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3-11. キング・アーサー討伐戦 4. 極光の聖剣

2018/12/30 旧第2章分割に合わせ通番を修正

「……皆様、ご無事ですか……?」


 光に飲まれ、視界が効かない。

 余りに強い光を浴びたので目の前が未だに真っ白だ。


”……うん、大丈夫……”

「ああ、こちらもだ」


 キング・アーサーの《王剣無双・一刀斬破(エクスカリバー)》の一撃は強烈極まりなかった。

 でも、ヴィヴィアンの《イージスの楯》はそれ以上にとんでもない。周辺の地面は全部吹き飛ばされたものの、私たちには傷一つついていない。

 もしあれの直撃を受けていたとしたら……一撃で私たちは全滅していただろう。


「あいつは!?」


 呆けている場合ではない。次の一撃が来るかもしれない。

 盾から顔を出してキング・アーサーの方を確認してみると、剣を振るった姿勢のままこちらへと視線を向けている。

 時間はそれほど立っていない。モンスターも未だ健在だ。


”……どうやら、完全にこっちをロックオンしているみたいだね”


 今までと違い、モンスターには目もくれずこちらへと視線を向けている。

 やはり、《エクスカリバー》に反応している……のだろうか?

 だとすれば、ここで《エクスカリバー》をリコレクトしてしまえば狙いがまたモンスターに戻ってくれるかも?


”ヴィヴィアン、《エクスカリバー》をリコレクトしよう”

「は、はい!」


 確証はないが賭けてみる価値はある。

 《王剣無双・一刀斬破》は《イージスの楯》で防げることはわかったとはいえ、連発されては防御するだけで何もできない。それに、《イージスの楯》は一面しか守ることが出来ない。他の方向からモンスターが襲ってきたりしては防ぎきれないし、何より手違いで直撃をいずれ受けるかもしれない――例えば地面が完全に崩れて態勢が崩れたら、とか。

 とりあえずキング・アーサーは《エクスカリバー》に何やら反応する、ということがわかったので十分だ。これ以上危険を冒す必要はない。

 だが、


「いや、待て。このまま戦わせてくれ」

”アリス?”


 アリスはそのまま戦うことを主張する。

 ただ戦いたいだけ……というわけではないのか。


「多分……このままあいつを放置していても意味はない。ここで倒すべきだ」

”うーん……でも……”

「《エクスカリバー》に反応するというのなら都合がいい。もしここで《エクスカリバー》を消したら、あいつはまたモンスターに向かって行ってしまうだろう。

 ……そうすれば確かにオレたちは安全かもしれないが、永遠にクエストをクリアできなくなってしまう」


 む……確かに。

 キング・アーサーがモンスターに向かっている最中に攻撃して倒す、ということが出来ればいいのかもしれないが、聖剣の一撃でモンスターの群れを薙ぎ払ってしまって攻撃の隙が無い。それに、こちらに狙いをつけない分、下手に動けば巻き込まれる可能性があるのには変わりない。


”……わかった。戦闘を続行しよう。ヴィヴィアン、危なくなったら《エクスカリバー》をリコレクトして。後、《イージスの楯》は出しっぱなしで。魔力は回復するから、《ペガサス》も呼び出しておいて。いざという時は《ペガサス》でアリスを連れて逃げる”

「かしこまりました」

「おう、それでいいぜ!」


 作戦は決まった。

 アリスは《エクスカリバー》を手に《イージスの楯》の影から飛び出し、キング・アーサーと対峙する。

 キング・アーサーはやはりというか、アリスの方へと視線を向ける。

 ……うーむ、これは確定か。キング・アーサーは《エクスカリバー》に反応しているっぽい。

 今後も《エクスカリバー》を使うのであれば、結局キング・アーサーは倒さないとダメみたいだ。

 ちょっと危険ではあるが、アリスの言う通りここで戦っておくべきかな。


『キング・アーサァァァァァァァァッ!!』

「うるせぇ! オレはアリスだ!!」


 対抗して叫ぶアリス。対抗せんでいい……。

 もはや互いにモンスターは視界に入ってもいない。最大の攻撃でお互いを迎え撃つだけだ。

 キング・アーサーが聖剣を構える――横に剣を薙ぎ払い、周囲を一掃する《王剣無双・一刀斬破(エクスカリバー)》の構えだ。

 対してアリスは両手で持った《エクスカリバー》を担ぐように掲げる。こちらは、縦に剣を切り下す構えである。


「……姫様……」


 《イージスの楯》に隠れつつ、その様子をハラハラしながらヴィヴィアンが見つめる。

 私も同じだ。どちらも同じ《エクスカリバー》なのだから威力は同等だとは思う。

 ……そうなると、地形を変えるほどの威力の攻撃同士がぶつかり合うことになる……見守っているだけの私たちも、油断しているとまとめて吹き飛ばされかねない。


「行くぞ――!!」


 気合と共に振りかざした《エクスカリバー》が更に強い光を放つ。

 同時に、キング・アーサーの聖剣も同じく輝きを増す。


「《極光聖剣(エクス)――」

『《王剣無双(エクス)――』


 二振りの《エクスカリバー》が周囲を覆いつくす虹色の輝きを放ち――


一刀両断(カリバー)》!!」

一刀斬破(カリバー)》!!』


 アリスの振り下ろし、キング・アーサーの横薙ぎの軌道に合わせ、魔力の塊――あらゆるものを破壊する聖剣の光が解き放たれる!


”……ヤバい、ヴィヴィアン!”


 攻撃の余波がこちらまで来る!

 しっかりと《イージスの楯》を構えてそれを受けようとするが……衝撃までは抑えられない。吹き荒れる魔力の爆風がじりじりとヴィヴィアンを押す。


「うっ、くっ……!」


 ヴィヴィアン自身の能力を上げることは出来ない。彼女自身の力でなんとか踏ん張ってもらうしかない。

 こちらはこちらで自分の身を守るだけで精一杯だが、アリスの方はというと……。


「ぐぅっ……クソったれ……!?」


 空中で激突した《エクスカリバー》同士は拮抗しているように見えたのは、最初のわずかな時間だけであった。

 明らかに今はアリスが押されている。キング・アーサーの聖剣から放たれる力の方がアリスの《エクスカリバー》を上回っているのだ。

 周囲に爆風と爆炎をばらまきながらぶつかり合う二つの光が――やがて、一つになる。

 ――押し負けたのはアリスの方であった。


『キング・アーサァァァァァァァァッ!!』


 勝利の雄たけび? をキング・アーサーが上げると共に、ダムの決壊の如く、押しとどめられていた光が一斉にアリスの方へと向かう!


”アリス!!”

「姫様!」


 いくらアリスと言えども、あれをまともに受けては無事では済まない。

 私たちは悲鳴を上げる――が、こちらも《イージスの楯》で身を守るで精一杯で動くことが出来ない。

 まさか……そんな……。


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