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3-50 帰還:道中の絆

 国を離れ、森の小道を進む勇者一行。


 鳥のさえずりと風のざわめきが、戦場とは別の時間を刻む。


 「昨日の宴、カイルは結構食べてたよな」


 俺が冗談めかして言うと、レンカが小さく笑う。


 「さすがにあの量は驚いたわ。さすが二十歳の胃袋ね」


 カイルは肩をすくめ、少し照れくさそうに笑う。


 「まあな。戦いの後だからな、ちょっとは楽しませてもらった」


 ミリアは風魔法で道沿いの落ち葉を舞い上げながら、軽口を返す。


 「でも、あの料理、もう少し塩が欲しかったかも。風魔法じゃ味付けできないからね」


 ダリオが肩をすくめ、ニヤリと笑う。


 「おいおい、俺の舌もバカじゃないぞ。あの味で十分満足した」


 ミリアは腕を組んで微笑む。


 「ふふ、なら次は私の料理を食べてもらおうかしら。

 風の力で味を整えてみせるわ」


 道の途中、突如森の茂みから小動物が飛び出す。


 カイルが咄嗟に影魔法で止め、俺が受け止める。


 「おお、危ない!」


 ミリアは風魔法で小動物を軽く宙に浮かせ、枝の陰に返す。


 「無事でよかったわね」


 カイルはエリシアの方を見る。


 「エリシア、昨日は無理しすぎじゃなかったか?

 あの矢の力、かなり消耗するだろう」


 エリシアは少し微笑み、首を振る。


 「大丈夫よ。

 精霊王様が少し力を貸してくれたおかげで、思ったより負担は少なかったの」


 カイルは頷く。


 「そうか……でも、無理はするなよ。

 俺たちが支える」


 エリシアは目を細めて微笑む。


 「ありがとう、カイル。あなたの言葉、すごく心強いわ」


 カイルは少し照れくさそうに、でも真剣な眼差しで答える。


 「仲間だろ? 当たり前だ」


 俺とレンカもそのやり取りを微笑ましく見守る。


 【こういう何気ない瞬間があるから、戦う意味もよりはっきりするんだな……】


 夕陽が森を赤く染め、遠くに魔王城が見える。


 影が森を覆い、空気が重くなる。


 「さあ、もうすぐだ。全員、心を整えろ」


 俺の声に、仲間たちは黙って頷く。


 ミリアが小声でダリオに言う。


 「でも、こうして笑える時間も、無駄じゃなかったわね」


 ダリオは戦槌を肩にかけ、微笑む。


 「そうだな。戦うためには、こういうひとときも必要だ」


 レンカが小声で俺に耳打ちする。


 「ここまで来たら、もうお互いを信じるしかないわね」


 カイルも前方を見据え、戦士らしく呟く。


 「俺たちは仲間だ……どんな魔王でも、全力で行く」


 エリシアは精霊王の聖弓を軽く握り、精霊たちの気配を感じる。


 「ええ。私たちの力、そして絆で――必ず勝つ」


 夕陽が遠くにある魔王城の石壁に反射し、赤く光る。


 戦士たちの心は、覚悟と信頼で満たされていた。


 新たな戦いの幕が、静かに開かれようとしている。

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