娯楽の誘惑
2017/10/01 18:00(13/16)
本日13部分目。
翌日も前日と同じように、朝5時頃に起きて、5時半に全裸。
頭だけ鏡の中に入れて、鏡の中を覗いてみると、服がたたんで置いてあった。ふーっ。と一息入れて、早速あちらに移動する。さっさと着替えると、今日の予定を考える。
とりあえず、昨日渡したリバーシをロッテさんが、職場の方に持って行って他の人の感想を聞いてみると言っていた。マリーは、たった一日ですっかりハマッたらしく、その間できなくなると騒いでいた。
それと、昨日ロッテさんがポンプを作ってくれる予定の職人に会ってみたら、今日の午後なら時間が空いているということだったので、今日は自警団の訓練が終わったら、ロッテさんと2人で会いに行くことになっている。
予定を考えていたら、部屋の戸が開いて、スザーナさんが朝の挨拶をしてくれる。
「おはよう。セツナは朝早いね。いつものマリアンヌとは大違いだわ!」
「おはようございます。自分も家族がいると、甘えて起こされるまで寝てしまいますからね。一人で生活するようになってからは、寝坊しないように気を付けるようになりましたけど」
とはいっても、学校に行く時くらいで、夏季休暇はかなり不規則な生活なんだけどね。こっちに来るようになって、普通に規則正しい生活になっているせいか、今日は目覚めがよかったんだ。たった二日でこんなにも変わるのかと思うんだが、体も動かして夜22時には寝てるんだから、体には良いよな。こんなに早く寝るのは、小学生以来かもしれない。エアリアルで鍛錬した分は疲れるんだけど、今のところ筋肉痛にはなってないんだ。昨日なんか、剣の素振りしかしなかったけど、それでも2時間くらいは振ってたと思うし、絶対筋肉痛で腕が動かなくなると思っていたけど、今朝も昨日と変わらない感じだ。
まさか、明日あたりに筋肉痛がきたりしないよな?
朝食ということで、スザーナさんに続いて隣の部屋に行く。今日はすでにマリーも席に座ってて、ロッテさんとリバーシをやってた。
「あ、セツナおはよう!」
「おはよう。セツナ!」
「おはようマリー、ロッテさん!」
どうやら、既に朝から3回やってて、今日はロッテさんが2勝しているみたいで、マリーの絶対勝つんだという意気込みが伝わってくる。今日は勝ち越しているからか、ロッテさんは余裕の笑顔だ。つーか、やりすぎだろ。ゲーム機買ってもらった小学生かよ!そんだけこっちは、娯楽が少ないんだろうな。
「ほらほら、テーブルの上片付けてくれないと、朝食が取れないでしょ!2人ともそろそろやめなさい!」
スザーナさんが朝食の食器をテーブルに並べていくが、マリーがここでは終われないと駄々をこねる。
「もうちょっとだけ!もうすぐ引き分けになるから」
「ほら、マリアンヌ。行儀が悪いよ!もう食事だから片付けよう!」
言っている事は、ロッテさんが正しいが、あの笑顔は勝ち逃げしようって魂胆だな。
「あ、お父さんズルーい!」
「ズルいも何もないよ。はい、片付け片付け」
そういいながら、盤面をロッテさんが片付けていってしまう。それで思わずマリーも声が出てしまう。
「あーー!!」
「マリーの生活の妨げになるなら、別の知識を持って来れば良かったかな?」
「セツナは、気にしなくて良いのよ。元々セツナが来る前も、マリアンヌは時々行儀が悪かったんだから」
「そんなことないよー。ちゃーんとしてたって」
俺の呟きにスザーナさんがフォローしてくれるが、この態度を見てると、マリーの息抜き時間を増やす手伝いをしてしまったようで、やっぱり申し訳なく思う。それと、俺の前では少しお姉さんぶっているところがあるみたいだ。ホントに、俺が年下のように接してくるな……。
「ま、やりすぎると、他の事に支障がでるから、一日何回までと決めて置いた方が良いかもしれないな。これは夢中になりすぎてしまうよ」
ロッテさんも、やや中毒になりかけているようだ。
不満気なマリーをよそに、スザーナさんがサッサと食事の用意をしてしまって、朝食となる。
「あーあ、もう今日はできないのかー」
「そんなに喜んでもらうと、教えた方としては嬉しくもあるけど、やっぱ申し訳なくもあるな。これだと他の遊びは、伝えない方が良いかもしれないな」
「他にもリバーシのような遊びがあるの?」
「あぁ、あるんだけど……」
「リバーシ以外の遊び道具の知識を聞くのは、やめておこうか」
「お父さん?」
「面白いから、遊んでばかりで仕事したくなくなっちゃいそうじゃないか」
「うーん。反論できないかも」
「まぁ、リバーシは使って良いんだし、やり過ぎなければ楽しいから良いじゃないか!」
「そうだね。うん!……って、どっちにしても今日は、もうできないよー」
「はは、マリーは子供みたいだな」
「えーー!!それ、セツナにだけは言われたくなかった~」
朝食も終わって、今日もロッテさんと一緒に外出する。自警団に行って、鍛錬の後で昼食を取ったら、一度ロッテさんの職場に行ってから鍛冶職人のところに行くことになっている。
自警団に行くと、もうほとんど揃っててすぐに見回りに行く事になった。今日も同じ年少の子を含むグループで、近場の見回りコースだ。
「セツナは、まだレベル1なの?」
「いや、昨日も一昨日も上がって、今はレベル3になったよ!」
「おー、二日連続レベルアップってすごいな!」
「でも、うちの下の弟よりレベル低いけどね。弟は4歳でレベル4だから」
ハンナの質問に答えると、カールは褒めてくれるけど、ジョンはダメだししてくる。今日も俺は年少組の話のネタだな。
「そ、そうか。4歳の子よりレベル低いのか」
「流石にステータスはセツナの方が上だと思うけど、まだまだモンスター相手には危ないよな!」
「「なー!!」」
ジョンがフォローしつつも、やっぱりダメだしして、他の2人も同意する。
「お前たちも、まだモンスターは危ないだろう!」
すると、グループリーダーのケインが年少の3人にダメだしする。三人とも苦笑いしてるとこみると、まだモンスターと戦闘したことないのかな?
グループリーダーのケインは、若干ムスッとした見た目であまり笑顔を見せない感じで、ちょっと近づきがたいオーラを感じる。体格は細マッチョという感じで身長も180cmくらいある。アッシュブラウンの髪で切れ長の目が、迫力のある雰囲気を出してる。
マイクは、割と整った甘い顔をしている。緑がかった髪で身長は175cmはありそうだ。身長は俺とほとんど変わらないくらいだな。面倒見のよさそうな雰囲気を出して、よく年少組に声かけたりして世話をしている。
すると今度は、マイクが俺に質問してくる。
「そういえば、セツナは元の世界の知識で何か作ったりするの?」
「あぁ、昨日、とりあえず遊び道具を作ったら、ロッテさんとマリーが夢中になってやってたよ」
元の世界の知識ということからか、グループ皆が興味を持ったようで、マイクと俺の話に耳を傾けているようだ。口にこそ出さないが、レベッカさんも表情が変わったように見える。
「それで、どんな感じのものか聞いても良いかな?」
「えーと、木材の盤面に石を二人で交互においていく遊びなんだけど、縦横8マスずつ64のマスがあって、自分の石で相手の石を挟むと、挟まれた全部の石が自分のものになるんだ。それで最後に多く石を持っている方が勝ちっていうものなんだけど……、実物を使って説明した方がわかりやすいかな?」
「うーん。なんとなくわかるよーな、わからないよーな。要は、遊び道具なんでしょ?それって、作るの難しいの?」
「いや、木工をほとんどやったことない俺が、訓練と同じくらいの時間で作れたから、職人さんとかなら食事を食べるくらいの時間で作っちゃうんじゃないかな?」
「んじゃ、俺でも作れそうだね。セツナ見た感じ不器用そうだし」
「う、容赦ないな。確かに不器用なんだけどな」
「自警団の鍛錬が終わったら、作り方とか教えてもらっても良い?俺にもできるならやってみたいし」
「うん、良いよ。後々人気が出たら、ちゃんと職人さんに作ってもらった上等なものを、他の街の人とかに売っても良いだろうけど、すぐ真似できるようなものだから、作る手間が気にならないなら自分で作るのもアリだろうからね」
「よし、んじゃ決まりね!鍛錬が終わったら、ちょっとだけウチに寄って行ってよ!ロッテさんの家なら、広場からの帰り道にウチあるから!」
「わかった。帰り道ならいいよー」
作り方と遊び方くらいなら、少しの時間で説明できそうだから、マイクのお願いに了解したが、年少組もやってみたくなったようで、駄々をこねる。
「あー、ズルーい」「俺も俺も!」「私もやってみたーい」
「うーん、今日は昼から他に用事が入っているから、別の日にするか、どうしても今日がイイなら、マイクにお願いするかだね」
「「「マイク、俺(私)たちにも作ってー!!」」」
「おいおい、俺が4つも作るのか?作り方とか教えるから、それぐらい自分達で作れよ」
「「「えー、ケチ!!」」」
「教えねぇぞ!」
「「「自分で作ります!!」」」
漫才かこいつら。ちびっ子達は、誘惑に身を任せてしまったが、グループリーダーのケインとレベッカさんは、特に反応しない。まぁ、現代知識と言っても遊び道具だし、他の人の評価次第で行動するのかな?
まぁ、リバーシの事はとりあえず置いとくか。流石に今日はレベルアップしないと思うけど、まずは、しっかり鍛錬するぞ!
「んじゃ、今日も鍛錬がんばるか!!」
声をかけると、ちびっ子がノリよく返事する。
「「「おー!!」」」
が、レベッカさんはマイペースに釘を刺す。
「セツナは、今日も素振りだからな!」
「お~」
俺も弱々しく返事して、帰りの走り込みだ。今日もやっぱり俺だけ息切れしたけど、なんとかついていけた。
鍛錬は俺だけ一人で素振りだが、前日より軽く木剣を振れるのがわかる。やっぱ、レベルアップすると断然力が入る感じがするな。息切れしたけど、足も速くなっていたのを実感できたしな。
でも、周りで鍛錬する団員の振る木剣と風切り音が全然違うんだよな。俺が降ると、シュッ!と、自分くらいにしか聞こえない音量だけど、団員の振る剣は、ブンッ!ってこっちまで風切り音が聞こえてくる。あの強さの振りだと、剣で受け止めきれなさそうだし、直接体に当たったら骨折しそうだ。
そんな感じで、昨日とあんまり活動内容は変わらなかったが、今日もしっかり汗をかいた。やっぱり今日は、レベルが上がってなかったけど、3日前とは比べものにならない体のキレを感じる。
鍛錬が終わると、約束どおりマイクの家に寄る事になって、俺とマイクの他に、言っていたとおり年少のちびっ子が3人ともついてきた。
「さて、木材なら薪用のやつがそこらに積んであるけど、どんなのが良いんだ?」
「そうだね。板状の薄い方が軽くて持ち運びしやすいし、これなんか良いと思うよ」
「んじゃ、これと。他に何かいるのか?」
「あとは……」
そんな感じで木材を決めて、指示を出しながら作っていく。石は、ホントは円形だけど、もうこの際だから正方形で良いやと、まとめて作ってもらった。
「こんな感じで良いのか?」
「うん、これで遊べるよ。それにしても作るの早かったね。作り方と遊び方だけ伝えて帰ろうと思ったけど、もう終わっちゃった」
「……セツナ、これ作るのにさっき鍛錬したのと同じくらいの時間がかかったって言ってたよな?」
「うん」
「おまえら、作り方見てたよな?これ作るのどれくらいかかりそうだ?」
「俺ならマイクと同じくらいかな?」
「俺は、もう少しかかるかも」
「私は、マイクの倍くらいはかかるかもしれないなぁ~」
マイクが、カールとジョン、ハンナに聞いてみるが、皆の答えは遅くても今の倍くらいとのこと。つまり30分はかからないってことか……。
「だろ?セツナ不器用すぎだぜ」
「それは、……マリーにも言われたよ」
俺は、がっくりと肩を落とす。だって、木工なんて中学以来なんだぜ。ノコギリだって日本のやつより切れ味悪いし、なんであんなに簡単にナイフを使えるんだよ。日本なら、その刃渡りは銃刀法違反なんだからな!
「んで、遊び方はどうやるんだ?」
「じゃあ、少しやってみながら説明するね」
それから、年少組もわかるように、一つずつルールを教えていくが、皆1度説明するだけで、すぐ覚えてしまった。
「まだ、時間大丈夫なら、俺と1回やっていかないか?」
「そうだね。まだお昼には少し早いくらいだし、1回なら良いよ!」
「よし!そうこなくっちゃな!」
そう言って、意気込んでやりだすんだけど、マイクはマリーと同じで毎回多くの石を取ろうとしていた。石を置くたびに、外野の子供が「そこだって!」とか「セツナ違うよ!」とか「マイクあっちだってば!」などと騒がしかったが、やっぱり最後には俺に逆転されてしまった。
「くそー。セツナは不器用で力も弱いのに、リバーシは強いのな!」
「不器用で弱いは余計だよ!」
「結構面白いじゃん!コレ、他のヤツにも広めたりして良いか?」
「うん、さっきも言っていたけど、職人に上等なものを作ってもらって、他の街とかで売ったりするかもだけど、村の中で遊ぶ分にはかまわないと思うよ」
「そうか、んじゃ昼からケインの家に行ってみるかな!」
「ケイン?」
「あぁ、ほんとはケインも一緒に交じって遊びたそうな雰囲気だったろ?」
そういえば、レベッカさんとケインもマイクとの会話に興味を持ってた気がするな。
「そういえば、そうだな。だったら、一緒に来たらよかったのに」
「まぁ、あの見た目で損してるけど小さい子の面倒見るのは好きだし、初対面だと誤解されやすいから、セツナが身構えるかもって、気を使って来なかったのかもな!」
「そうなんだ?そんなの気にしなくてよかったのにな!」
「あぁ。って事で、時間はどうだ?もう一回やるか?」
「あぁー、今度は俺もしたい!」「俺も俺も!」「私もやりたいよー」
「はは、いや、そろそろ帰るよ!昼から用事があるしな!」
「それも、あっちの知識ってやつなのか?」
「まぁ、そうなんだけど、知識はあるけど、あまり器用じゃないから、すぐできるかはわからないけどね!」
「それは確かに!!」
「そこはフォローしとけよ!!」
そんなやりとりをしつつも、昼食にいったん帰って行くのであった。
初めてファミコン買ってもらった時、作者は夜更かしして怒られました。ほどほどが良いらしいけど無理だ!




