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短編

辛辣な高梨君

作者: ぐらたん

「まじ、うざいんですけど…俺の前から消えてくれる」

整った容貌の彼から紡ぎだされるその言葉は挑戦者の心を打ち砕いた。

顔を俯かせて走り去っていく挑戦者は彼女だけでない。

挑戦者は後を絶たず今日もそのうちの一人が敗北した。


「あんな男のどこがいいのかね」

そんな挑戦者をみて私・かなこが呟いたが、友人たちは男・高梨を熱心に見ている。

そんな姿に呆れてため息を吐いた。


「あの誰にも振り向かないところがまたしびれる」

「いやいや、それは麻痺しすぎだって。あの男はほぼ暴言しかはいてないから」

「素敵…」

「重病すぎ」


「はっ?俺の彼女よりあんたの方がいいってどの顔が言ってんだよ。トイレでもう一度鏡見てきていいな。そしたら自覚するまで囁いてやるよ」



「あんな男の恋人している子の顔が見てみたいわ」

「素敵な子に違いないと思うんだよね」

「ってか、彼女いるんかい!!」


「一緒に帰ろう?あんたに使う時間があれば美奈子との時間を優先するね。俺の一時間はあんたの一秒の価値もないね」


「美奈子さん…なんかナイスバディな気がする…何、かな子」

「そうね、天と地の差がありそう」

「私を見て言わないでよ!!」


「ごちゃごちゃうるせぇよ。今日はちずると会う約束してんだから気分を害さないでもらえるかな」


「ちずるさん…和服の似合う彼女に違いないわ」

「ちょっと、昨日と彼女の名前違うから」

「もてる男は違うのね」

「どう考えても不誠実だろう」


「あかりに泣かれた。へこんだ、俺はマジでへこんでいる」


「あの高梨君が落ち込んでいる!!」

「また彼女の名前違うし!つーかへこむついでに一回死んで来いよ」

私がそうぼそりとつぶやいた瞬間「聞こえてんぞ!!この性格ぶす」

まさかの高梨君からの暴言が帰ってきた。



「あんたのその対応見てるとさ、あんたの彼女たちはいったいなんなの?天使か何かですか?」

「天使だけど、何か」

「……」


「このゴミ屑どもが、触んなよ俺が穢れるだろ」


「ひどい、まじあんたひどいわ。あんたの彼女たちもあんたのどこがいいのか?」

「はっ、俺の天使たちはそこを含めて俺を愛してくれてんのさ」

「きもっ」


7閑話

「君もなかなか高梨に辛辣だね」

話しかけてきたのは高梨の親友・橋本だ。


「……(同類そう)」

「あいつと一緒にすんのはやめてね。あいつはちょっとやんでるだけだからさ」

「意味が分からないんだけど」

「ほら、愛にはいろんな形があるってことかな?」

「ほんとに意味わからないし奴に興味ない、話しかけないでくれる」

「君もなかなか辛辣だよ」


8閑話

「あんな男でも親友はいるのね」

「そうだよ、もっとびっくりする情報なら女友達もいるんだよ」

「…!!」

「無言でびっくりされてもな。隣のクラスの委員長がそのひとだよ」

思い浮かぶ委員長はあのおさげにきっちり制服を着こなしているあの真面目な委員長か!!

「友達の定義ってなんだっけ」

「ひどいな、まぁ共通の趣味を持つ同士なんだよ」


「騒ぐな屑ども、うっとうしいから俺の半径5メートル離れとけって、花房、お前はこっちにこい!!」

周囲の女にはそういった高梨は委員長だけは近づかせた。女たちの視線が怖い。


「高梨の行動すべてがうざいわ」

「そういってやんなよ。友達なんだから話したいんだよ」

「そうやって私の会話に入ってくる橋本もうざい」

「ひどい!!」


10閑話

「花房さんもよくあの男と仲良くできるわね」

「彼、あんなんだけど話はよくわかるのよ」

「けど、それでも周りの女の子がめんどくさくない?」

「大丈夫、私には彼氏いるし」

「けど、高梨君のことは同士だと思っているけど、私はああはなりたくないわ」


なんか意味深だ。


11

「天使たちのいる世界に俺はいきたい」


「おかしいこと言ってるわよ、あんたの親友」

「うん、彼女たちと昨日から会えてないんだ」

「ざまぁ…かわいそうに、ふられたの??」

「そんな嬉しそうに言わないであげてよ。壊れたんだ」

「…?こわれたって何が?」

「ゲーム機」


12

「神は死んだ」

高梨が暴言もはかずただ席に座っている。そのつぶやきもあってか挑戦者たちでさえ遠巻きにしている。


「あんまり聞きたいことではないけどもしかして」

「そうだよ、高梨の彼女は全員ギャルゲーだよ。花房さんの彼氏も」

「頭痛い」

「大丈夫、病院行く?」

「それはまず高梨に言ってやれよ、親友でしょ??」




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