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鏡の中の異世界  作者: HGCom
鏡の中の異世界
97/103

閑話 『葵の視点⑤』

2017/12/09 07:00

 今日は、これからカレシとデート。ふふ、こんなの、何年ぶりかしら?

 休みの日の朝から、カレシとのデートのために服を選んで、髪を整えて、ウキウキしながら素晴らしい一日を想像するの。休みの朝に、こんなに楽しみに外出の準備するなんて、ここ数か月全くなかったから、尚更楽しみだわ!


 この10日間くらいで、ほんと色々とあったわね。

 異世界で隣町への旅行(?)から始まって、マリーが妻になるって決まったと思ったら、旅から帰ってきた翌日にはレベッカまで妻になるって決まっちゃって……。刹那君もモテモテね。夫となる人がモテるのは、悪い気分じゃないけど、ライバルが増えるのは全然嬉しくないわ。個人的にも、会社を退職する事になったし、マンションも売ることになったわ。両親の生命保険もあって、貯えも十分あったから一括で買ったマンションだったけど、一人暮らしの思い出しかないから、あまり思い入れもないのよね。それで、刹那君と朱音ちゃんのご両親の説得と、私が刹那君のご実家で一緒に生活する許可を昨日もらったのよ。


「結婚!」


 もう、憧れという歳でもないんだけど、やっぱり初めての事なんだから、楽しみよね!親戚付き合いとか大変だって聞くけど、妻が4人な時点で、まず夫婦生活が大変そうだよね。それに比べたら親戚付き合いなんて、多少大変でも何とかなりそう。こんな気持ちになってる日本人なんて、そうはいないはずよね。


「それにしても……」


 昨日、刹那君が朱音ちゃんのご両親に言ってくれた事。嬉しかったな……。「個人的には結婚写真だけでも撮影したいと思います」ってやつね。お父さんとお母さんには悪いけど、籍も一緒になれないだろうって思って結婚式も諦めてたんだ。でも、刹那君は、写真だけでもウェディングドレスを着てもらいたいって思ってくれてたのね。気にかけてくれて嬉しかったわ。朱音ちゃんは、おそらく日本でも結婚式をするんだと思うけどね。私の場合は、年賀状のやり取り程度の付き合いしかない親戚しかいないし、友達とも休みが合わないから最近連絡してないのよ。重婚騒動になっても困るから、きっぱり諦めてたけど、記念に残る物ができるのは嬉しいわ。


「さて、そろそろお昼前だし、待ち合わせに遅れないように行かなきゃ!」


 そうやって、ウキウキしながら外出したわ。


 ----------


 改めてマリーとレベッカの事を考えてみるけど、……まぁ、マリーはわかりやすいし、問題ないかな?

 若いというか、まだまだ未熟な感じだし、見ていて微笑ましいし、朱音ちゃんと一緒で若い2人にはアドバイスしてあげないとかな?

 マリーは、旅に行く時点で、刹那君への想いを隠していたつもりなんだろうけど、あれじゃ、バレバレだったわ。先に彼女になった私達に、遠慮していたのかな?


 隣の街へ旅に出る前に、日本で暮らすか異世界で暮らすかって、刹那君と朱音ちゃんに伝えたけど、十中八九は刹那君が異世界に行くと思ってたわ。朱音ちゃんは刹那君が選んだ方に行くと思ってたしね。要は、私と結婚を前提とした付き合いをして欲しかったのと、実際問題として退職の事を意識して欲しかったから伝えたのよ。

 それで、異世界で暮らすとなると、複数人妻を(めと)るのは問題ないって聞いてたし、あの雰囲気だとマリーも絶対妻になるって思ったわ。だったら、ギスギスした関係にならないように、早めに2人をくっつけてあげるのは、将来の関係を考えても良いと思ったわ。若さも、容姿も、マリーには勝てないから、恩義でも感じてくれたら良いなっていう打算もあったしね。


 それで、色々と画策したわ!

 同じように、容姿で勝てないって思ってたらしい朱音ちゃんも、マリーの人間性は好ましいって言ってたから、私と朱音ちゃんでグルになって、マリーと刹那君をくっつけようって話を、旅の移動で休憩してる時に話し合ったの。

 そしたら、宿の部屋割りでいきなりチャンスが来たから、ちょっと強引に2人を同じ部屋にしたの。護衛にマリーの事も、彼女だと紹介してたのも良かったわよね。あれもあったから、部屋割りも納得しやすかっただろうし。その後も、同じ部屋で体を拭いたり、翌日の予定についての話し合いが終わると、早めに二人きりにしてみたの。でも、刹那君は手を出さずに、さっさと寝ちゃったみたいなの。


 朱音ちゃんが言ってたとおり、刹那君は自分に自信無さすぎね。そりゃ、本当の彼女が隣の部屋に寝ているんだから、手を出さない事は褒められるべきところだけど、同じ部屋なんだから話くらいしても良いだろうに、それくらいの余裕とかないのかな?マリーは、意識してたのか夜中まで起きてたみたいなのにね。

 それで、翌日は用事が早く終わったから、ウィンドウショッピングをして過ごしたの。ふふ、皆にだけど、刹那君からスカーフの贈り物ももらって、そこは単純に嬉しかったわ!その後、刹那君が首フェチ宣言して、マリーの首を見てたの。マリーの首は細くて長くて白くて若くてキレイで、女3人で一番だものね。やったく妬けちゃうわ!まさに首ったけって感じかしら?あら?

 えっと、それで、はやし立てるようにしてマリーにチョーカーを買うようにしむけたんだけど、マリーもまんざらでもない表情で、チョーカーを身に着けてたのよね。


 もう、マリーも全然気持ち隠せていないのに、これでも刹那君は気づいてないみたいだったわ。

 これじゃ、朱音ちゃんが不安になるのも仕方ないわね。彼女でない女性が、自分に気があるって思ったら、彼女持ちなら距離を置いたりするだろうに、刹那君の場合は、自分に気があるとは思わないから、距離を置かないのよね。これは、見張っておかないと、この先も妻が増えていく事になると、ちょっと困るわよね。


 それで、夜にマリーを呼び出して、朱音ちゃんと一緒に刹那君の口説き方講座を開いたの。結果は、見事付き合う事になったみたいで、報告に来ていたわ。付き合う事になってからのマリーは、ホントに刹那君の事が好きって言うようになって、見ていてこっちが胸やけしそうだったわ。まぁ、気持ちはわかるんだけどね。


 ----------


 それで、旅も終わって刹那君と初めて肉体関係をもったんだけど、刹那君って精力絶倫ね!すごかったわ!テクニックというか、技術的なところは、特にものすごくウマイわけじゃないけど、体力と速度がすごくて、久々だったしすごく満足したというか、しすぎね。これじゃ、彼女になって毎日でも求められたら、ちょっと()()のが嫌になっちゃうくらいよね。これなら、妻が複数いても、夜の相手はちょうどイイくらいかしら?


 翌日に、異世界の自警団に参加することになって、初めてレベッカを見たわ!

 第一印象は、男装の麗人。それもとびきりの美人だったわ!こんな人が、ヅカとかにいたら、私も見に行っちゃうかも。

 セツナ君にプロポーズさせちゃった事も、それをレベッカが受けちゃった事も予想外だったわ。でも、レベッカ自身は、話してみた感じサバサバしてるし、ネバつくような嫉妬とかも無さそうだから、上手くやっていけそうかな?

 なんというか、あれだけの美女なのに、自分に自信がないみたいなの。お国柄、行き遅れだという話で人事じゃないんだけど、あれだけ美人なら、あそこまで気にしないわよね。いや、江戸時代とかなら私の年齢でも同じような感じになるのかな?


 とにかく、美人で強くて社交性もあって、まさに非の打ちどころがない女性なのよ。だから、年齢の事で少しでもコンプレックスを感じてくれていたら、私としては助かるわね。だって、スペック的に全然勝てないでしょ?この上、本人が自信満々で、見下してくるような性格の人だと、こっちも不満がたまっていきそうだし、良い関係なんて築けそうにないわ!コンプレックスを感じているせいなのか、一歩引いた感じだから、レベッカとも上手くやっていけそうなのよね。こんな事、長く付き合えば解消される事かもしれないけど、こっちとしても不安なのよ。友達にもなれそうだけど、本質はライバルなんだからね。


 ----------


 ふぅ。今日は日曜だから、昼前なのに人通りも多いし、9月中旬だからまだまだ熱いわね。私は今日休みだけど、会社じゃ皆働いているんだろうな。


 レベッカが妻になるって話の翌日には、5連休の後の出勤日だったわ。

 いつもどおりの仕事が始まったんだけど、朝から上長に退職願を渡して、引き継ぎが終わり次第有給休暇を消化して、今月末で退職するって伝えたわ。月末まで2週間以上あるから、なんとか退職できるのよね。有給を全部消化してから辞めるなら、今月末まで働いてから来月退職するべきでしょうけど、長く勤めていたい仕事でもないしね。石丸さんが、最後にもう一度伝えたいと言って、好きだと告白してきたけど、まったく心に響かなかったわ。もう、私の心は刹那君が占めるところが大きいからね。スッパリ断って、さよならできたわ。

 休憩時間には、不動産会社に連絡入れて、マンションの査定をお願いしたの。一応5社に見積もりお願いしますって言っておいたわ。返事が長くなるところは論外だけど、ある程度満足できそうなら、さっさと売却するってお願いしたの。そのおかげか、概算での見積もりは2日以内に届けるって連絡くれたところが3社あったから、その内のどこかにお願いしようかな。


 翌日からは、引き継ぎ業務を主にやるようになったわ。合鍵を貰ったのは嬉しいけど、こう仕事の毎日だと、中々会いにも行けないわね。異世界に行ってるかもしれないから、直接押しかけるというのも、失敗するかもしれないしね。

 さらに翌日の仕事帰りに、朱音ちゃんから連絡があったの。何でも、マリーとレベッカが日本に転移できたんだって。詳しい話は、刹那君の部屋でするって言うから、かけつけてみたら、2人の下着を買って、服を貸すというのよね。まぁ、これからエアリアルで一緒に生活するんだし、こっちで生活するための下着や服の用意くらいやっても良いかと、財布に入った現金を全て渡しておいて、余ったら靴とかその他の服の分にも使って良いって言っておいたわ。ただ、朱音ちゃんが、2人っきりでデートしようとしているのが悔しかったから、刹那君に私の分の下着も選んで来るように言ったの。一応、皆の分も選ぶようにお願いしたわ。


 それで、さらに翌日には、刹那君と女4人で夕食を一緒することになったの。しかも、日本でね!マリーもレベッカも、文化の違いに驚いていたようだったけど、すごく好意的で、一緒に食べた料理も美味しいって言ってて、満足してもらえてよかったわね。

 んで、刹那君に選んでもらった下着を見せてもらったの。ちょっと、レベッカへの要求が高めだけど、(おおむ)ね刹那君の性癖がわかりそうよね。それで、半分冗談で着せてみる?って聞いてみたら、鼻息荒く刹那君が、「はい!」って首をカクカク頷いてくるの。ふふ、エッチな事考えている刹那君を見ていると、可愛くて、ついイタズラしたくなったゃうのよね。それで、初めての事だったんだろうけど、若干もたついたりしながら、下着をつけたのね。


「で、どうかな?」


 そう言って、刹那君の前でくるっと回って見たの。そしたら。


「あ、葵、その、もう良いかな?我慢できないんだけど!」


 なんて言ってきたの。刹那君から、積極的に言って来て、多少ビックリしたけど、首をウンって縦に振ったの。そしたら、もう下着をつけたまま、色々と責められて……。途中で下着を脱いだけど、その日の刹那君の激しさといったら、スゴかったわ!そして、刹那君の嬉しそうな笑顔も可愛かった!

 ただ、この翌日はすごく仕事がキツかったわ。刹那君の精力も考え物ね。


 ----------


 そして昨日は、刹那君と朱音ちゃんのご両親と会って、結婚の説得と異世界への理解を求めたわ。

 正直なところ、私も経験したから目の前で見て体験すれば、異世界の事は信じられると思ってたけど、結婚の話は難しいと思ったわ。特に、女の子の親としては、納得できないんじゃないかと思ってたの。でも始まってみたら、朱音ちゃんのお父さんが、驚くほど好意的で、スムーズに話を聞く体勢になっていたのよね。初対面で、あんな対応してくるなんて、なかなか一般的じゃないわよね。

 朱音ちゃんが、両親相手にも丁寧な話し言葉で話すのも違和感あったけどね。どうやら、今日は料亭に来る前に、両親に釘をさしてきたみたいなのよね。それも可哀相だけど、ちゃんと話を聞いてくれた事を考えると、私達にとっては悪い事じゃなかったのかな?


 朱音ちゃんのお父さんの健介さんのおかげで、対面も(なご)やかな雰囲気だったし、スムーズにお互いの事を紹介して、食事が始まったわ。私も隣の部屋で食事をしてたんだけど、異世界の事になると、やっぱり信じられないって事で、刹那君が実演するって事になったのね。まだ、食事中だったあたしは、その流れを聞きながら、「え、説明もなしに、(ふすま)をあけるの?」って、ちょっと驚いてたの。

 事前の流れなんかリハーサルとかしていないしね。刹那君が、ゴメンって口だけ動かしているの見て、まぁ、怒ってはいなかったんだけど、いよいよ()()が始まるんだわって思ったの。チラッと隣の部屋を見ると、両家のご両親がそろってこちらの部屋を見ていたけど、私と目があったから、軽く会釈したら、皆さんも軽く会釈を返してくれたわ。


 それから、刹那君の異世界転移の()()が行われて、皆さん信じられないような表情だったわ。きっと、私もこんな感じだったのね。それで、男性・女性の順番で、実際に転移を体験してもらう事になって、私はさっきまで刹那君達がいた部屋に移動して、待つことになったわ。名前だけ名乗って、朱音ちゃんが、「友人でここの店を予約してくれたんです」って紹介されたから、お母様方とは挨拶だけ交わしたわ。「説明は後で刹那さんがする予定ですから」って朱音ちゃんも言ったから、次の女性グループが転移している間も、そのまま静かに待ってたわ。

 そうやって、転移体験が終わったところで、紹介があるのかと思ってたんだけど、軽い紹介だけで、いきなり私とも結婚したいって思ってる事を伝えちゃったの。ご両親が沈黙してたけど、私も「えーー!」って気分だったわ。もう少し段階踏んで話をしていけば良いのに!むしろ、私の心の準備もできてないって思ったの。でも、後は説得していくだけだし、そのまま成り行きにまかせたわ。

 後は、ロッテさん達と話し合ったりもしたけど、何故か上手く話がまとまって、猶予期間が設けられたけど、実質的には結婚の許可もおりたようなものだったわ。私が刹那君の実家で暮らすことも許可でたしね!


 ----------


 そろそろ、刹那君の家に着くわね。

 今日は、2人きりのデートじゃないけど、今度また2人きりでデートできる日が来るのが楽しみね。それはそうと、今日は天気も良いし、思いっきり楽しまないとね!



葵の思惑って感じでした。

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