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鏡の中の異世界  作者: HGCom
鏡の中の異世界
6/103

教会にて

2017/10/01 11:00(6/16)

本日6部分目。

 教会にむけて、外出用の服に着替えたマリーと、連れ立って歩いていく。

 ロッテさん一家が住んでいるルベールの村というのは、山に囲まれた盆地にある長閑(のどか)な農村のようだ。村を流れる川のおかげで農業が盛んで、人口も約2000人ほどいるらしい。

 ロッテさんの家は、割と村の中心部にあるらしく、教会までの距離は1キロくらいみたいだ。


 地球なら太陽の位置から、おそらく8時前くらいだと思うが、既に村のあちこちで働いている人達がいる。飲食店や、道具屋のような商店もあるようで、日本の田舎の商店街のような雰囲気がある。

 ちょうど飲食店と思わしき店を通り過ぎる時に、恰幅(かっぷく)の良い30過ぎに見える女性に声をかけられた。


「おはようマリー!

 あれ?横の子は、村で見かけない子だけど知り合いかい?」


「おはようございます、メアリさん!

 こちらは、タドコロ・セツナ。あのゲンゴロウの子孫らしいんですよ!」


 マリーが俺の紹介をしてくれる。が、源五郎の子孫ってだけで通じるのか?というか、村中で源五郎は有名人なのだろうか?すると、目の前のメアリさんは、目を大きく見開いて驚いた様子だ。


「おやおや、本当かい!?

 昔話で聞いてたけど、本当にそう(・・)なのかい?」


「えぇ。昨日の夜に、私の目の前で鏡から出てきましたから!」


「なるほどねー。

 セツナといったかね?これから、こちらの村に来てくれたりするのかい?」


「はい、田所(たどころ)刹那(せつな)といいます。

 毎日とはいきませんが、これからロッテさんのお家にご厄介(やっかい)になって、村で生活させていただきます」


「こりゃ、ご丁寧に。こちらこそよろしくね。

 私はこの『水の癒し亭』をやってるメアリーヌっていうんだけど、メアリで通っているからそう呼んでおくれ。宿と飲食店を兼務していて、昼は泊まりの客以外にも食事を出して、夜はお酒と食事も出してるよ。酒を飲む機会とかあったら、是非ウチに来ておくれ!」


「はい、機会がありましたら是非伺ってみたいと思います」


 にぎやかな人だったが、豪快で感じの良い女将といった感じだな。

 どうも、『転移の鏡』と『付与魔術師ベルナルド』の話は村中で知られているらしい。農村というのもあって、水車の事で源五郎は大変感謝されていたようだ。

 それに、ベルナルドの息子の代に大きな干ばつがあったらしい。その時、その息子が村のために私財を投げうって、食料を買って、それを配って人死にが出ないようにしたという。その事もあって、ベルナルドの子孫であるロッテさん一家は名士の家系として、村で知らない人はいないみたいだ。


 他にも声をかけられるたびに、源五郎効果を実感しながら、教会へと歩いて行った。マリーが言うには、さっきの『水の癒し亭』や、共同の炊事場とか水汲み場で話が拡散されて、明日・明後日には村中に俺の事が伝わっているはずだという。おそるべき田舎ネットワークの井戸端会議。


 教会は、こじんまりとした建物で、礼拝堂には一度に40~50人ほど入れるくらいの大きさだった。

 十字架でなく輪っかが飾ってありガラスはないが、キリスト教の教会のような感じで、マリーに連れられて適当な長椅子に腰かけてお祈りした。

 特に作法なんてないらしく、そのまま心で念じるようにすれば良いとのことだったので、目をつぶり『力を授けて下さい』と念じながらお祈りした。特に体が光ったり、意識が神界に飛ぶなんてこともなく、何も変わったところがなく終わってしまった。


 騒がしくなるといけないから、ステータスを確認するのは、礼拝堂の外に出てやるのがマナーだとマリーに言われた。ならばと、俺があまりにも外に出ようと急かすため、横でクスッと微笑みながらマリーがついてくる。外に出るなりステータス確認して良いかと聞いて、マリーがうなずくのを見てステータスを確認したんだ。

 すると……。


------------------------------------------------------------

【名前】田所(たどころ) 刹那(せつな)

【年齢】20歳 【性別】男 【種族】人族

【階級】平民  【レベル】1

【称号】異世界人


【HP】  13/  13

【MP】   7/   7

【筋力】  11

【耐久】   9(+1)

【精神】   6

【敏捷】   9

【器用】  10

【知力】  11

【幸運】  10


【スキル】

 異世界言語認識、魔力制御(Lv.1)


【魔法】

 火魔法(Lv.1)、水魔法(Lv.1)、雷魔法(Lv.1)


【技名】

 ○[火魔法][▼]

 ○[水魔法][▼]

 ○[雷魔法][▼]


------------------------------------------------------------


 やった、やったぁ、やったった!!

 魔法が使えるみたいだ、それも3つも!

 源五郎が使えていたという、『雷魔法』の他に火と水も使えるみたいだ!

 俺が、ニヤけていることから、マリーにも伝わったみたいだ。


「セツナ、スキルか魔法を覚えたのね?」


「あぁ、火と水と雷だよ!スキルも『魔力制御』っての取得したらしい」


 すごいよね?これってチートなのかな?めったに居なかったりするくらい珍しいのかな?しかも、いかにも魔法に関係しますって感じのスキルまでゲットだよ!!


「3つも!?すごいね!

 スキルの『魔力制御』は、人族ならほとんどの人が覚えるけど、最初から3つも覚えるのは、結構珍しいわよ!」


 そうか、そうですか、このスキルは皆ゲットできるやつですか。

 まぁ、それはイイけど、耳にしたことがないって程のすごいチートってわけでもなく、「まぁ、珍しいね」って感じなのね。

 いや、気落ちしてませんよ、全然。えぇ、全くトーンダウンなんてしてないですとも!


「『魔力制御』を覚えると、純粋にMPを変換して、種火を発生させたり、コップ一杯くらいの水とか出せるようになるわよ!だから、俗に『生活魔法』とも呼ばれるのよ!ただ、普通に魔法習得している人に比べてすごくMPが減るんだけどね」


 こっちの微妙な気持ちは置き去りにして、スキルの説明をするマリー。まぁ、説明してくれるのはありがたいし、気を持ち直して、魔法を使う事に意識を向けようっと。


「スキルなのに魔法って言うんだね。

 ……あれ?もしかして、『付与魔法』とかも正式には違う名前だったりするの?」


 なんとなく疑問に思って聞いてみたが、どうやら当たりだったようだ。マリーがよくわかったわね!とでも言いそうな感じで説明してくれる。


「うん、そうなの。

『付与魔法』って言ってるけど、実際は、『付与術』っていうスキルが元になってるわね!

 だから、魔法ではなく(れっき)としたスキルなのよ!そのスキルに、魔法を組み合わせる事で属性付与っていうものができるようになるわ」


「へぇ~、スキルと魔法の合わせ技なんかもあるんだな~」


 ということは、そんなすごい『付与魔法』が使えるロッテさん一家は、皆スキルも魔法も持っているんだろうな……。全然俺すごくないじゃん。そういえば、さっきマリーが「最初から3つも覚えるのは」珍しいって言ってたな。という事は、後天的にスキルや魔法が増えることもありうるってことか。なら、剣術とか武器系のスキルとか、別の属性の魔法とかも使えるようになるのかも。

 とは言え、とにもかくにも、まずは自分で魔法を使わないとな!マリーも俺の心を読んだかのようなタイミングで質問してくる。


「セツナ、早速魔法試してみたい?」


「うんうん!やってみたい!」


「じゃあ、家のウラの方に行こうか!

 いつも私が練習しているところなら、他の人に当てる心配もないからね!」


 そっか、他の人に当たったらケガじゃ済まないかもしれないよな!

 でも、普段から練習しているところなら、その辺気を付けてるだろうし、練習場所にも適当か!


「よし!行こうか!」


 (はや)る気持ちを抑える事も出来ず、マリーを急かしながら帰途につくのだった。

明日は、刹那も有名人!

あー、全裸で来てるらしいぞ露出狂か?

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