憶がすっぽりと抜け落ちているのだ。
「……リスポーンしてくれたってことは、ボスはまだ無事……急がなきゃ……!」
不可解なことが起こっているが、いくら考えても自分にはわからないだろう――とクロエラは頭を切り替える。
洞窟を抜けるためにかなりの距離を走り、更に今回のリスポーンでも大分時間を使ってしまった。
一人で自由に動けるのが自分だけだったため急いでラビの元へ向かう、と言ったのに一番出遅れてしまっているのではないか……クロエラは内心で自分の失態に歯噛みする。
とはいえ、彼女はもう前までのクロエラではない。いつまでもうじうじと悩むことはもうないのだ。
「……『出口』は――あった!」
気を取り直し先へと進もうとするクロエラだったが、『白い洞窟』中心部にそのようなものが見えない。
かなり大きな円形の広間、対戦でよく使うコロシアムとほぼ同じ大きさの空間が開いている。
周囲には幾つか穴が開いており、おそらくはあちこちの通路から最終的にはこの大広間へと出ることができたのだろうとわかる。
しかし、大広間はガランとしていて何もない。
外れだったか? と思うもののふと上を見上げてみると――かなりの上方にゲートに似た光があるのが見えた。
「壁を伝っては……無理だよねぇ。うーん、飛んで行くしかないかな」
クロエラの脚力であっても、流石に重力に逆らって壁を駆けのぼるのには無理がある。
大人しく霊装を呼び出し、《エア・ストライド》で走った方がいいと判断。
「……?」
霊装を呼び出し跨った後に――何か違和感があった。
「何だろう……?」
先ほどの記憶の欠落に続く正体の分からない違和感に、今度は流石に足を止める。
バイクから降り周囲、そして自分の身体、霊装を見てみるが……。
「うーん……?」
特に異常は見えない。
ダメージを受けているわけでも、魔力が不自然に減ったりもしていない――体に不調はないし霊装にも問題はなさそうだ。
……もっとも、クロエラの身体そのもについてはある意味では『異常の塊』としか言えないのではあるが……。
「気のせいかな?」
これが自分の姉妹だったら何かしらの方法で違和感の正体を突き止めることができるのかもしれないが、これ以上時間をかけても自分一人では突き止められそうにもない。
もしかしたら謎の記憶の欠落に戸惑っているため、なんでもないことに対しても過敏になっているのかもしれない、とクロエラは一人納得する。せざるを得ない。
「それにしても……アルストロメリアはどこに行ったんだろう? 一人で先に進んでるだけならいいけど……」
薄情だな、とはチラリと思うものの責める気にはならない。
『何か』の手によってクロエラはリスポーン待ちにさせられた、それは間違いない――そしてその『何か』はアルストロメリアではない、それも何となくわかっている。
であれば、クロエラに続いてアルストロメリアもリスポーン待ちになった可能性はあるが、周囲にリスポーン待ちを示すものは出ていないし、この場にはいないのは確実だろう。
果たして『何か』から逃げて『白い洞窟』に戻ったのか、それとも『出口』へと向かったのか……判断する術がない。
「仕方ないか、一人で進もう」
どちらにしてもいずれ『敵』になる相手だったのだ。
心配する、というのも変な話なのかもしれないと思いなおし、クロエラは一人『出口』を目指す。
《エア・ストライド》で空中を走るバイク――
複雑に組まれたバイクのパーツの隙間から、
《……》
ほんのわずか、『黒い泥』が垂れ落ちていった……。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「! くろと繋がったみゃ!」
『黄の砂漠』を突き進んでいた時、ウリエラがそう言う。
『くろ、今どこみゃ!? 大丈夫みゃ!?』
『う、うん。ボクは大丈夫』
随分と長いこと互いに連絡を取れていなかったので、内心は不安で仕方なかっただろう。
ウリエラとサリエラがみゃーにゃーと姦しく矢継ぎ早にクロエラへと質問を投げかける。
『えっと、ボクは今「白い洞窟」を抜けたところだよ』
二人を落ち着かせつつ、クロエラも全員に向けて自分の状況を説明する。
……リスポーンしたことも、その原因が何だったかも思い出せないことも包み隠さずに。
『にゃー……リスポーンの原因がわからないってのは、ちょっと気持ちわるにゃ……』
『みゃー……記憶が飛んでるって感じかみゃ? そういう効果の魔法とかギフト……? うーみゅ……』
クロエラの状況を聞いたウリエラたちだが、やはり何が起きているのかはさっぱりわからないようだ。
『クロエラ様、現在地について詳しくお願いいたします』
『あ、うん。そうだね、ヴィヴィアン。
えっと、「白い洞窟」から抜けたんだけど――』
一人彷徨っていたクロエラだったが、ようやく『白い洞窟』を抜けられたらしい。
そして、次のフィールドにやってきたのだが……。
『なんか、夜空の……廃墟? みたいな感じだね』
『!? それ、もしかしてジュリエッタたちが最初にいた「黒い工場」じゃない?」
『……そうかもしれない』
夜空が見え、鉄骨が見えている廃墟……となると『黒い工場』の可能性が高い。
『みゅみゅ!? だとすると……』
『白』→『黒』→『赤』→『黄』という順番になっているのだろうか、と全員が考える。
もちろん、実際にその順で移動しているのだから可能性は高いだろうが……。
『うにゃー、もしあたちたちと同じルートを辿れるなら、「黒」と「赤」は自分の影の反対方向に向けて進んでいけばいいにゃー』
『わかった。確かにボクの影が変な風に伸びてるから……やっぱりジュリエッタたちがいた場所っぽいね』
フィールドを2つ挟んではいるが、クロエラが全力で飛ばせばそう長い時間はかからないだろう。
念のためラビの方へも連絡――今ちょうどラビは『桃源郷』の出口を発見し移動しているところだったそうだ――し、『黄の砂漠』でクロエラを待つ旨を報告する。
ミトラ、ケイオス・ロア、そしてフランシーヌという新たな(自分たち以外の)戦力と一緒にいる現状、ラビは『私のことはしばらくは心配いらない』と言っている。
ならば、後々のことを考えて合流できるユニットは合流した方が良いだろうと方針を転換したのだ。
『くろ、とにかく急いで「黒」と「赤」を突破するみゃ』
『あたちたちはこの「黄」で待ってるにゃー』
『あ、クロエラ。もしかしたら途中でオルゴールとBPに遭遇するかもしれないから、それだけ気を付けて』
『戦わずに逃げることを推奨いたしますわ――まぁクロエラ様なら問題ないと存じますが』
互いの状況、そしてラビを含めての情報共有はなされた。
仲間と合流できる――それは、ずっと一人きりで進んでいたクロエラの勇気を奮い起こすものだった。
『了解。急いで皆に追いつくよ!
あ、それとボクからも一つ……アルストロメリアって人魚の姿をしたユニットがいるんだけど、その子がもしかしたらボクより先行しているかもしれないから気を付けて』
『白い洞窟』の短い期間だったとは言え、それでもアルストロメリア自体にさほどの『脅威』はないだろうとクロエラは判断していた。
特殊能力が厄介なタイプなのではないかと思われるが、少なくともヴィヴィアンたち6人がいる状況ならば問題ないだろうとも。
……もっとも、同じ『黒い工場』に来ていたとして、リスポーン待ちの時間を考慮してもクロエラよりも早くに抜けられるとは到底思えないが。
『……マスターの仰っていた能力不明のユニット――要警戒対象』
『人魚姫ですか!』
なぜかガブリエラは嬉しそうだった。
『それじゃ、移動するね。次のフィールドに着くか、それとも何かあったらまた連絡するね』
と、クロエラとの遠隔通話は無事に終了した。
「パートナー・ウリエラ、サリエラ。一度戻りますか?」
クロエラが来るまでどのくらいかかるかはわからない。
それに『黄の砂漠』に彼女たちがやってきてからかなりの時間が経過しているにも関わらず抜け出せていない、ということから相当な広さであることは明らかだ。
『黄の砂漠』の特徴は、ランドマークの見えない広大な砂漠が延々と続いていることだ。風も強くはないが吹いているため、仮に砂地を歩いたとしてもその足跡はすぐに消されてしまう。
クロエラがやってこれたとして、こちらから迎えに行くべきかとルナホークは提案している。
「うみゃー……ちょっと心配みゃけど、わたちたちはこのまま『出口』の方まで進んだ方がいいみゃ」
「そうだにゃ。ルナにゃんの偵察ドローンとヴィヴィにゃんの召喚獣をガイドにして、くろには自力で走ってもらった方がいいと思うにゃ」
「了解しました。当機らが来た付近にちょうど一機残してあるので、そのまま待機させます」
「わたくしも《グリフォン》を一体その付近に飛ばしておきましょう」
クロエラと合流してから『出口』へと向かうにはロスが多すぎる。
ラビの安全は当面確保されたとはいえのんびりしているほどの余裕はない。
なので、クロエラには自力で追いついてもらい、ヴィヴィアンたちは『出口』の前で待つ――それが最も早い方法だろうとの判断だ。
「ここ、『赤』とか違ってひたすら進む以外に『出口』にたどり着く方法がない……」
ジュリエッタがそう呟く。
『黄の砂漠』は、『赤い廃墟』等のように影の方向を見て進めば出口にたどり着けるというわけではないのだ。
とにかく広大な砂漠の中で出口を自力で探す以外の方法がない……少なくともウリエラとサリエラもそう考えた。
幸い、ヴィヴィアンとルナホークのおかげで広範囲の捜索が可能なのだ。問題となるのは『移動時間』だけであるとは言える――襲い掛かってくるモンスターは然程の強さではないので問題ではないと考えている。
移動時間の問題ならば、最速のクロエラならばモンスターの足止めを回避しながらでもそれほどの時間はかからないはずだ。
着々と合流は進んでいる――しかし、最も合流したいラビにいつ会えるかは全く見通しが立っていない。
そのこと自体に不安を覚えないでもないが、待っていても絶対に合流できないことだけは確実だ。
不安を押し殺し、ヴィヴィアンたちは『黄の砂漠』を進んでゆくしかない……。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「よし、影の方向を見て……っと」
仲間との合流の可能性が見えてきてクロエラも大分気が楽になってきた。
もちろん、合流を果たしたわけではないので油断こそしていないが……。
「あっちかな?」
長く伸びている影の『元』へと向かう――光源を探していけば『黒』『赤』は抜けられる、と聞けたのも大きい。
もしその情報がなければきっと途方に暮れていただろう。
『白い洞窟』も同じようなものだったが、あちらに比べて360度視界が開けてしまっているとどこに向かえばいいのかかなり迷うことになっていたのは想像に難くない。
方向を確認し、再び《エア・ストライド》で鉄屑の山を乗り越えて出口へと向かう。
「……モンスターはいないな……」
警戒しながら進んでいるが、特に襲われる気配はない。
障害もなく先に進めるのはありがたいことではあるが、クロエラは少しそこに不気味さを感じていた。
――……ラスボス戦だっていうのに、今のところ敵ユニット以外に脅威はないよね……?
――うーん、ここって実質『ラストダンジョン』なのに、こんなに温いものなのかな……。
彼女はガイア本体が『惑星規模』のモンスターだということは知らない――ラビも余裕もないし内部に入り込んだ以上意味がないだろうとガイア本体についての説明は省いていた――が、それを抜きにしても確かに『温い』難易度であるという認識に間違いはない。
……一人で『氷の雪原』に放り込まれたラビは大量のモンスターに襲われたのだが、クロエラ自身やヴィヴィアンたちも敵ユニットと遭遇はしているが脅威となるモンスターとは遭遇していない。『黄の砂漠』で初めて遭遇したくらいだ。
幾つあるのかもわからない複数のフィールドを渡っていくこと自体難易度が低いというわけではないが、ユニットの力をもってすればそこまでの難易度ではないと思える。
謎のリスポーンをしたことを考慮しても、今のところ『三界の覇王』戦の方が厳しいと思えている。
「……ウリュたちが考えても答えが出ないこと、ボクが考えても仕方ないか」
クロエラに考える力がないわけではないが、考えるための手がかりが少なすぎる。
下手に考えてドツボに嵌るよりは、とにかくがむしゃらに前に進んだ方がいいだろう――解ける謎ならばそのうち解くための手がかりも増えるだろう、そうクロエラは割り切る。
「あ、出口が見えてきた! ……うーん、敵はやっぱり出てこないな……」
最初に『黒い工場』にいたジュリエッタたちもモンスターとは戦っていなかったのだ、同じ場所に来たクロエラも遭遇しないのは道理ではあるのだがどうも釈然としない。
ともあれ、『黄の砂漠』で皆が待ってくれているのだ。出来る限り急いだ方がいいだろう。
「迷っても仕方ないか……よし、行こう!」
自分で自分を叱咤し、クロエラは『出口』の光へと覚悟を決めて飛び込んでいく――
その瞬間、バイクの隙間からクロエラに気付かれないようにぼとぼとと『黒い泥』が零れ落ちていったことに、クロエラは気付いていなかった……。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
『黒い工場』を脱出したクロエラであったが――
「ここは……ヴィヴィアンたちがいたっていう『赤い廃墟』であってるかな?」
やってきたのは、やはり『赤い廃墟』だった。
足元の影を見ると、『黒い工場』の時と同じく不自然な方向に長く伸びていることからも間違いないだろう。
「すんなりいってるのはいいこと、だと思うけど……」
やはりどこか釈然としないものを感じつつも、ウリエラたちのアドバイス通りに同じように出口を目指そうと走りだす。
『黒い工場』とは違い、瓦礫を避けながらでも地上を走るスペースはある。
空中からの方が視野は広くなるが、やはり地上を走るのが一番早い。
皆を待たせていることもある、と思いクロエラは今度は地上を全速力で走って出口へと向かおうとしていた。
――不気味だけど、順調なのはいいこと……だよね? きっと。
――あ、そうだ。皆に連絡しないと。
走り出して少ししてから、クロエラは遠隔通話をするために少しスピードを緩める。
遠隔通話は頭の中で会話が出来るものの、『会話』と『動作』を同時に行うことが難しいのには変わりはない――実際に車を運転したことはないが、要するに『ながら運転』とほぼ同じことなのだ。
止まって会話するのが一番いいのだろうが、『ゲーム』内であれば全速力でなければ大丈夫だろうとクロエラはスピードを緩めるのみに留め仲間へと連絡をする。
『皆、「赤い廃墟」に到着したよ! 今次の出口へと向かってるからもうすぐで――』
そこまで言いかけたクロエラだったが、
「!?」
突如周囲の瓦礫の影から『何か』が飛び出してきたの目にし、慌てて急ブレーキをかける。
『クロエラ様?』
ヴィヴィアンたちの問いかけに応えようとするが、目の前で起きていることに気をとられ返事が遅れた。
クロエラの前にモンスターが現れたのだ。
口からだらだらとよだれを垂らした、骨と皮だけになり血走った目をした『犬』が三匹――
ただし、大きさは全くただの『犬』ではない。
大型モンスター、いや超大型モンスターと言っても差し支えのない、一軒家を軽く超えるほどの大きさの犬なのだ。
それらがクロエラの姿をその目に捉えている。
『……っ! も、モンスターが現れた!』
我に返ったクロエラが遠隔通話で伝えると同時に、三匹の魔犬が一斉にクロエラへと飛び掛かってきた。
即アクセルを全開し魔犬たちの飛び掛かりを回避。瓦礫の山の隙間を縫って逃げつつ出口を目指そうとする。
『敵みゃ!?』
『わ、私たちの時には何もいなかったのに……!?』
クロエラの言葉を聞いたヴィヴィアンたちも驚いている。
当然だろう、『赤い廃墟』にそれなりの時間滞在していたが、ヴィヴィアンたちはモンスターに襲われていないのだから。
もしモンスターがいたならば、BPに動きを止められている間に襲われないわけがないのだ。
「くっ……ドライブ《エア・ストライド》!」
魔犬のスピードはクロエラが振り切れないほどではない。
しかし地上で追いかけっこをしているような余裕もない。
再度 《エア・ストライド》で空を飛び、魔犬から離れて出口を目指そうとするが……。
「えっ!?」
飛び上がり視野が広がったことでクロエラは気付いた。
魔犬は三匹だけではない。
少し離れた瓦礫の影から、次々と新しい魔犬が姿を現し始めている。
それだけでなく、異様に大きな嘴を持った『烏』までもが現れ空を飛びクロエラへと襲い掛かろうとしていたのだ。
「な……なんで!?」
これだけの敵がいてヴィヴィアンたちが気付いていないわけがない。
仮に人数が多いから、とモンスターが警戒して姿を隠していたとしても――圧倒的に敵の数の方が多い。警戒して姿を隠す理由はないように思える。事実、『黄の砂漠』では6人相手にモンスターは次々と襲い掛かってきた。
訳が分からないが、現実に襲われているのだ。
『そんなわけがない』『これは幻覚だ』と切り捨てる気には到底なれない。
――希望的観測を元に行動をしたら取り返しのつかないことになる、今までの経験からクロエラは『現実逃避』をすべきではないとしっかりと認識していた。
『…………ごめん、皆。とにかくモンスターがいっぱい出てきてすぐに向かえそうにない。ボクは時間がかかりそうだから、先に進んで!』
少しだけ考えた後、クロエラはそれだけを告げて遠隔通話を打ち切る。
モンスターを振り切ることは不可能ではない。
なにせ『速度特化』だ。逃げに徹すればリスポーンすることなく逃げ切ることは可能だろう――ただし時間はかかる。
合流できるかどうかは重要ではあるが、だからと言って『クロエラとの合流のために時間を使う』というのは余り『旨味』はないと考えた。
さくさくと合流できるなら多少の時間のロスは許容できるだろうが、そうでないなら優先すべきではない。
それならば先へと進んでラビとの合流を目指すべき――クロエラはそう判断した。
――大丈夫、数は多いし怖いけど……ボクなら切り抜けられる!
それに、どれだけ恐ろしいモンスターが群れを成して襲って来ようとも、自分ならば絶対に切り抜けられるという『自信』があった。
アストラエアの世界での経験は、確かにクロエラを大きく成長させたのである。
迫る無数の巨大モンスターの攻撃を回避しながら、クロエラは『赤い廃墟』からの脱出を狙うのであった……。