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3-14. キング・アーサー討伐戦 7. 力を合わせる

2018/12/30 旧第2章分割に合わせ通番を修正

『キ……キン、グ……』


 予期せぬ方向から浴びせられた攻撃を回避することも防御することも出来ずに、キング・アーサーが光の中へと消えていく。

 これで流石に決まったか!?


『アァァァァァァァァァァァァァァァッ!!』


 だが、光の中から雄たけびを上げてキング・アーサーがアリスへと向かって飛び出す。

 これでまだ生きてるのか……けど、流石にノーダメージではないようで、あちこちがボロボロになっている。

 その聖剣の輝きは未だ失われていない!


「くっ!」


 飛び出してきたキング・アーサーがアリスを真っ二つにせんと上段から聖剣を振り下ろす。

 今度は避ける間もなくアリスは受けざるを得ない。

 再度剣と剣で押し合う形になるが、前よりも体勢が良くない。振り下ろされる剣を受け止め、更に押しつぶそう――いや押し()ろうとするキング・アーサーの方が体勢的には有利だ。

 体をいなそうと力を抜いた瞬間、アリスが真っ二つにされてしまいかねない。蹴りを入れようにも、両足で全力で踏ん張らなければやはり押し切られてしまう。


「ぬぐ、ぐ……!」


 アリスの《エクスカリバー》の直撃を受けたものの、いまだにキング・アーサーは健在だ。その力は衰えることはなく、徐々にアリスが押されて行っている。

 それに加えて――更に恐ろしいことが起ころうとしていた。

 アリスを押すキング・アーサーの聖剣が、そのままの体勢で眩い輝きを放ち始める。

 あの光は……嘘でしょ!? 《王剣無双・一刀斬破》!?


「こ、こいつ……連打できるのかよっ!?」


 これは想定外だったか、アリスも驚く。

 再び魔力の光を放ち始めるキング・アーサーの聖剣と比べて、アリスの《エクスカリバー》は輝きを失っている。こちらの《エクスカリバー》はどうも連打は出来ないようだ――二発目が打てないということはなく、少しずつだが光は戻っているのだが、どう考えてもキング・アーサーの二発目には間に合わない。

 いくら何でもあの至近距離から聖剣の光を浴びたら、アリスでも一撃で戦闘不能になることは確実だ。


「……姫様ッ!!」


 そこでついにヴィヴィアンが堪らず動いた。

 私を強く抱きしめる。

 ……やることはわかった。逆らわず、ヴィヴィアンに抱きしめられるままにされ、衝撃に備える。

 ――《王剣無双・一刀斬破》が今にも放たれようとした瞬間、《ペガサス》でキング・アーサーへと体当たりをしたのだ!


「うぐっ!」

”くぅぅっ!”


 ぶつかった衝撃で《ペガサス》から投げ出され、ヴィヴィアン共々地面に投げ出される。

 一方でキング・アーサーもこの衝撃には耐えられず、横殴りに吹き飛ばされこちらも地面に倒れる。

 間一髪で至近距離からの直撃は免れたものの、まだ安心は出来ない。


”ヴィヴィアン、《ペガサス》をリコレクト! 《イージスの楯》!”

「はい!」


 安心する余裕などない。私はすぐさまヴィヴィアンに指示を飛ばす。

 私の言葉にヴィヴィアンが頷き行動すると共に、アリスも私の言葉を聞いてどう動くか判断したのだろう。私たちのすぐそばへと寄る。


『《王剣無双・一刀斬破》ァァァァァァァァァァァァッ!!』


 地面に倒れたもののすぐに立ち上がろうとし、だが攻撃の手を緩めることなく――片膝をついた姿勢からキング・アーサーは《王剣無双・一刀斬破》を放つ!

 しかし既にヴィヴィアンは《イージスの楯》を召喚している。


「あ、あぶねー!」


 アリスも《イージスの楯》の影に隠れ、何とかやり過ごすことは出来た。

 まさかあれだけの威力の攻撃を連発できるとは……何秒かは『溜め』というか『間』が必要ではあるようだが、アリスの《エクスカリバー》に比べたら圧倒的に早い。

 これは《エクスカリバー》の撃ち合いなんてやったら、絶対に負けるな。

 でも、だからこそ――


「ヴィヴィアン、助かったぞ」

「……いえ……」


 光の奔流が止む。

 すぐにキング・アーサーは動かない――こちらの防御が鉄壁であることはわかるのだろう。

 ただ、ほんの数秒だけの時間しかない。猶予はあまりない。


「やっぱりヴィヴィアンはすごいな!」

「……わたくしは……」

「オレなんか、偉そうなことを言っておいてこの体たらくだ。

 ――頼む、ヴィヴィアン。オレと一緒に戦ってくれ!」


 アリスはそう言うが、彼女だって大したものだ。今までどんな相手と戦ってきたかを私はよく知っている。

 そう考えると、キング・アーサーが割と規格外な強さなのだと思う。一撃でこちらを倒せる威力、かつ広範囲を薙ぎ払う《王剣無双・一刀斬破》を連射出来る上、本人の耐久性能も高いと来ている。まるで小型のテュランスネイル……あるいは氷晶竜みたいな相手だ。


「……かしこまりました、姫様。微力ながら、尽くさせていただきます」


 ヴィヴィアンが頷いた。その顔はわずかに微笑んでおり、嬉しそうである。

 ……なんだかんだ言って、彼女もこのままではいけないとわかっているのだろう。そして、自分の力を『求められている』という事実に嬉しさを隠せないのだ。


”よし、話はまとまったね? そろそろキング・アーサーが動く……行こう!”

「おう!」

「はい!」


 さぁ、ここからが私たちの本当の全力だ。

 こんなところで止まってなんていられない――あのキング・アーサーを乗り越え、更なる先へと向かおう。


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