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鏡の中の異世界  作者: HGCom
鏡の中の異世界
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針のむしろのような中で謝罪といえば

2017/10/01 07:00(2/16)

本日2部分目。

 ……目がさめる。木造の室内で、板張りの床。窓も木製の雨戸が開け放たれている状態。外を見ると、今は日の出過ぎくらいだろうか……。


「知らない天井だ」


 言ってみたかったわけでも、思わずとっさに出た訳でもなく、お約束(・・・)だから言ってみた。


 さて、ベッドで寝ているのだが、木製の木枠に(わら)が敷き詰められて、そのうえからシーツで覆われているようなベッドだ。作りは簡単な物だが、毛織の毛布が掛布団として使われている。着ている服は、毛織物で使いこまれているが、わりとキレイに利用されているものみたいだ。


 ベッドの上から周りを色々と見回してみるが、やっぱりここがどこかはわからない。昨日の事は覚えている。家で転んだら、ブロンドヘアーの美少女に殴られて……失神したんだろう。うん、ないわー。少女になぐられて失神なんて。歳は17、18くらいだったろうか、かなりカワイイ子だったな。モデルとかでもいけるというか、ハリウッド女優とかに混ざっても遜色(そんしょく)ないくらいの美女だった。が、あの目で見られると、色々と()えるよね。美女に(にら)まれた時って、普通の人に(にら)まれるより、精神的にダメージ()るんだよな。あんまり経験ないけど……。


「だいたい俺が、何したって言うんだ」


 いや、ナニを見せてしまった俺が全面的に悪かったような気もするが、抵抗する間もなく殴られてあっさりK.O.されたことに、男の尊厳というかプライドを傷つけられて、悔しいというか悲しい。なので、本人も目の前にいないようなので、理不尽にも八つ当たり気味に愚痴っているんだ。うわっ、考えを文字にしてみると、小さいな俺。まぁ、ナニもちいさ……。


「おや、起きてるようだね!」


「あぁ、はい」


 いきなり、一つだけある戸が開いて、30代~40代と思われる女性が入ってくるなり声をかけてきた。明るい雰囲気の快活な人のようだ。というか、見た目かなりの美人だ。


「言葉は通じてるみたいだね。私は、スザーナって言うんだ。あんたが昨日会ったマリアンヌの母親さ」


「自分は……田所(たどころ)刹那(せつな)って言います」


「タドコロね……」


 俺の名前を聞くなり、スザーナさんが考えるような顔をしてしまったが、どこの国の人か知らないけど、名前を前にして言わないといけなかったかな?


「あ、田所が姓で、刹那が名前になります」


「あー、セツナって呼べば良いかね?」


 すぐにさっきまでの雰囲気にもどって、呼び方を尋ねてくる。母親と言っていたが、顔立ちがすごく昨日の子に似ている。


「はい、セツナってよんでください」


「んじゃ、セツナ!起きられるかい?

 旦那と娘が食卓で待っているから、来れそうならついておいで」


「はい、行きます」


 そう言いつつ、ベッドからおりてスザーナさんについていく。


 すると、すぐ隣の部屋の真ん中にテーブルがあって、40代くらいの中肉中背の男性と昨日の美少女が座っていた。男性が父親だろう。その対面にスザーナさんが座って、美少女の対面の空いている席に立つ。


「そんなとこに立ってないで、早く座って食事にしよう」


 ニコリともしない父親と美少女の前で、スザーナさんが笑顔で声をかけてくれる。

 これは、アレだ。人生初だがこういう時のためにやるんだという事は知っている。俺は、ゴクリと(つば)を飲み込んで、カッと目を見開いたかと思うと、思いっきり床に四つん這いになって大声で謝っていた。


「昨日はすみませんでしたーー。服とかベッドとか色々ほんと、すみません。ありがとうございましたー」


 思いっきり土下座だ。DO・GE・ZA。清く正しい日本の最上級の謝罪方法だ。

 食事時に(ほこり)が立つといけないから、ジャンプはしなかったけど、額を床にこすり付けんばかりの土下座だ。あの少女と父親の表情を見ていれば、かなり寛大(かんだい)な処置なのだろう。あの恰好のまま下手に警察とかに突き出されてたら、間違いなく有罪になったはずだ。

 この心遣いに、最上級の謝罪と感謝を言わないまま、俺はこの空間に存在して良いだろうか?いや、よくない。ここにいる皆が許しても、俺の価値観は有罪だと言っている。例え、少女にいきなりグーパンチもらってK.O.されていたとしてもだ!!


「……おー、どげざ……」


 ん?土下座?誰の声だかわからんが、これが「土下座」という格好だと伝わるのか?そういえば、さっきからズーッとスザーナさんとは日本語で話してるよな?ということは、日系人とかハーフの日本人だったりするのだろうか?となると、ここも日本?


「いいから、まず座りたまえ。そんな状態じゃ我々も食事できないだろうが!」


 父親から静かに注意される。Oh、やっぱりギルティなのですか……?


「はい、すみません」


 俺は、もう一言謝って、しずしずと椅子に掛ける。


「それでは食事にしよう」


 俺が椅子に座るなり、父親がそう言うと皆が食事を始める。パンと野菜スープがある程度で、あまり豪勢な食事とは言い難いが、ご相伴にあずかっておきながら、食事にケチなんてつけることはしない。そもそも、俺も朝はパン派だからな!


「いただきます」


 ボソッとつぶやいて手を合わせて食べ始めようとしたら、皆が食事の手を止めてこちらを注目していた。あ、何?この席に一人分の食事が用意してあるけど、俺の分じゃなくて別に家族がいるパターンなのか?コレ、俺の食事ってわけじゃないのかな?


「あの……」


「そういえば、この子の名前はセツナ。

 タドコロ・セツナって言ってタドコロが姓でセツナが名前って言ってたよ」


 俺が質問しようとしたところで、スザーナさんが(さえぎ)るように話し出して、父親と少女に説明する。


「あ、田所(たどころ)刹那(せつな)です」


 スザーナさんの説明に便乗してから、自己紹介がてらに名前を言ってペコリと頭を下げる。


「タドコロって、やっぱり!」


 自己紹介すると、何故か笑顔で少女がつぶやく。田所って苗字が何かあるのか?

 すると、今度は父親が俺に質問してくる。


「君の祖先にゲンゴロウって名前の人物はいるかい?」


「……ゲンゴロウ?」

ゲンゴロウって田んぼにいる虫みたいなの?

というか、メシ食っていいのかな?

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