ステータス
2017/10/01 10:00(5/16)
本日5部分目。
話と朝食が終わると、ロッテさんは、仕事に出掛けた。村の道具屋で、ポーションを作ったり、たまに来る冒険者の武具や防具に付与魔法をかけているそうだ。店での販売は商人にまかせて、ロッテさんは、職人のような形で働いているらしい。
スザーナさんは、朝食の後片付けや、洗濯などを行っており、テーブルには、俺とマリアンヌが残っていた。
「それで、セツナって、今どれくらいのレベルなの?あ、一応伝えておくと、他人のステータスって見えないんだ!特殊な魔道具があれば、見えるけどね。それに、自分で言っておいて何だけど、あんまり他人のステータス聞くのは失礼になるんだ。
けど、……良かったら教えてもらえないかな?」
手を合わせてお願いの格好をしながら、上目遣いで聞いてくる。やっぱ、マリアンヌは、めちゃくちゃカワイイな!モロ、ストライクど真ん中だ!
っと、ステータスを他人に聞くのは失礼っていうと、体重聞いたり、スリーサイズ聞くような感覚なのかな?あ、【年齢】もあるから、確かに失礼になることも想像できるね。
「えっと、レベルは1だね。ステータスは、全然大したことないよ」
「え!?1なの?
まさか、セツナ生まれたばかりじゃないよね?」
「いやいや、見てわかるように、さすがに生まれたてではないよ。歳は20で、ちゃんと大人だから!」
「20なの?どーみても、私より年下だと思ってたのに。まぁ、生まれたばかりというのは冗談だけど、ずーっと寝たきりの子でもレベルが上がっていない人なんて聞いたことなかったから」
そっか、異世界人となると、こっちの世界の常識と違うところが出てくるんだな。地球ではレベルなんて無かったから、レベルアップもないんだけどね。まぁ、ステータスを聞かれても、答えなくても良いみたいだし、とっととレベル上げてしまえば、万一確認されても大丈夫か。
「それでそういうマリアンヌは、歳いくつなの?」
「あ、私の事はマリーで良いよ!仲の良い友達は、皆そう呼ぶし。
私は、17歳。ちゃんと成人してる年なんだから」
仲の良い友達は、マリーって呼ぶのね。ってことは、嫌われてはいないというか、割と印象悪くないのかな?よかった。これも、源五郎効果か。ご先祖様ありがとう。
17歳で成人か……ってことは、日本なら女子高生ってとこか。まぁ、ギリギリ射程範囲内ってとこかな?中学生だとアウトだろうけど……って何考えてるんだ、流石に付き合うとかそんなことないだろ。
「こっちでは何歳くらいから成人になるの?」
「だいたいどこの国も15歳くらいになるよ。セツナの国は違うのかな?」
「あぁ、ウチの国は、20歳で成人となるんだ。とはいっても、俺のいる世界では、ほとんどの国が18歳で成人となるんだけどね」
「へぇ~、仮に18歳でもこっちの国々より成人が遅いのね」
そうなんだよな。日本は20歳から成人と言っているけど、それって結構遅いよな。
実は地球でもかなりの国で成人は18歳からだし、中には14歳で成人という国だってあるくらいなんだ。だから、こっちの15歳というのもそんなにおかしくはないんだろうけど、やっぱ寿命とか精神年齢とか、独り立ちするのにかかる年数については、価値観が違うんだろうな。日本も江戸時代ぐらいまでは、早かったらしいし。
「さっきお父さんとも話してたけど、セツナは具体的にこっちで何をしたいのかな?」
「うーん、そうだな。
さっきも話したけど、こっちの世界でしか目にできないような色々なものを見たいし、体験したいかな?
まぁ、とりあえず魔法とかレベルアップは体験してみたいな!!」
「魔法とかレベルアップね!
私も小さい頃、初めて魔法使えるようになった時は、ちょっと大人の仲間入りしたみたいで嬉しかったのを覚えているんだ!レベルアップして急に体が軽く感じるようになる感覚も楽しいんだよね」
「へぇ~。体が軽く感じるのか。……ちなみに、良かったら教えて欲しいんだけど、マリーのレベルっていくつくらいなの?」
「あ、んー。そうだなー。うん、こっちが先に聞いちゃったしね」
そういうと、ニッコリと返して、教えてくれそうな雰囲気だ。さっき、失礼な事だといってたレベルを聞いたものだから、ちょっと戸惑っている感じかな?聞かれたから聞き返した感じなんだけど、どうやら、気分を害したりはしてないようだ。
「私のレベルは19だよ!だいたい成人した頃にレベル10くらいになっている子がほとんどだし、自分で言うのも何だけど平均より少し上くらいだと思うんだ」
「そっか、レベル19なんだね」
すげー、俺がスライム級なら、マリーはメタルスライム級ってとこか?いや、何言っているかよくわからんが、とにかくスゲー。速くレベルが上がるチートとかないかなぁ~。って、自分のステータス見ても、そういうスキルとか特に何もなかったな……。
それにしても、成人した頃でレベル10かぁ。さっき年下に見えるって言ってたし、レベル10くらいになったら、他人に聞かれて教えても変じゃないのかな?でも、生まれて15年くらいで10上がるレベルを短期間で追いつけるのか?
「あ、でもレベルの事は、他の人に教えたりしないでね。平均より高いからって、あんまり言いふらしていると、子供が自慢しているみたいで恥ずかしいから」
「うん、流石に他人のステータスを話して回るようなことはしないから」
って、レベルを言いふらされると恥ずかしいという感覚は、今一つ理解できないが、個人情報を教えるなって考えると納得できる。
「でも、さすがにレベル1だと、危なくて村の外に出て行かせられないわ。流石にそのレベルだと、ゴブリン一匹にも殺される可能性があるわね。あ、ゴブリンって言うのは緑色の皮膚した10歳の子供くらいの大きさのモンスターで、二足歩行しているの!一体なら、レベル10もあれば、絶対負けないくらいのモンスターだけどね」
「それは、……さすがに鍛えてからでないと無理だね」
うん、自殺願望はないから、レベル1で仲間も無しに村の外に出るなんて、ドラク○でも厳しいイメージだ。しかも、こっちはゲームと違って戦闘とかに恐怖したり躊躇したりするんだろうから、死ぬ可能性も高いんだろうな。
「せいぜいイノシシとか、ちょっと凶暴な動物くらいなら、今でも武器によっては倒せるかもしれないし、モンスターでも罠とか複数人ならステータス低くても倒せるけどね」
「そっか……、レベルってモンスターを倒さないとあがらないのかな?」
もしそうだとすると、知り合い――この場合、ロッテさん一家の誰か――と一緒に来てもらって、モンスター倒すしかないよな。一人で戦闘するなんて、無理ゲーだろ。地球から武器も持ってこれないしな。あ、でもスリングくらいだったら自作できるかも……って作ったことも無い自作の武器で、命をかけたモンスターとの戦闘なんて、安心できないなぁ。
「いえ、基本的に普通に生活していても、時間が立てばちょっとずつ上がるわよ!
鍛錬したり知識を増やしたりすることでも上がるようになるし、もちろんモンスターや人相手の戦闘でもレベルは上がるようになるわよ」
そっか、よかった。
筋トレくらいなら、筋肉痛になるまで頑張れそうだし、魔法の知識ならどんどん勉強するよ。レベルアップや魔法のためなら、それくらいの努力は苦にもならないな。
「レベルアップでは、肉体を鍛えれば【筋力】とか肉体能力があがるし、知識を習得すれば【精神】とかの魔法に関係する能力値が上がりやすくなるわね。後は、血筋なんかも上がりやすい能力値に関係するらしいわよ。
ベルナルドの子孫は、魔法で作用する能力値が上がりやすい傾向にあるしね!」
「へぇ~そうなんだ。んじゃ、モンスターと戦わなくてもレベルは上がるし、何もしなくても時間かければ上がるってことなんだね」
「そうね。ただ、本気の戦闘や必死に集中して取り組んだ方が、より早くレベルアップできるみたいよ。だから、モンスターとの命をかけた戦闘の方が、模擬戦を人とやるよりレベルが上がりやすいし、稽古や鍛錬よりは模擬戦の方が上がりやすいのよ」
[命を懸けた戦い] > [模擬戦(命をかけない戦い)] > [一人で鍛錬]って感じで経験値が違うんだね。魔法も同じっぽいね。
「んじゃ、より実戦形式で必死にやる方が、どんどんレベルが上がっていくって事だね」
「うん。その認識で間違ってないわ!
でも、セツナはまだ実戦とかダメだからね。まずは鍛錬してレベルが上がらないと危ないわ!」
「それは、どれくらいのレベルになったらモンスターと戦闘しても良いのかな?」
「私が手伝ってあげれば今からでも良いんだけど、何か不測の事態が発生した時に低レベルのセツナをかばうと、二人とも死んでしまう可能性もあるから、無理ね。最低でも、弱いモンスターから自分の身を守って逃げ帰れるくらいにはならいと。
そうね……レベルで言うと最低でも5はないとダメね」
「レベル5かぁ。それって4~5年くらいかかるのかな?」
流石に、4~5年くらいかかる鍛錬を反復するのは、自分の性格上無理そうだ。せいぜい半年くらいなら、運動部の部活の練習だとでも思って耐えれるかもしれないけどな。能力が上がると言っても、ボディビルダーみたいに筋肉つけるために長々と継続できる性格じゃないし。
「そうね……。
たぶん、セツナの体質にもよると思うけど、早ければ一か月くらいの鍛錬でも上がるかもしれないわ」
「一か月?さっき、聞いた話とずいぶん違うね。成人するまでに10レベルくらいじゃないの?」
「うん、たぶんだけど、最初の2~3レベルくらいはすぐ上がると思うの。だって、レベル3なんて一人で歩き出した子ならそれくらいになってたりするからね。それで、レベル5になったのも、一人で10キロくらいは歩けるような歳だったかな?だから、既に大人のセツナなら、運動量も鍛錬量も子供以上だろうから、一気に上がる可能性はあると思うの」
「マジか!それは嬉しいな!んじゃ、早ければ最初の2~3日くらいでレベルアップできるかもしれないな!」
「あくまで、私の予想だからね。
あと、元の世界で鍛錬しても、レベルは上がらなかったってゲンゴロウが言ってたらしいわ。もちろん、元の世界に戻った時に既にかなりの高レベルだっただろうから、たまたまかもしれないけどね。
レベルアップや魔法を使うには魔素がない元の世界では無理なのかもしれないって、ベルナルドは考えていたらしいわ」
んじゃ、この後元の世界で筋トレしてもレベルアップしないのか。
まぁ、それでレベルアップするならステータスにレベル1とは表示されないだろうしな。
というか、源五郎も魔法使えたのかな?
「知ってたら教えて欲しいんだけど、源五郎って魔法使えたのかな?」
「えぇ、高位の雷魔法が使えたらしいわよ!」
「ホント?今、ステータスで【魔法】は何もないみたいなんだけど、俺も雷魔法使えるようになるかな?」
「まぁ、血筋とは言っても親子ほど濃ゆくはないだろうから、雷魔法が使えるかは、わからないけど、魔法は使えるかもしれないわね」
やったー。ステータスの【魔法】欄に何もないから、魔法は無理かもって諦めかけてたんだけど、話しぶりから今使えなくても後で使える可能性はあるみたいだ。
「神殿とか教会とかに行って、神様に『力を与えてください』って、お祈りすると、それまでの行いや血筋から、神様が【魔法】や【スキル】を与えてくれるのよ。だから、セツナも教会に行ってお祈りすれば何かしら力が与えられると思うわ!」
「そうか!!やった、そいつはとっておきのビッグニュースだ!!」
「ふふふ、やっぱり行動も含めてセツナは20歳って感じしないね。せいぜい同い年くらいかな?」
「おっと、ちょっとはしゃぎすぎたかな」
少し真面目な顔して言ってみたら、マリーにプッと笑われた。
「無理して真面目ぶらなくても、セツナは自然なままで良いと思うよ」
「そうかな?」
「うんうん」
マリーの中ではちょっと軽い感じに映っているのかな?といっても、同い年くらいに見えるって言われたし、マリーは日本の一般的な17歳より精神年齢は高そうだよな。まぁ、親のスネかじって、大学に行かせてもらっている身としては、あまり精神的に自立できているとも思えないし、マリーにそう思われてもしょうがないか。
そういえば、マリーはもう働いたりしてるんだろうか?
「そういえば、マリーはロッテさんみたいに、どこかに働きに出かけたりしてるの?」
「うーうん。ウチは農家や猟師とかでもないし、どっちかというと魔法を使った職人の家系だから、私もそうなれるように練習中って感じ。ただ、今のステータスだと能力不足で、そのまま働けるほどではないのよね。せめてあと2~3レベルが上がれば、職人の見習いとして働けるようになると思う。
だから、セツナと同じで今はレベルアップするために魔法を反復練習したり、仕事で使うアイテムの勉強してるところ。付与魔術師は、それなりに稼ぎも良いから、今すぐ働かないといけないほどではないしね」
そーか。それで、マリーだけ家に居るのか。んじゃ俺との会話は、毎日の反復練習の合間の息抜き時間ってとこかな?俺が転移して遊びに来て良いというのも、源五郎効果だけでなく、暮らしに余裕があるからなんだろうな。
「んじゃ、後で魔法とか見せてもらって良いかな?」
「うん、それは良いけど……なんだったら、魔法かスキルを授かるために村の教会に行ってみる?」
「イイの!?行く行く!是非ともお願いします!!」
それで、2人で教会まで出かけることをスザーナさんに言って外出するのだった。
日本の成人年齢が、20歳というのが、世界的に見ても遅いと知ったの最近だけど、18でもイイような気がする。
幾つになっても、子供な人はいるし。逆に若くして大人な人もいる。結婚できる年なんだから、あとは個人の心構えで、法律で縛りをかけなくてもなー。