表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
99/174

4-0 プロローグ

 「お許しください、傲慢の魔王さま――!」


 断末魔の叫びが、黒曜の玉座の間にこだました。


 傲慢の魔王は愉悦を隠しもせず、その声を聞きながら冷たく言い放つ。


 「駄目だ。――我が血肉となるがいい」


 肉が裂ける鈍い音が響き、悲鳴は闇に呑まれた。


 その光景を、他の魔王たちはただ黙って眺めていた。


 六つの席には、それぞれ異形の魔王が座している。


 中央の玉座――八つある席のうち、二つは空席のままだ。


 そこには本来、“サタン”と傲慢の魔王が座るはずだった。


 沈黙を破ったのは、嫉妬の魔王エルシードだった。


 冷笑を浮かべ、吐き捨てるように言う。


 「傲慢の奴は、何人実験台にすれば気が済むんだ」


 すぐ隣の席から、低いうなり声が返る。


 「グルルル……」


 暴食の魔王グラトスの唸り声だった。


 「奴はサタン様のお気に入りだ。好きにさせるつもりだろう」


 冷ややかな声音で答えたのは、強欲の魔王ヴェリティアだ。


 誰も反論せず、他の魔王たちは無関心を装うように沈黙を保っていた。


 「まあ、いずれにしても――勇者どもとの戦いは、そう遠くない」


 ヴェリティアの言葉にいくつかの視線が交錯する。


 「まだ五人しか覚醒していない。……それでも来ると?」


 嫉妬の魔王エルシードが問う。


 ヴェリティアは肩をすくめ、ため息をついた。


 「少なくともドワーフは、いつ覚醒してもおかしくない。

 残りの一人は未知数だがな」


 その言葉に、エルシードは嗜虐的な笑みを浮かべた。


 「あなたの見解は当てになる、強欲の魔王ヴェリティア殿。

 では、残りの一人は私が直々に相手をしよう」


 「そうか。……ならば私は、ハイ・エルフを狩るとしよう」


 互いの視線が交わり、静かな闘志が空気を震わせる。


 やがて、他の魔王たちも順に立ち上がった。


 ある者は不敵に笑い、ある者は無言のまま、またある者は仮面の奥に表情を隠したまま――それぞれの居城へと姿を消していく。


 最後に立ち上がったのは、暴食の魔王グラトスだった。


 巨大な牙を剥き、にやりと笑う。


 「ドワーフ……俺の餌だ」


 呟きと共に、彼も闇の中へと消えた。


 残った二体――強欲と嫉妬の魔王は、互いに薄笑みを浮かべ、闇の回廊へと足を向ける。


 その笑みには、確かな嗜虐の色が宿っていた。


 やがて、傲慢の魔王の城には、もはや魔族の気配すら残らなかった。


 ただ、許しを請う声、引き裂かれる悲鳴、そして狂気に満ちた哄笑だけが――いつまでも響き渡っていた。

 もし「面白い!」「続きが気になる!」と思っていただけましたら、下記の【☆☆☆☆☆】やブックマークで応援をいただけると、執筆の大きな励みになります!


 皆様の応援が、物語を完結まで導く力になります。

  よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ